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01x16 - Risk 感想

 POI感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

 この回めちゃくちゃ好きです。何度リピートしたか分からん。フィンチが莫大な金で敵と戦う回めっちゃ好き。もっと金融関係出てくればいいのになー。殺し合いありそうじゃない(笑)?

 冒頭の会話がまず笑えます。

 

What's wrong with my other suits?

俺の他のスーツに何の問題がある?

They're fine for a hired assassin, Mr. Reese, just not for this particular job.

あれらは雇われた暗殺者にはぴったりだよ、リース君、でもこの特殊な仕事には向いていない

Where am I going?

俺はどこへ行くんだ?

To mingle with the best and brightest.

最高に輝いた人間たちの中へ

Wall Street. We have a new number.

ウォール街だ。新しい番号が出た

Mr. Adam Saunders, he's a prop trader at the investment firm of Baylor Zimm.

ミスター・アダム・ソーンダース。彼はベイラージム投資銀行のプロップトレーダーだ

Prop trader?

プロップトレーダー?

Proprietary.

自己裁量取引だ

He invests the bank's own money, not the clients'.

彼は顧客のではなく、銀行の金を投資している

He seems to be your typical overeducated, overcompensated Wall Street highflier.

彼は君の想像通り、典型的な高学歴、高収入のウォール街の成功者に見える

They're fine.

もういいだろ

The cuff should shiver on the shoe, not break.

この裾の折り返しは靴に沿って動かなくてはならない、離れるのではなく

Saunders has already had a brush with the SEC, an accusation of insider trading, unproven, so his risk taking may have led him into dangerous waters.

ソーンダースはすでにインサイダー取引の件で、それは立証されていないが、SECと小競り合いを起こしていて、彼のリスクを取りたがる性質が自分自身を危険な水に導くのかもしれない

I want you to get close to him.

彼に近づく必要がある

I don't know anything about Wall Street.

ウォール街のことなんか何も知らないぞ

Well, here's a start, although it doesn't really matter.

まず、これが最初だ。それに、それは大きな問題じゃない

Banking is mostly looking clever and wearing the right clothes.

金融業は概ね賢く見えることと正しい服を着ることだ

And we’ve managed the second part.

そして我々は後者についてはすでに対処済みだ

 

 ウォール街について知り尽くした感のあるフィンチがめっちゃかっこいいし、いきなり膝ついてリースの服を仕立てている姿…。リース嫌そうだし(笑)。なんか…。すごくときめく…。すみません。

 

 フィンチの超頭脳と莫大な金が垣間見える回ほんとに好きなんですよね…。たまらん。

 リースは投資銀行に潜り込むのですが、

 

Outstanding, I'll be spending two days with hair gel and a pin-striped suit.

そりゃあいいや。僕は2日間をピンストライプスーツのヘアジェル野郎と過ごすことになるわけだ

It's Glen check, actually.

実のところ、グレンチェックだ

John Rooney, Assets.

ジョン・ルーニー、アセットマネージャーだ

Adam Saunders. I know what I'm doing.

アダム・ソーンダースです。任せてください

My client prefers to stay anonymous.

私の依頼人は匿名でいるのを好む方でね

He's the...Silent type.

彼はとても…、秘密主義なんだ

He's also not fond of heights.

彼はまた高いところも好きじゃない

I thought rooftops were your domain, Mr. Reese.

私は屋上は君の領域だと思ったがね、リース君

Your reputation precedes you.

評判を聞いてきたんだ

My client trusts reputations when it comes to his money.

私の依頼人は金のこととなると評判を信じる方だ

Reputations can be deceiving. How much are we talking about?

評判はあてになりませんよ。どのくらいの予算ですか?

At first, pocket change.

まずはポケットマネーだ

My client likes to roll the dice.

私の依頼人は一か八かの勝負が好きだ

No tips, no I-bonds, no short-term funds.

米国物価連動国債や債券(インフレ連動型アメリカ国債?)、短期ファンドなどではなく

Play jazz.

自由にやれ

Consider it an audition, Mr. Saunders.

これはオーディションだと思え、ソーンダース君

It starts now.

今始まる

You're a quick study, Mr. Reese.

素早く学んだな、リース君

 

 「賢く見えること」も「いいスーツ」も完璧ですね。すげー。ウォール街のエリートを前にして圧巻のアセットマネージャー振りを発揮します。そして屋上でびくびくするフィンチかわいい♡ 1億5千300万ドルをポケットマネーって、一体どうなってるんだ。

 後日「金がベイラージムに入金されたようだ」「領収書はとっておけよ」ってやり取りも笑えます。

 

 このリースとアダムの会話の後でヴァターネン製薬のCEOの有罪判決が出て、なんかしみじみした。あの回もフィンチが大金で敵をぶん殴りましたね。ソーンダース君は1億ドルをショートしましたが、あの時フィンチは5億株やってたよね。個人ですることじゃないわー。今回も最後の展開を思うとわくわくします。

 

 それにしてもこの回、ほとんどエリート白人男性しか出てこないので見分けがつかん。ただでさえ人の顔と名前を見分けるの苦手なのに、ポールとヴィクターの区別がつかなくてほんと困りました。ヴィクターを怪しんでいたのに実は黒幕はポールだった…!っていう展開なんですが、見分けつかないので何のこっちゃという感じです。

 

 リースは冒頭から基本的にずっと投資銀行の社員たちにイラついてる感じです。S1E3でも「国のために戦って戻ってきたら銀行に食い荒らされていた」みたいなジョーイの愚痴に共感してる感じだったもんね。。「人のカネでポーカーしてる」とか、「ウォール街の連中ときたら、日中は何百万ドルも賭けて夜はバーで喧嘩だぞ」とか、言葉がずっと辛辣です。マイケル・ルイスの『ライアーズ・ポーカー ウォール街は巨大な幼稚園』って本思い出したわ…。ウォール街の話好きなんだよなー。

 

 さて、リースがアダムと飲みに行っている間にフィンチがアダム宅に侵入するのですが、「家賃を聞いたらよろめくな。だからだろうか、家具が少ないのは」みたいに言ってて笑った。この人さっき1億5千300万ドルをポケットマネーとか言ってませんでしたか?NYにセーフハウスをたくさん所持していて会社やビルも持っていて銀行にもコネがあって部下の誕生日に家をぽーんとあげちゃう人の発言でしょうか。

 アダムも高い家に住んでてシドニーペントハウスに住んでて、金融業の人次元が違いすぎます。その後もアダムを尾行し続けるリース。上司であるシドニーといちゃつくアダムを見て「残業中だぞ」と最初は揶揄するのですが、マジっぽい様子に「想像以上にボスと親密だぞ、フィンチ」って言うのも笑える。この台詞だけだったらそのまんまの意味だと思うけど、今までの回で散々ボスいじりしてたリースが言うと「想像以上にボスと親密」を深読みしちゃうよね。

 

 この回はからくりも面白いし、詐欺行為に関係ないはずのアダムがなぜ事件に巻き込まれていくのか、っていうのがアダムの生い立ちと絡んできて味わい深く、オチもよかったです。

 リースは最初は人のカネで大騒ぎするアダムに好感を持っていないのですが、アダムは実は父親はおらず、母親を亡くし、母親の弟に育てられたことが分かります。叔父は屋台で働くブルーワーカーでした。全くタイプが違うように見える2人は本当は互いを大切に思っているのですが、「本当の父親は誰か」という点で一歩引いてしまっています。

 アダムの実の父親はニューメキシコで就職し、そこで別の家庭を持ち、アダムには毎月200ドルを送ってくるだけの存在になっていた。アダムはその金を何年も貯め続け、ビジネススクールに通ってエリート金融マンになります。叔父は「アダムの父親は、あの靴箱の200ドルだった」と話します。多分、アダムにとって自分はあの金よりも家族ではないのではないか、と考えている。一方アダムは叔父に黙って父親に会いに行ったことがあると話します。「父には新しい家族がいて、僕の顔を見るとまた200ドル渡そうとした。僕が欲しいのは金じゃない、家族だったのに」。それを聞いたリースは、「家族はいるだろう」と話します。

 

 私、リースがアダムをなんでホームレスのねぐらに連れて行ったのかずっとよく分かってなかったんですよね。フィンチにも「セーフハウスはいくらでもある」と言われているのになぜそこに、って。最初は単に、エリート金融マンに対する反感からだろうかと思っていました。お前もこんな生活をしてみろ、と。でもアダムは実は苦労してエリートになった努力の人で、職場でもきちんと調査をしてから勝負に出ていることが分かる。単にウォール街でふざけているだけの鼻に付く金持ちとは違います。だから色々考えて、もしかしたら、「君には家族がいるだろう」って言いたかったのでは、と思った。叔父さんが屋台を引いて育ててくれたから、冷たいコンクリートの上にダンボールを敷いて寝なくてもよかったんだろう、屋根と壁のある家で守ってくれる人がずっといただろう、と。

 とはいえ、アダムはわりとずっと叔父さんのために一生懸命で、そのために色々違法な調査もしてその結果目を付けられてしまうので、おそらくずっと単に言葉足らずだったんだろうな。この2人は最後、アダムが「ずっと叔父さんが頼りだった。だから僕を頼ってほしいし、いつかは許してほしい」と話し、それを聞いた叔父も「もちろんさ。家族じゃないか」と応えて和解します。

 アダム、ぱっと見いけすかないエリートなんですが、家庭環境も複雑だし努力でのし上がった苦労の人だし年上で上司のシドニーに本気で恋してそうだったりブルーワーカーの叔父さんを尊敬して愛してたり仕事は熱心だしお酒は飲まないし気晴らしはゴルフの打ちっぱなしだし、どんどん好きになっちゃうキャラです。空売りのからくりを見抜いたのもアダムでした。

                                                                                                                                          

 この回、好きな会話が多くて。アダムと叔父さんの「あんたの屋台のソーセージで腹を壊したよ」「2000ドルのスーツの下の腹が悪いんだろ」「3000ドルだ」「3000ドル?スーツが?」みたいな会話好きだし、フィンチがカーターを自分の運転するタクシーに乗せておいてメーターを上げ、カーターが「お金取るの?」と言うと「チップもよろしく」ってニヤッと笑ったり、とにかく楽しい。

 あとこの回はリースだけじゃなくフィンチもめっちゃ活躍するとこも好きなんですよね。アダム宅への侵入、カーターとの接触、それから投資銀行に入り込んでシステムをハッキングし、トライタック・エナジーの株を売り抜けた人物を探ります。ポールであることを突き止めると、今度はポールのPCに侵入してカレンダーと携帯の同期からGPSをハッキング。ポールの共犯者を突き止め、会話を盗聴します。

 そして何と言っても最後の金で頬っぺたひっぱたく展開!楽しいぞ。

 

So Paul was working with Rasmussen all along?

つまり、ポールはずっとラスマンとグルだったのか?

On a massive short-sell bet against Tritak.

トライタックに対する巨額の空売りでね

It's lost 90% of its value already.

すでに90%も価格が下落している

But an SEC investigator and a banker do not shoot up a homeless encampment with automatic weapons.

しかしSECの調査官と銀行員が自動火器で路上生活者の野営地を襲うことはない

No. There was some serious muscle behind this.

ないな。この後ろには何らかの大きな力が働いている

How's Adam doing?

アダムはどうしてる?

Not bad for a guy who's lost everything.

何もかも失った男にしては悪くない

Does he still have a suit?

彼はまだスーツを持っているか?

Why?

なぜだ?

Paul and Rasmussen need Tritak to bottom out before they can collect on their bet.

ポールとラスマンは彼らの株を買い集める前にトライタックを底値まで落とす必要がある

What are you talking about, Finch?

あんたは何を言ってるんだ、フィンチ

Ever try to catch a falling knife, Mr. Reese?

落ちているナイフを掴もうとしたことはあるか、リース君

Sounds like a good way to get cut.

それは手を切るにはとてもいいやり方に思えるな

Which is why we need a damn good investment banker.

だから我々には非常に腕のいい投資銀行家が必要だ

Have Adam put on a tie. He's going back to work.

アダムにタイをつけさせろ。仕事に戻ってもらう

 

 これがめっちゃ好き。下落する株に手を出すことを「落ちるナイフを掴む」って言うけど、これは英語の言い回しだったのか。Damn good investment banker って言い方もときめきます。あと、「強大な力」ってserious muscleっていうんだね。

 そして単独で大規模な仕手戦を仕掛けるフィンチかっこいいー。空売り潰しだね。確かに、絶対に買い戻す必要がある人がいるって分かってたらそいつに売ればいいんだから強気で買いまくれますよね…。3億ドルの空売りに対し、一体どれだけ仕掛けたんだ?

 ポールから電話かかってきた時のThis is Harold Crane. Yes? ってとぼけた言い方とか、I'm sorry. You'll need to speak to my banker about that. って慇懃でとりつくしまもない感じたまりません。偉そうなフィンチ萌えるわ…。

「これだけ買い集める頃には史上最高値になってるよ」っていうヴィクターの台詞や、「後で売ってやるよ、友達だろ?」ってアダムの台詞も面白い。

 

 最後リースとホームレスの女性(ジョアン)との会話。

 

I never said thank you...

ありがとうと伝えていなかった

For looking after me when I needed it.

俺が必要としている時に面倒をみてくれて

Who's looking after you these days?

最近あなたの面倒を見ているのは誰なの?

Someone new.

新しい人さ

 

 字幕では「今もちゃんといるの、そういう人」「ちゃんといる」ってなってて萌えました。必要としている時に面倒を見てくれる人かー。そしてもちろん聞いているフィンチ。ほんと、話が進むごとに距離が近付きますね。とはいってもリース君、まだフィンチの正体は全然掴めてませんが…(ストーキング継続中)。

 

 ところでこの回でリース君のホームレス生活は4カ月間だと判明しました。2月にニューロシェル事件が起きていて(作中時系列では)9月にフィンチと出会っているっぽいことを考えると、多分ホームレスしてたのは6月~9月頃ですね。アダムに「俺はここで4カ月寝てた」とか言ってますが、今回のエピソード2月なので、ホームレス生活の辛さレベル段違いじゃないですかね…。2月に外で寝るのはちょっと…。

 でもその前、2月~5月は一体どこで何してたんだ?謎過ぎます。

 

 最後、全ての黒幕がイライアスであったことが分かって終わります。アンソニーも久々に出てきましたね。空売り対決はフィンチが勝ったのかな♡ 後日チェスの対戦相手になることを考えると味わい深いです。

 

 そういえば今回のフィンチの偽名はハロルド・クレイン(Crane)で鶴です。ハロルド・クレインは後でまた大金持ちの人でときどき出てきます。

 

 ラストシーンで流れる曲はこちら。

yuifall.hatenablog.com

 

POI:アダム・ソーンダース(被害者)

本編:2012年2月頃(2月17日~22日とWikiにはありますが、私は日付探せずでした…)

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