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01x14 - Wolf And Cub 感想

 POI感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

 今までブラックコミュニティがストーリー上出てこなかったので新鮮でよかったです。ふと『BANANA FISH』(吉田秋生)思い出したんですが、NYでは白人、黒人、中国人それぞれテリトリーがあってその中で色々あって…、って感じだったけど、POIは黒人や中国人マフィアの描き方甘いよね。中華街のエピソードって出てこないし。2011年頃のドラマだから、その辺のポリコレはまだいまいちなのかもしれません。メインキャラにカーターがいたり、サブでレオンが出てきたりするくらいかな。対象者がアジア人だったエピソードってほとんどなかったような。ていうか基本的にはほとんど白人ですよね。

 Gleeでも思ったけど、黒人女性は出てきても黒人男性はメインで出てこないし、「黒人」「女性」っていうマイノリティ属性を一気に賄えてお得だから一人入れとこ、みたいな雰囲気を感じなくもないわ。

 

 ところでタイトルのWolf And Cubは「子連れ狼」だそうです。日本語タイトルが『弟』だったし全然気づかなかった。リースとダレンのコンビが「子連れ狼」なのかぁ…。家族を殺されて復讐に行く、政府のために働いていたが“浪人”になる、舞台がコミック書店、というあたりも「子連れ狼」のオマージュなのね。

 そう思って見ると、ダレンの部屋に貼ってある『七人の侍』のポスターとか2人が“浪人”について話すシーンとか、ダレンがジャパニーズコミックから“サムライ”に憧れて孫子まで読んで、っていうバックグラウンドが垣間見えていじらしく感じました。

 

 前回ルートのハッキングを受けたため、冒頭2人が恐る恐る図書館に戻るシーンから始まります。リースが安全を確認し、盗聴器具?を探りながら歩き回るフィンチ。

 

Nobody here.

誰もいない

I've never seen you like this.

あんたがこんな風になったのを初めて見た

That hacker must have gotten to you.

あのハッカーはあんたを動揺させたに違いない

Only the paranoid survive--

パラノイアだけが生き残る————

Sage advice.

賢明な助言だ

Well, I'll need to rebuild all my systems from scratch, reinforce the firewall.

ともかく、私はシステムの全てを一から作り直す必要がある。ファイヤーウォールを強化して

Anything I can do?

何かできることは?

Yes. New number...

ある。新しい番号だ

Just came in this morning.

今朝出たばかりだ

Even with the library offline?

図書館がオフラインだったのに?

 

 Only the paranoid surviveはインテルのAndrew Groveの言葉です。フィンチが「システムを作り直す」と言い、そこで「何かできることは?」と聞いてくれるリース好き。「特にない」と言われるかと思いきや(もしくは何かお使いとか頼まれるのかと思いきや)、番号の仕事を頼まれるリース…。フィンチが図書館のPCで番号を受け取っているのではないことが分かります。

 

 対象者は14歳のダレン。家に行ってみると、兄のトラヴィスが一週間前に殺され、ダレンの姿はなかった。状況的にトラヴィスの殺害はマシンが検知しない突発的な事件だったような感じ。リースはカーターを呼び出してトラヴィスの事件について探りを入れます。

 

Morning, Detective.

おはよう、刑事さん

Miss me?

俺が恋しかったか?

You know, I always pictured you in the back of my car... In handcuffs.

そうね、いつもあなたがあたしの車の後部座席にそうやって座ってるの思い描いてた…手錠を嵌めてね

Well, to each his own.

ああ、好みは人それぞれだからな

 

 リースのMiss me? に対して華麗な返答をくれるファスコとカーター好き♡ カーターのこの返し秀逸です。で、リースは「そういう趣味か?」(字幕版)だってさ。手錠プレイかよ。リース君、S4でフィンチと手錠プレイしてたけどね(笑)。

 

 リースはコミック店のそばでトラヴィスを殺した容疑者の1人と、その男を狙うダレンを発見します。ダレンの喋り方好き。S1E9 Get Carter で出てきたBCもだけど、黒人キャラのラップみたいな話し方かっこいいですよね。フィンチの上品な話し方やファスコの下町な感じ、それにダレンのぱきっとした感じの喋り方、どれもいいなって思う。吹替だとダレンの話し方の特徴が全然分からないのでちょっと残念です。日本語でも色々変えようはあると思うんだけど、あんまり特徴つけようとするとアニメっぽくなっちゃうかなぁ。

 リースはダレンを保護し、ファスコに預けます。

 

Darren, this is Detective Fusco.

ダレン、これは、ファスコ刑事だ

He's a...Friend.

彼は…友達だ

This guy?

この男が?

Oh, hell, no.

マジでないだろ

What's your problem, half pint?

何がおかしい、ちびっ子

You're a dirty cop all day long.

あんたはずっと悪徳警官だろ

All right, look...

おい、ちょっと待てよ…

First you got me investigating our mutual friend.

あんたはまず共通の友人について俺に探れと言った

Now I got to babysit this disrespectful punk?

そして今はこの無礼なチンピラの面倒を見ろって?

 

 リースの「……友達だ」とか、ダレンのOh, hell, no. って言い方面白いです。GleeメルセデスもHell No. って言ってたなぁ。ファスコのour mutual friend.って台詞、また吹替では「メガネのちんちくりん」になってました。完全にナード扱いですね(笑)。

 

 さて、兄殺しを目撃したダレンが犯人を殺そうとする一方で犯人の方もダレンを狙うと考えたリースは、チンピラ3人組の残り2人を探りに出かけます。ところが彼らは単なる街のギャングではなく、どうももっと大きい組織の一員であることを掴みます。図書館に戻ってみるもそこにはフィンチはおらず…。電話で報告を入れると、フィンチは「今ドライブを再構築している。数時間かかる」とまるで図書館にいるように振舞います。ですが明らかに他の場所にいて他の仕事をしている様子…。

 その頃フィンチはどっかの超眺めのいいオフィスビルで手書きの書類を処理してました。秘書もいます。ハロルド・レンの登場ですね!会いに来たのはウィルでした。ウィルが知っている「ハロルドおじさん」はハロルド・レンであることが分かります。保険業をしていて、PCが苦手なハロルドおじさん。

 ウィルはネイサンの遺品整理をしていて、ネイサンの手書きのメモに目を付けていました。ウィル、医者なだけあって馬鹿じゃないんですね…。膨大な荷物の中からピンポイントでマシンに繋がる情報をゲットし、アリシア・コーウィンにまで辿り着いていました…。知らぬ存ぜぬで通しながらも動揺を押し隠せないフィンチ。ウィルの携帯をペアリングし、彼の動向を探ろうとします。

 

 フィンチとウィルを見てるとほんとに切なくなってしまうんですよね…。大切な人なのに、真実に近づかせたくないから遠ざけるしかないという…。特にフィンチはマシンに関われば殺されると分かっているから、ウィルをどうにかして何も知らせないままNYから追い出したいと思ってる。愛してるのに、そばにいられては困る。

 ネイサンは"Day one: The machine, February 24, 2005."と書かれたメモとシャンパンのコルクを大切に持っていたことが分かります。そして翌日、2005年2月25日にマシンは1ドルで政府に売られていた…。

 

 ところでアリシアが移り住んだ場所「グリーン・バンク」は、電波望遠鏡があるためにナショナル・レディオ・クワイエット・ゾーンとなっているそうです。Wikipediaによれば人口143人で、2013年現在36人が携帯の電波を逃れて移り住んだ移民だとか。なんか、アリシアペンシルバニアアーミッシュのとこに移住したと思い込んでいたので自分の記憶のいい加減さにびっくりしました。

 フィンチとウィルは食事に出かけるのですが、それを見張っているのはファスコ…。なんだこの人間関係(笑)。S1S2のリースのストーカーぶりはかなり面白いです。

 

 保護施設を抜け出したダレンを捕まえたリースは、ダイナーで食事しながら話をします。復讐を思いとどまらせようとするのですが言うことを聞かないダレン。

 

I want to hire you to help me take down those guys who killed my brother.

俺はあんたを雇いたい。兄貴を殺した奴らを倒すのを手伝ってほしい

So, if I'm not a cop, I'm a mercenary, is that it?

つまり、もし俺が警察でないのなら傭兵だと考えたのか?

No, I figured it out. You're a ronin.

違う。分かったんだ。あんたは浪人だ

A ronin?

浪人?

Yeah, a ronin. It's like--

そう、浪人。つまり————

It's like a samurai with no master.

つまり、主君のいないサムライだ

Technically, you should have killed yourself.

本当なら、切腹していなきゃならないんだ

That's the code.

それが掟だから

But instead you're out wandering the land, helping people.

でもその代わりに彷徨い歩き、人々を助けてる

 

 リースとダレンが話すシーンはどれも好きなんですが、ここが特に心に響きました。リースは後のシーズンで色んな人に「英雄願望の元軍人」と言われるのですが、ダレンの「おじさんは浪人だ」という言葉が、子供の夢見がちな言葉だからこそ一番胸を打ちます。でもある意味リースには主君はいて、「浪人」でも「英雄願望の元軍人」でもなかったのかも、とこの回を改めて見て思いました。最終的には主君を持つ「サムライ」、「ナイト」として死んだんだと。

 ここでリースは自分を「リースと呼べ」とダレンに言います。「ジョン」と言うのかと思っていたので意外でした。多分、「浪人」としての名前を教えたんですね。カーラに貰った工作員としての名前を。

 

 ここからリースがダレンに戦い方を教えるのですが、これが面白いです。

 ステップ1は観察。戦いで負ける奴は敵を知らないからだ、と言い、敵が何をしているか掴むのが大切と教えます。敵を知り己を知れば百戦危うからずですね。「敵が何で金を作っているか分かったから、もう好き勝手はさせない」と話すリースに、ダレンは「観察もいいね」と。リースは「でも実のところ、俺は観察は得意じゃないんだ。見てな」と言い放ち、チンピラの車を盗んじゃうぞ(笑)。楽しすぎ。

 これがステップ2でした。敵に揺さぶりをかけて様子を見る。

 この合間にフィンチに電話を掛けるのですが、この会話が笑えます。

 

I'm not sure I'm in favor of your troubling arrangement with young Darren.

私は君とダレン少年との厄介な合意には賛成しかねるな

I'm not sure I'm in favor of our troubling arrangement, especially when you disappear on mysterious business.

俺は俺たちの厄介な合意には賛成しかねるよ、特にあんたが秘密のビジネスで姿を消しているとあれば

 

 またリースの口真似ターンが炸裂です。しかもE12で「秘密があるのは分かってる」とか殊勝なこと言っといて「秘密の仕事なんて許せないわ!」モードに突入中。2人に一体どんな合意があったと??何もなくないか?

 フィンチは黙って相手のGPSをオンにし、リースはダレンをチンピラを追いかけ続けます。

 

Hey, you ever kill anyone?

なあ、誰かを殺したことはある?

Yes.

ああ

Were they bad?

悪い奴ら?

Some...Not all.

悪い奴らもいたし…全員じゃない

That means your master tricked you, told you to kill bad people that really weren't.

雇い主に騙されたんだろ。本当はそうじゃないのに、悪い奴だから殺せって言ったんだ

A lot of ronin ended up that way.

浪人の多くはそんな風に終わる

So...Step three?

で、ステップ3は?

To impose your will on your enemy, make for their weak points.

戦いの主導権を握り、敵の弱点を生み出す

Oh. Talking art of war.

ああ、兵法だね

You read Sun Tzu?

孫子を読んだのか?

Of course, man. All samurai know Sun Tzu.

当たり前だろ。サムライならみんな知ってる

 

 これを聞いてリースは嬉しそうにニヤッと笑います。ダレンのこと気に入ったんだろうなぁ。ときめく。

 そしてステップ4と5は、ボスを知り、攻略法を掴む、でした。チンピラの元締めが誰かを知った2人は、ステップ6にうつります。それにしても「ブライトンビーチに金を運べ」と言う台詞からも、元締めであるアンドレがHRと会っている事実からも、元凶がイライアスであることが示唆されていますね…。さすがNYを牛耳る男…。

 「ステップ6は楽しいぞ」と言ったリースは得意の車ぶつけ技でチンピラの1人を警官送りにし、1人を拷問してトラヴィス殺しの証拠品を手に入れます。この拷問テクすげえ…。全く人は傷つけてないのにかなり効果的…。7万ドル燃やしましたが、1000万円近くじゃん…マジで?と肝が冷えました。

 証拠品を手に入れた2人ですが、チンピラが警察署から釈放されたことを知り、ダレンは復讐に行ってしまう…。

 

 この後のリース&フィンチとカーター&ファスコによるダレンの救出劇がとてもよかった♡ ファスコが超いけてました。身を挺してダレンを守りお尻を撃たれてしまうのですが

 

Whatever you got to say, save it.

あんたが何を言いたいにせよ、やめといてくれ

I can already see the ass cake on my desk when I get back.

俺が復帰した時デスクにケツ型のケーキが置いてあるのがもう目に見えるよ

No, man, actually, I just wanted to say thank you for saving my life.

いや、違う。実際、助けてくれてありがとうって言いたかった

You're welcome, kid.

いいんだよ

Come on. Let's go. Get me out of here.

なあ、早くしろ。俺をここから連れてってくれ

Hey, take it easy, will you?

おい、優しくしろよ

 

 S1E10 Number Crunchでも思いましたが、ファスコって友達多いよね。デスクにケツ型のケーキ!笑える。

 ダレンは里親のもとに引き取られることになります。「定めは選べない。どう立ち向かうかだ」と伝えるリースに、ダレンは手描きの絵をプレゼントします。リースとファスコがダレンを見守るシーン、とてもよかった…。

 

 その裏でフィンチはウィルとアリシアが会っているのを陰で見守っていました。「マシン」の謎に迫ろうとするウィルに、アリシアが何を話すのか…。「本当に真実を知りたい?」と聞かれ、「もちろん」とうなずくウィル。ですが、アリシアはマシンについては話さなかった。彼女もまた、マシンを知るものがどんな運命をたどるのか知っていたからです。IFTは倒産寸前だった、政府はIFTを立て直すことに同意し、その見返りとして特許を1ドルで買った、と説明します。ネイサンがその時期従業員の多くを解雇していたこともアリシアの言葉を裏付けていた。

「彼は“マシン”に潰されたの…。お父さんは離婚を経験し、会社も潰れかけ、苦しい時期を過ごしてた。そんな中で亡くなったと知るのはあなたには辛いでしょうけど、もう忘れなさい」

 そう言うアリシアに、「ハロルドおじさんと同じようなことを言うんですね」と返すウィル。

「誰のこと?」「本当に会ったことないんですか?父の親友です。ハロルド・レン」と、ウィルはフィンチのことを話してしまう…。後のエピソードでネイサンとアリシアが「マシンを知るものは8人」「…7人でしょ?」と会話していることが分かるので、アリシアはおそらくここで気が付きます。ネイサンには親友がいて、彼もマシンのことを知っている…。S1ラストへのフラグですね。

 

 さて、ウィルはマンハッタンを離れ、スーダンで仕事を再開することを決意していました。アリシアから聞かされた“真実”には落胆した様子で。

「僕は父に対して複雑な思いはあったけど、常に尊敬してた。でも、父がまるで普通の人みたいに失敗もするんだってこと、ちょっと信じたくなかったんだ」

 フィンチは多分、ネイサンは失敗なんてしていない、って言いたかったと思う。言えたら、と思ったんだと思う。でもそれを言うことはできない。このまま何も知らずにNYを離れるのがウィルにとって一番だと。

「これだけは知っていてほしい。もっとも誇れる業績は何か聞かれると、彼はいつも君だと答えていたよ」

 フィンチの言葉、泣ける…。ネイサンっていいパパだったんだなぁ。そしてフィンチもめちゃくちゃウィルのこと愛してたんだと思う。自分が持てなかった子供の代わりに。

 去っていくウィルを切なそうに見つめるフィンチ。子供みたいに愛してたのに、最後まで真実を告げることができなかった…。そしてそのためにまた遠くへ追いやることになってしまいました。ほんと、グレースのこともウィルのことも、悲しすぎる。

 

 ラストシーンはリースとファスコ。フィンチについて掴んだ事実をファスコがリースに話します。

 

He's got so many aliases, I don't even know where to start.

奴には偽名が多すぎて、どれから初めていいのかすら分からなかった

Oldest one I could find is a Harold Wren.

俺が見つけられた一番古い偽名はハロルド・レンだ

He's an underwriter for an insurance company for a number of years.

彼は何年もの間保険業をしてる

Before that, MIT student, top of his class.

その前は、MITの学生だった。クラスでトップの成績だ

It was there where he met the kid's dad--

彼はそこで出会ったんだ。あの若い男の父親と————

You know, Nathan Ingram.

つまり、ネイサン・イングラム

He's that billionaire that got killed a couple years back.

数年前に殺された億万長者だ

Ingram...

イングラム

Graduated from the same class as Wren.

レンと同じクラスを卒業してる

Yeah, except I did a little more digging.

ああ、だが俺はもう少し調べてみた

Wren was the name he used freshman year at MIT.

レンはMITの新入生の時に彼が使った名前だ

That name doesn't appear on any records before '76, which tells me that Wren was a false identity too.

76年以前にはその名前はどの記録にも存在しない。つまり、レンも偽名だってことだ

This guy spent so much time being someone else, he probably doesn't know who he is anymore.

あの男はかなり長い事他人として過ごしてる。もう自分が誰だか分からないんじゃないか

"Only the paranoid survive."

パラノイアだけが生き残る、か

You know, Lionel...

なあライオネル

You could have been a good cop if not for a few bad choices.

もしお前も悪い選択をしなければいい警官でいられたのにな

You got me snooping around your boss, but I make bad choices?

自分のボスを嗅ぎまわらせておいて、俺には悪い選択をしたって?

Man has a point.

確かにそうだな

 

 後から、ネイサンはMITを卒業していない(中退)ことが分かるので、ファスコの調査内容と若干の食い違いがあります。フィンチは色々記録も改竄していそうだからこの時のファスコの言ってることがどこまで真実かっていうのはよく分かんないんですよね…。

 

 ネイサンは1962年生まれで(1956年ってなってるシーンもあったけど…)、1980年から1983年までMITに在籍してる。1980年に18歳だから、整合性があります。死亡記事でも享年48歳ってなってたし。フィンチはS3でアーサーと過ごした時間を「1981年のMIT時代だよ」とショウに話してるから、この年代に一緒に大学にいたのは間違いないと思う。

 一方ここでは「レン」が登場したのは1976年、大学1年生の時、となってます。レンは1958年生まれかもしれない(ハロルド・マーティンも確かそうだったはず)。もしかしたらフィンチ本人もそうなのかなぁ、って思ってもいます。

 S3E11のフラッシュバックでは、1969年(1月25日)に車のエンジンを分解、1979年(11月14日?4日?)に公衆電話をハッキングしてパリに電話、1980年(10月27日)にARPANETをハッキング、って感じでした。で、S5E10で国家反逆罪に問われたのは1974年であることも分かります。

 調べてみると、ARPANETの恒久通信が成立したのは1969年11月21日で、1975年にアメリカ国防情報システム局に運営が引き継がれています。この時接続されたコンピューターは57台だったとか。

 フィンチは少なくとも1979年の時点ではお父さんと2人で故郷で暮らしていました。その数か月後に父を施設に預け、1980年に政府に追われて父に別れを告げています。でも1974年の時点で国家反逆罪に問われていることが分かるので、どういうこと?ってなった。しかも1976年にはMITの学生なんですよね??

 状況から考えると、フィンチがMITに実際にいたのは1980年以降のように思われます。でもレンが入学したのは1976年。つまり時系列的には

 

1974年にハッキングか何かで罪に問われることにはなったけど、多分どこの誰なのか、っていうのはバレてなかったからそのままお父さんと暮らしていた

→1976年に「レン」名義でMITに入学

→1979年のフラッシュバックでは故郷にいて、お父さんに「お前は大学に行け」と言われてて、フィンチは「勉強はここでもできる」と返してる。大学生の身分のまま、休学か何かをしながらお父さんの面倒を見ていて、一方でARPANETに侵入していた?

→79年に父を預けるも、「記憶装置」を作るために80年にもまだ家にいるっぽい。でも政府に追われる身となり、完全に自分を忘れた父を置いて去るシーンがある

→つまりこの後、1981年頃にMITで正式に学び始めた?

→1981年の8月11日にお父さんは亡くなっている。訪ねてはいない

→1983年にネイサンは中退。フィンチは?一緒に中退してIFTを作った?卒業まで在籍していた?それとも「同じクラス」ではなく、フィンチは学年が上ですでに卒業していた?

 

 私はフィンチ1958年生まれ説ではないかと思ってて、もしネイサンと同じ1962年生まれだとすると国家反逆罪に問われたのが12歳ってことになっちゃうし公衆電話をハッキングしてパリにかけたシーンも16歳ってことになっちゃってちょっと辻褄合わない気がする。1974年に16歳、1976年に18歳で、ネイサンと出会ったのは22歳なんじゃないかなぁ。根拠はないけど、もしかしたら学年も1個上とかだったんじゃないかな、って思ってます。

 76年に18歳で大学に入って、1年か2年はそっちにいたんだけどお父さんが徘徊するようになって79年時点では休学していて、故郷に戻ってきていたのかもしれない。だからネイサンが入学した80年には、フィンチは2年生か3年生だったんじゃないだろうか。フィンチが先に卒業したからネイサンは一緒に起業するために&もしかしたら結婚して中退したのかな、と思ったので…(だってネイサン生きてたら49~50歳くらいで、ウィルは医者だから27歳以上なはずで、てことは22歳の時にはもう子持ちだよ…)。

 後のエピソードで、「君がそれほど緊張しているのを見たのは卒業論文の発表の時以来」みたいなことをネイサンがフィンチに言っているシーンがあったので、フィンチは卒業してると思う。

 

 ちなみにフィンチのモデルとおぼしきスティーブ・ウォズニアックは一度休学した後偽名で大学卒業してるし、スティーブ・ジョブズより5歳上だし、父親の影響でエンジニアになってるし、多分フィンチの経歴もそんな感じかなーって勝手に思ってます。

 

POI:ダレン・マグレディ(被害者?加害者?)

本編:2012年2月(トラヴィスが撃たれたのは1月27日、本編開始は1週間後くらいか)

フラッシュバック:なし