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現代歌人ファイル その110-しんくわ 感想

山田航 「現代歌人ファイル」 感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

しんくわ 

bokutachi.hatenadiary.jp

身の中にマブチモーターを仕込んでるとしか思えぬ奴の素振りだ

 

 マブチモーターってなんだろうって思ってたら、ミニ四駆とかラジコンとかに使われる小型モーターなんですね。ミニ四駆懐かしいなー。

 

 この人の短歌は『桜前線開架宣言』で初めて知ったのですが、こういうノリの人が短歌作ってるってことがなんというかそれだけで面白い。漫画方向なら分かるのですが、短歌か…。それでも短歌に込められた思い?みたいなことが解説で書かれていて、

 

この作品のすごいところは、べたついた抒情を回避することで短歌に対して批評的な側面を有していることだ。(中略)末尾を「だ」で締める歌が多い。(中略)これは体言止めによって生じる余韻を断ち切りたいためだろう。青春の回顧やノスタルジアによって生まれる抒情というのを徹底的に回避する。いつまでも終わらないリアルタイムのかっこ悪さを保持していきたいと願っている。

 

とあります。個人的にはべたついた情緒はすごく好みですが(笑)、自分の中二時代を青春として美化するのではなく、いやかっこ悪かったやろ、っていう書き方をしているのは純粋に面白いです。

 

ぬばたまの夜のプールの水中で靴下を脱ぐ 童貞だった

 

 なんてのもありますが、童貞よりもプールの水中で夜に靴下脱いでる方がびっくりだよ。これってなんでしょうか、童貞っぽい行動なの(笑)?むしろこの人はいつどこでどんなタイミングで童貞ではなくなったんだろう、と、それが気になるわ。だって中二の頃なんて童貞がデフォルトではないですか。違っている方がむしろちょっと特殊です。いや、中二かどうかは知らんのですが。高三かもしれないですね。そうなると微妙なラインですね。大学だとすると森見登美彦ワールドですね。でも

 

卓球部女子の平均身長が男子より高いのは反則だ

 

から、やっぱり中学生だと思う。

 

 最後は2003年の題詠100マラソンで全てペンギンを詠み込んだという歌の中から紹介されてます。

 

きらきらと光る凶器を魚だと言い張ってます。覆面ペンギン

 

こんなやつ。一つ一つ読みながら、どれがどんな題だったのかなーって考えましたが多分想像力が私のキャパシティとえらい違いそうなので分かりませんね(笑)。しかし、題詠ってなんかお題を与えられてるわけで、それでさらにペンギンしばりを入れてそんなにたくさん歌詠めますかね…。マジですごいですよね。なんでペンギンなんだろう。意外に応用がきくんだろうか。自分だったらどんな単語を選ぶかなぁ…。やっぱり3文字か4文字の言葉になるだろうな…。コーヒーとかどうだろう。いやそういうおしゃれ系?な言葉はダメかな…。

 

 しんくわリスペクト短歌作ってみたけど、これ系の歌は量産できません。

 

 

ニコ動の弾幕たるを唯一の団結として終える10代だ (yuifall)

 

 

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