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02x14 - One Percent 感想

 POI感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

 S1E11とかもそうでしたが、ストーリー上重要なエピソードが終わった後に箸休め的に入る一風変わった対象者とのオーソドックスなエピソードもいいですね。

 テーマは「友情」なのかな。それとも「パートナー」?ピアースとオグルビーの2人がわりと直接的にフィンチとネイサンに重ねあわされていて、それからカーターとファスコの微妙なパートナー関係も挟まります。最後ベアーが「友達」と遊んで元気を取り戻すところから見ると、リースがストレスから立ち直った理由にはフィンチとの友情がある、という暗示もあるように思える。

 ピアースは、どう見てもFacebookザッカーバーグがモデルですね。オグルビーは後にザッカーバーグを訴えるエドゥアルド・サベリンなのかな。ネイサンとフィンチもAppleスティーブ・ジョブズとおそらくスティーブ・ウォズニアックがモデルであることを考えると面白いです。

 

 映画『ソーシャルネットワーク』も観てないしザッカーバーグがどういう人かは知りませんが、ピアースはまさにフィクションのIT天才って感じのキャラ造形です。大富豪・天才・変人と三拍子揃ってるのにフィンチと全然キャラ違うのが面白い。見てて楽しいけど、フィンチはこういうキャラじゃなくてよかったなーって思ってしまったよ…。シャーロックとか好きな人にはたまらないのかもなー。

 それにしてもピアースがやりたい放題すぎて見てて笑えます。R&Fの2人が翻弄されているのもかわいい。対象者の方が一枚上手パターン実はそれほど好きじゃないのですが、たまに出てくる分にはまあ…。こういうの続出すると萎えるんですけどね。。特にS4は対象者がリースを「英雄願望の元軍人?」とか見透かしてくるパターンが多くてちょっと微妙だった(まあー、明らかに刑事っぽくないし仕方ないのかも…)。でもピアースはちょっとハーパーと似てる気がするな。S5で組んでるの面白かった。

 

 フィンチはリースを億万長者のジョン・ワイリーに仕立て上げ、チャリティーオークション会場に潜り込ませます。服を選んでるフィンチ超楽しそう♡

 この回はピアース君のインパクトが強烈すぎるのですが、何気に2人の会話も好き。

 

Remember that you're John Wiley, hedge fund manager.

君はヘッジファンドマネージャーのジョン・ワイリーだと覚えておいてくれ

What about John Rooney, asset manager?

アセットマネージャーのジョン・ルーニーはどうなった?

No, no, he's a single-digit millionaire.

ダメだ、彼は百万長者だよ

John Wiley is valued at over 100 million.

ジョン・ワイリーは億万長者だ

Exactly how much money do you have?

あんたは正確にはどれだけの金を持ってるんだ?

 

 百万ドルは約1億3千万円で、1億ドルはその100倍くらいです。これって総資産額のこと?年収?普通に考えると総資産額だと思うのですが、40代独身で総資産額1億円くらいだとものすごく高収入って感じはしないな…。逆に130億円はすごすぎます。ちなみに私はマイケル・ルイスのノンフィクションが好きなのですが、とんでもない大金を稼ぐヘッジファンドマネージャーがたくさんでてきて、金融業ヤバいなーって思います。1億ドルどころじゃないっぽいよね、総資産額。

 まあしかしながらヘッジファンドマネージャーであるジョン・ワイリー氏も100 millionであってbillionaireとはひとケタ違うわけだから、やっぱりピアース君には全然及びません。アメリカの富豪のレベルが違いすぎてピンと来ない。

 最後のリースの台詞、吹替では「あんたはどっちに近いんだ?」となってましたが、明らかにフィンチはbillionaireでしょう。ジョン・ワイリーよりはるかに金持ちなはず。リースは勝手に1000万ドルもの書簡を落札してしまい、フィンチ、この時「予算にも限度が…」「ポケットマネーじゃ払えないぞ」と言ってましたが、どっかの法人の金を動かしてどうにかしたんだろうな。5億株空売りできるくらいだから余裕でしょう。絶対ビリオネアだよ。総資産額は100億ドルは軽く超えてそう。

 ちなみに世界の総資産額1位はイーロン・マスクで2022年現在2190億ドルだそうで…(2023年現在は違うらしいですが)。そう考えるとやっぱりジョン・ルーニーじゃあのオークションには入り込めない気がしますね…。

 

 リースはピアースに近づこうとするのですが、マンハッタンの屋上から違法にヘリで離陸し、どっかへ行ってしまいます。もう止められないぞ(笑)。

 

 予想もつかない動きをする上に携帯も1日2回交換するピアースの様子を探ることができず…。フィンチはクリーニング店の店員を装ってカードに盗聴器を仕掛けます。

 スーツを一着しか持っていないピアース君、裸にコートでやってきて受け取ったスーツを店で着始めちゃいます。「いいスーツは女と同じだ。一度気に入ったらそれ以外は駄目になる」とか言って、フィンチは「それは…エキセントリックですね」だってさ(笑)。ピアース君、女性一人じゃないっぽいですけどね。逆にフィンチは女性はたった一人ですけど、スーツはなー。着道楽だからなー。

 ピアースはその後も会議で寝るわ、裸の写真をすっぱ抜かれるわ、「午後の役員会はコニーアイランドのホットドッグ屋で!コニーアイランドなんてホットドッグ以外何もないよね」とか言って同僚もキレ気味です。この時「ユダヤ人的にはよくないけど…」とか言ってるし、やっぱりマーク・ザッカーバーグがモデルなんだろうな。2012年当時28歳くらいかぁ。ピアースもまだ20代なのかな。

 

 コニーアイランドに向かう途中、ピアースは車をハッキングされて殺されかけます。「あんたが止めなきゃトラックが止めることになるぞ」とリース。フィンチがハッキングし返し、車を操ってその暴走を止め、命を救います。かっこいい!ここでピアースがフィンチに「頼むよシャーロック」って言うのちょっと笑えました。リースはピアースに接触しようと試みるのですが、車を街のど真ん中に乗り捨てタクシーでどこかへ行ってしまう…。

接触できない」と言うリースに「どうする?」とフィンチ。「作戦を変えよう」と。

 この後のリース超かっこいいです♡ 俺様リース君萌えるわー。ピアースのオフィスに押し入り、少女漫画の俺様彼氏みたいな態度です(笑)。窓際の椅子にどかっと腰かけて足を組み、「あんたの命が危ないという情報を得た。命を助けてほしければ、48時間あんたに張り付かせろ」ですって。足が長いから様になるんだなこりゃ。「面白いな。やっぱ只者じゃないと思ってたんだ」とピアース。

 で、リースはピアースに張り付き、ピアースはリースを「ワイリーさんだ。合併を考えてる」とパートナーのオグルビーに紹介します。「会ったばっかりの奴と組むのかよ」と言うオグルビーに、「最高だよ。嫌なとこ全然知らないし」と、10年来の関係を当てこすります。

 

 フラッシュバックはフィンチとネイサン。

 まず最初は、2001年の9月11日です。「なぜ電話に出ない」と問い詰めるネイサンに、フィンチは「仕事していた」と。「大変なことが起きた」とネイサンはテレビをつけます。そこには9.11のテロが映し出されていました。

 S1冒頭のリースとジェシカのシーンを思い出しますよね。リースの運命が変わったあの日、フィンチの運命もまた変わっていた。

 実はリースとフィンチの台詞"Is that a plane?"と、それに答えるジェシカとネイサンの台詞"It was two planes."は同じなんだそうです。それには気付かなかったんですが、でも映像の感じがよく似てるなぁとは思ってた。大切な人と2人で9.11を目撃し、それによって自分のなすべきことを決意し、よかれと思ってその道に進んだ結果、大切な人を失うことになる2人。

 「世界を変えようと思ってIFTを作ったのに、変わったのは俺たちのスーツと酒だけだ」とネイサン。「世界がこんな形で変わるなんて。こんなことをする奴らを止めるのが俺たちじゃないのか」とフィンチに話します。

 あのテロ事件がどれほど大きな出来事だったのかということを軽視する気はないのですが、正直、“世界”って言葉使われるのは違和感あるけどね。アメリカが世界の中心なのかよって。まあー、でも大震災の後、「世界崩壊」という言葉が何度も脳裡をよぎったので「世界」という言葉を使いたくなる気持ちは分からないでもないです本当に。ここでネイサンとフィンチが「テロを止めたい」という目的で動き出したことが分かる。

 

 そして2009年、マシンを手放した直後。ネイサンはバックドアの存在を匂わせ、フィンチは「あれはもう手放した」と腹を立てます。フィンチはあくまで「テロを止める」目的でマシンを作った。そして開発の間に、自分自身も含めて誰かを特別扱いすることをマシンに禁じています。人は皆平等だと教えて。だから、「テロを止める」以外の目的でマシンを使うことに怒りを隠せない。一方でネイサンは、マシンがテロ以外の犯罪も検知することがどうしても忘れられなかった。分かっているなら助けたい。2人の思惑がここですれ違います。

 フィンチはネイサンに「神のように振舞うことはやめようと決めただろう」と言います。フィンチは、自分が人間を「修正」したいという思いを抱いたことがある、とルートに語っていた。テロ以外の犯罪には、色々なものがあります。救われるべきか分からない加害者、あるいは被害者もいるだろう。自分がそれを選別する立場になるべきではないとフィンチは考えた。一方ネイサンは、誰かの命が奪われることを分かっているなら止めたいと思います。

 

 これは実際に作った人とそうでない人の理想の違いかもしれないなって思う。私は理性的に判断するとどっちかっていうとフィンチ寄りの感覚で、むしろ自分や自分の大切な人の危機とか全部分かるのに全てをシャットアウトした精神力の強さすごいなと思うんですが、感情的にはネイサンの気持ちも分かります。どっちが間違ってるとは言えないと思うんですよね…。でも、とにかく道を分かつまでになってしまう。フィンチはネイサンに「僕たちは今までずっと一緒にやってきた。今ここで決別するかは君が決めてくれ」と迫ります。

 フィンチはどうしてネイサンにここまで言ったんだろう。状況からすると、ネイサンの方がフィンチに「君が “無用”番号を見捨てるのなら君とはもう終わりだ」って言うなら分かる気がするのですが、真逆です。でも後日、人間がマシンの力を手にするとどうなるかを我々は目撃することとなるので、フィンチはそれを恐れたのかもしれない。少しのほころびも与えてはならなかったのに、と。

 

 どうでもいいんですが、この時吹替の「僕」っていう一人称に萌えてしまった…。大学時代からの友達だもんね…。フィンチとネイサンは対外的には「私」で話すけど、2人の時は「僕」と「俺」です。とても萌える。ネイサンが一度ブチ切れて「お前は」って言ってたシーンあったし、昔は「俺」「お前」だったのかなーって考えてしまった。まあ英語だと常にIとYouなんですけどね…。

 

 最後は2009年のネイサン。一人きりで人助けをしようとしている様子が描かれます。

 実はこれ以前の回では、ネイサンがなぜ死んだのかには触れられていないような気がする。ネイサンの死については、「大富豪の悲劇的な死」という新聞記事が出ていて、ファスコは「殺された大富豪」と言っていた。一方フィンチが“死んだ”理由についてグレースは「事故だったの」と言っていた。まるでこれらは別々に起こった事件のように感じられます。この回までの情報だと、ネイサンは人助けの仕事を一人でしようとして死んだのかな、って思ってしまう気がする。

 

 本編では、ピアース君はさっそく自宅で酒にアレルギー物質を混入されて殺されかけ、リースが咄嗟の機転で助けます。あれじゃあまず間違いなく食道挿管になるやろって思ったけどまあ細かいとこはいいや。あのシーンちょっと萌えるよね(笑)。自宅にも魔の手が及んでいたわけですが、ピアースの家には100人もの友人が出入りしているらしく全然相手を特定できません。「誰かれ構わず親しくするな」と呆れるリース。「もう休むよ」とごろ寝したピアースを置いてフィンチと合流します。

 

I've put the billionaire to bed, Finch.

ビリオネアはベッドの中に押し込んだよ、フィンチ

We need to meet.

会う必要がある

 

Nice night for a walk. Why didn't you bring Bear?

散歩にはうってつけの夜だ。なぜベアーを連れてこなかった?

Bear didn't wanna come.

ベアーは来たがらなかった

I read that if there's anxiety in the home, it can make your pets become upset.

家に心配事があると、ペットは不安定になると読んだよ

Have you been under any excess stress?

君は何か過剰なストレスにさらされているのではないか?

You mean besides being locked in an 11x13 in Rikers and wearing a bomb vest around Manhattan?

イカーズの独房に閉じ込められたことと、マンハッタンの周辺で爆弾ベストを着せられたことを除いてか?

Not really.

いや、別に

Whoever poisoned Pierce had access to his home.

ピアースに毒を飲ませたのが誰であれ、彼の自宅にアクセスできる奴だ

We need to move him.

彼を移動させなければ

My thinking exactly.

私もまさにそう考えていた

I'll have Detective Carter examine the decanter for prints.

カーター刑事にデキャンタの指紋を調べさせよう

You can escort our friend to the safe house.

君は我々の友人をセーフハウスにご案内するんだ

Time to wake the billionaire.

ビリオネアを起こす時か

I'm awake.

僕は起きてる

And just who are you?

で、君は誰だ?

You don't wanna tell me who you are?

自分が誰か言いたくないのか?

That's okay. I already know.

それならいい。もう知ってるよ

Tell me, how did you make a bug small enough to fit inside this?

教えてくれ、君はどうやってこれの中に入るほど十分に小さいバグを作ることができた?

Your voice too.

君の声も知ってる

You hacked into my car's computer and you remotely accessed the accelerator and the brakes.

僕の車のコンピューターをハッキングしてアクセルとブレーキに遠隔アクセスしただろう

So I guess that makes you the brains of the operation.

だから、君がこの作戦の頭脳だな

No offense.

反論の余地はないだろう

And judging by your bespoke suit, you're also the bank.

君のオーダーメイドのスーツから判断すると、君が金を出してる

And there's you, John.

そしてジョン、君のことも

You took out my security guard Zvi.

君は僕のセキュリティーガード、Zviを追い出した

He's a former Mossad agent and an expert in Krav Maga.

彼はモサドのエージェントだったし、Krav Magaのエキスパートでもある

So what is it, John?

で、君は何なんだ、ジョン

Former Special Ops? Ex-CIA?

特殊部隊出身か?過去にCIAだった?

And you, just a very rich hacker?

君は、単なるとても裕福なハッカーなのか?

As far as you're concerned, Mr. Pierce, we don't exist.

君が知る限り、ピアース君、我々は存在しない者だ

But that's what's most impressive.

でも、それが最も素晴らしいことだよ

John, I've been looking into you.

ジョン、僕は君たちのことを調べてた

And I'm not talking about your bogus hedge fund cover.

君の偽物のヘッジファンドの身分について話してるんじゃない

You and your partner here don't seem to have a digital footprint.

君と君のパートナーは、デジタルの痕跡を残していないようだ

So I have to ask myself, how is this possible in this information age?

だから僕は自分自身に聞くしかなかった、この情報化時代にそんなことが可能なのだろうかと

People with that kind of anonymity, that's true power.

匿名性を持つ人々こそが、真の力を持つんだ

So you see, I know who you are.

だから、分かるように、僕は君たちのことを知っている

The only thing I don't know is why you do what you do.

僕が唯一分からないのは、何で君たちがそんなことをしているのかということだ

Let me remind you, Mr. Pierce, that we saved your life twice.

ピアース君、君に思い出させてくれ。我々は君の命を二度も救った

Now, you wanna keep on butting into our affairs?

今、君は我々の事情に口出しし続けたいと思うのか?

Or do you want to live?

それとも生き延びたいのか?

 

 犬のうつ病についてネット検索してたフィンチ。フィンチが普通の人みたいに普通の情報をググってるのちょっと笑えます。「ペットも不安定になるそうだよ。ほら、家の中がピリピリしてると…」って、図書館は2人と1匹の家かよ。萌え発言すぎませんか??

 それにしても「ストレスがあるんじゃないのか?」って、これまでのエピソードを考えると間抜けすぎる質問です。「はあ?刑務所に閉じ込められてようやく出られたと思ったら爆弾ベスト取りつけられてやっと戻ってきたんですけど??」ってリースの台詞が笑えます。an 11x13 in Rikers の意味が分からなくてググったのですがこの台詞そのものが引っかかってきてしまって結局分からなかった。ライカーズの独房、って意味かと受け取ったのですが。

 

 その後ピアース君に尾行されていて色々と探られるのですが、リースが気づかないほど尾行うまいの??それともGPSか何かでトラッキングしてた??フィンチがクリーニング店にいたことはともかく、カード型盗聴器や死にかけた時に車で聞いた声のことなんかよく気付いたなー。この盗聴器のくだり、ピアースに言われてリースがフィンチを振り返りながらニヤッと笑うの好き。やりたい放題の天才のピアースもすごいんですが、そんな彼でもリースとフィンチの痕跡をネット上で探れなかったし、どんな人かも分からないってのもテンション上がります(笑)。

 POIは2011年~2016年のドラマですが、今だったらもっとSNSの熱狂で違うストーリーラインも生まれそうですね。街中であまり派手に活躍すると写真撮られて一気にTwitterとかで拡散されちゃったりして身動き取れなくなるとか、対象者のSNSの情報がもっと満載だったりとか、ディープフェイク関連やchatGPT関連のエピソードとかありそうです。

 

 さて、「もっといいとこあるよ」と言うピアースについてきたリース。セーフハウスに向かうのかと思いきや、ピアースが向かったのはサンクトペテルブルクのバーでした。しかも二度揚げピロシキを食べるためだけに…。自家用ジェットって危なすぎないか?乗せちゃっていいの?車ハッキングされて死にかけてるのに。

 しかもピアース君、自分がサンクトペテルブルクに行くことを普通に友達?に話しちゃってて、情報駄々洩れです。友達も自家用ジェットで追いかけてきちゃってたちまちパーティーに。一応、酒にアレルギー物質を盛った犯人(ピアースの弁護士)を取り押さえたリースは「もう付き合いきれん」とピアースをバーに置いて帰ろうとするのですが、フィンチに「またピアースの番号が出た」と言われます。

 

 ピアースを狙っていたのはパートナーのオグルビーでした。会社経営の意見が合わなくなり、会社を捨てようとしたピアースを殺そうとしたのです。いつも友達に囲まれ、友達と繋がるSNSで大金持ちになり、友人や恋人を探すマッチングアプリを作ろうとしているピアースが、最も親しい友人2人に次々命を狙われていた。

 

Always knew a woman would come between us.

女で友情が壊れるとはよく言ったものだが

Just didn't think it'd be 'cause you liked her technology better.

彼女のテクノロジーの方が気に入ったから俺たちの仲が壊れるとは思わなかった

Emily didn't break us up, Justin, you did.

エミリーが俺たちをばらばらにしたんじゃない、ジャスティン。君がしたんだ

You know, she actually reminds me of you, how you used to be-- passionate, principled.

彼女は僕に君を思い出させる。本当だ。かつての君を。情熱的で信念があった

Before you decided we need to bully and bury our competition.

競争相手をいじめ、葬り去ろうとする前の君だ

I didn't hear you objecting.

お前は反対しなかった

That's 'cause you weren't listening to me.

君は僕の言うことなんて聞かないだろう

How many times did I tell you I don't wanna run a business like that?

こんな風にビジネスを展開するのは嫌だって何度言ったと思う?

You didn't wanna run a business at all, left me to do everything.

お前がビジネスを展開したことなんてあったか?全て俺に丸投げだった

I thought maybe you'd gone off the deep end, parading around town half-naked, taking board meetings at Coney Island.

お前はとうとうイカレたと思ったよ、半裸で街をうろつきまわったり、コニーアイランドで役員会をやろうだなんて

Then I realized, if the board pushed you out, your non-compete clause would be null and void, and you could take Emily's technology public.

でも気付いたんだ、もしお前が役員をクビになれば、お前の競業避止義務は無効になる。そしてお前はエミリーの技術を公にできるってな

Emily's idea's better.

エミリーのアイデアの方がいい

It's what people want, the perfect match in love and friendship, even business.

人々が望んでいるのはそれだろ。愛や友情、ビジネスにだって完璧な相性が必要だ

What do you know about friends?

お前が友人について何を知ってるっていうんだ?

All your friends want you dead.

友人はみなお前に死んでほしいと思ってる

Even your new pal's left you.

新しい友達もお前を捨てた

Dump him.

投げ捨てろ

No, no! No! Wait, wait! Wait!

やめてくれ!待って!

I had 'em right where I wanted 'em, you know?

いてほしい時にいてくれただろ?

You need to get new friends, Pierce.

新しい友達がいた方がいいな、ピアース

I couldn't agree with you more, man.

全く同感だ

 

 「友人は選べよ」って言ったリースは、もしかしたらスノウとカーラ、それにフィンチのことを考えていたのかも…。去り際ピアースに肩を抱かれて振り払うの笑った。

 それにしても、ピアースは傷つかないのかな。先に友達を捨てようとしたのは自分だから傷つかないんだろうか。SNSで人と繋がって何百人もの友達がいて、でも長年の友達とは心が通わなくなり、新しいマッチングサービスのために全てを捨てようとして友達に殺されかける、というストーリーは皮肉すぎるのですが、ピアースのキャラクターのおかげで悲惨な話にならずにすんでいるような気がする。

 

 この回でピアースとオグルビーのエピソードがフィンチとネイサンと重ねあわされて描写されるのってどういうことなんだろう。

 ピアースとフィンチは共に天才、大富豪、変人なのですが、ほとんど真逆の性格の人物として描写されます。ピアースはエキセントリックな目立ちたがり屋で人が大好き、たくさんの友達に囲まれて女性もたくさんいるっぽいけど(人妻に手を出してるし)、モノは気に入ったもの一つしか持たない主義です。スーツも一着、車も一台、時計も一個。でも最後は全部捨てちゃう。人間関係にも執着はないと思いきや、「技術は廃れる。最後に残るのは人との繋がりだ。本物の繋がり。それこそが人が求めているものだ」と語ります。

 一方でフィンチは高尚で孤独な秘密主義者、モノはたくさん持っているけど人より本やPCが好きで友達はたった一人、恋人も一人きりです。

 ピアースは、「一見友達が多そうに見えるけど実は孤独な大富豪」みたいな典型的な描かれ方はしてません。フィンチも、「友達は少ないけどそのたった一人の友人を大切にしている」人物としては描かれてない。だから、真逆ではあるんですが、比較してどっちがいいとかそういうことが言いたいわけじゃないと思う。

 ピアースは「過ちは振り返らない。前進あるのみ」と、経営方針が合わなくなった友人を切り捨てて進もうとし、殺されかけます。フィンチはネイサンと意見が合わなくなった時、自分から彼を切り捨てることはしなかった。ただ「君が決めろ」と迫ります。そしてネイサンが選んだ道は、マシンのバックドアから番号を受け取り続けること。この回だけ見れば、決別の道を選んだように見える。だからこのエピソードは、どちらも「決別」ということで重なるのかもしれない。

 でも、実はこの後ネイサンは「全てを明らかにする。君もその場に来てほしい」とフィンチに告げていました。フィンチはネイサンの言葉通りその場に現れ、ネイサンは笑う。「君は来てくれると思っていた。共に報いを受けよう」。彼が選んだ道は社会的心中だった。あのままもしフェリー爆破が起きなければ、2人とも逮捕されてフィンチの本名や来歴も全て明らかになり、おそらく2人とも投獄されていたんだと思います。ネイサンは「決別」ではなく、共に死ぬ道を選んだんですね。そしておそらくフィンチもそれを知っていた。知っていたからこそあの場に現れ、「共に報いを受けよう」と言われて微笑んだんだろう。ある意味ではフィンチはネイサンに“殺される”ことを受け入れたのかもしれない。

 でも、実際はネイサン一人が殺されてしまった。フィンチは今過去の過ちに囚われた人生を送っています。フィンチは最後に「永遠に続かない友情もある」と呟くのですが、フィンチとネイサンの友情は壊れる前に終わってしまったような気もする。

 

 最後の最後。

 

Do we have another number?

新しい番号か?

No, a date.

いや、デートだよ

You got me a date?

あんたは俺にデートをさせようと?

Not you. Bear. He needs a friend.

君じゃない。ベアだよ。彼は友人が必要だ

Good thinking, Finch.

それはいい考えだな、フィンチ

Our billionaire gave me a little something.

俺たちの大富豪が何かちょっとした贈り物をくれたよ

Tells time to the nanosecond.

ナノ秒まで時間を教えてくれるのか

That was a very expensive watch.

それはとても高い時計だったのに

Not to mention, a gift.

言うまでもなく、贈り物だ

A gift equipped with GPS.

GPS付きの贈り物だよ

A cunning billionaire with unlimited resources.

限りない資金を持ったずるがしこい資産家だ

Our friend is just curious enough to be dangerous.

我々の友人は危険なほど好奇心があるようだ

 

 「デートだよ」って言われて「俺にデートをしろって?」って会話笑える。実際記者の回で勝手にデートさせられてますしね。それが俺のストレス解消になると思ってんのか?みたいなリース。でもデートはベアーで、「彼には友達が必要だ」とフィンチ。ストレスは友達と遊べば解消されると。今リースが正気でいられるのはフィンチのおかげってこと?と深読みしてしまった。

 フィンチはネイサンを失って、でもリースを新たなたった一人の友人として得たのかもしれない。そしてリースは、前回のエピソードを受けて、スノウとカーラには殺されかけたけど、命懸けで救ってくれるフィンチを友人として得たのかも、と思った。

 最後、ピアースがくれた200万ドルの時計を踏み潰すフィンチが面白かった。GPS取り外すだけじゃだめだったんだ…。この2人、お互いに割とpossessiveなところがあるように思えるのですが…。

 ちなみにこのシーン、フィンチが(というかエマーソンさんが)結婚指輪してます♡

 

 ラストシーン、マシンがGPSを見て「管理者に対する脅威」と認識し、ピアースを追跡します。ピアースを観察した結果彼がAssetになるのかー。S2の伏線回収してたんですね。

 今回からマシンにちょっとずつバグが入るようになってきました。カーラ様の仕込んだウイルスの影響ですね。この「管理者に対する脅威」も、管理者を守ろうとするマシンの意図を感じます。フィンチを守ろうとする意図がはっきりしてくるのは、マシンがソーンヒルを作って記憶を取り戻しつつある頃ってことだろうか?

 

 ところで、タイトルのone percentって何のことだろうと思ってスクリプトをテキスト検索したら、

 

Only because I didn't realize that we were dealing with a one percenter who finds other one percenters tedious.

我々が取り扱っているのが、他の「1%の人間」を退屈だと思っている一人の「1%の人間」であるとは認識していなかったからだ

 

って台詞がありました。

 これはオークションの前にフィンチがリースにピアースと会話をさせて「君って退屈だね」と言われた後に「金持ちは金持ちに興味があると思い込んでいた」という台詞なのですが、つまりこのone percentとは「億万長者」という意味ですね。「ピアースが他の大金持ちをつまらないと思っている大金持ちだとは考えていなかった」ということでしょう。1%の人間が99%の富を所有する、の1%ですね。

 

POI:ローガン・ピアース(被害者)

本編:2012年~2013年(時期がいつかは分からないのですが、雪降ってたので冬)

フラッシュバック:

2001年9月11日、フィンチ(ネイサンとIFT)

2009年(マシン移動後だから6月頃)、フィンチ(ネイサンとIFT)

2009年、ネイサン(人助け)