北溟社 「現代短歌最前線 上・下」 感想の注意書きです。
千葉聡
レイアップもできない僕を見てリョウは虹の所有者みたいに笑う
差し入れのジュースは友のほっぺたにひゅるりと当ててから渡すのだ
「セバスチャンと呼んであげよう」圭ちゃんは下男タイプの僕をからかう
この人の短歌めっちゃ好き♡青春小説みたい。
高校中退のリョウとバーテンダーっぽい圭ちゃんの他にも、大学中退で建設現場で働くマサル、少女漫画の新人賞目指してる「君」(多分恋人)、離婚したばかりの登喜ちゃん、音楽の道を途中であきらめた鉄男(テオ)、入間で一人暮らしの弟、俳優の卵のケント、ボクサーのヒロ、総勢十名の劇団の演出家のヒデ、女優の卵の「彼女」、行方不明のてっちゃんなどが登場し、人が死んだり病気になったり色々します。この3首だけピックアップされてもよく分からないかもしれないですが…。そして私もアンソロジーで読んだだけなので、その全貌を理解しているとは言えないのですが。歌集で読むともっと面白いのかもしれません。
こういうストーリー系短歌読んでて、どうして小説じゃなくて短歌にしたんだろうって思ったのですが、自分でもちょっと作りはじめたら止まらなくなってしまった。いつも自作短歌は1~2首なのですが、今回はトリビュート千葉聡ということでウザく36首載せます(笑)!全部架空の人物です!リケジョたちの青春と現実みたいな(笑)。
あたしたち夢も部活も違うけどいつも5人で一緒にいたの
帰宅部のアミとミコトがニコイチで撮ったプリクラもらう翌朝
「ユイの声、好きだよ」カオリは砂浜に上がった人魚みたいに笑う
F管のシングルホルンを吹きこなすカオリの膨らむほっぺたが好き
ミコトとは交換日記してたんだ穂村弘が好きだったよね
放課後のマキは真っ赤に日焼けして鋭いサーブを打ってるエース
試験前部活も授業もない午後はミスド行ったり勉強したり
それなりにちゃんとやってた 勉強も進学校では青春だから
「白鳥の湖やるから見に来てね」アミはその他の白鳥の役
王子って基本バカそう オデットは何がよくって惚れるんだろう
「大学は行かない」アミが打ち明けるまでドトールに三時間いた
ソーセージとチーズが「正しい朝ごはん」アミはドイツでバレエをしてる
麻酔科医だったミコトの元カレはMJみたいに麻酔で死んだ
「あいつには麻酔されたくないね」ってマキとこっそり言っててごめん
工学部修士のマキはいつだって変な男に引っかかってる
痩せていて美人のカオリはちょっとでも食べ過ぎちゃうとすぐに吐いちゃう
「妊娠中?ほんとよゆーで吐いてたよ、悪阻かカショオか分らんかった」
自分より馬鹿な男とデキ婚し「娘のため」ってマキは笑うよ
二次会で会ったミコトはくだ巻いて未だにあいつのこと喋ってる
あんなやつ、こっそり二股かけてたよ、7歳上の小児外科医と
久々のアミとカシオレ飲みながら「ベルリンは失業者ばっかり」
アパートの近くの電波塔のこと 気にするんだね、ドイツにいると
吐きダコのできた右手で抱いていたカオリの息子はもう小学生
研究もバイトも育児もするカオリ「女医ならこんなんふつう」と笑う
博士号取って専門医も取って「鬱で休職してる」とLINE
いつも正社員に勧誘されるマキ 旦那の都合でまたも引っ越し
「キャリアはね、なかなか続かないんだけど、この子がいるから私はいいの」
「子育てのために仕事はやめらんない」抗鬱剤を飲みつつカオリ
30を過ぎてミコトは結婚し週末五度目の採卵に行く
「あした再受診とか急に言われるし仕事してるとけっこうきつい」
3000円のランチ片手につまみつつ「もう200万超えてるんだよ」
ミュンヘンでカールと結婚したアミは彼と英語で会話している
「あたしたちSATCみたいだね」Skype越しにアミは微笑む
あの頃の夢とか未来みたいなのなんとなく叶ってるのかな、今
大学も出たし仕事も続けてるあたしは一番「ふつう」のままだ
もう年に1度も会うことないけれど勝手にみんな好きでいるから
yuifall
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