洋楽和訳の注意書きです。
What It Feels Like For A Girl (Madonna)
作詞; Madonna, M.D.Torn, G. Sigsworth
作曲; Madonna, M.D.Torn, G. Sigsworth
Girls can wear jeans
And cut their hair short
Wear shirts and boots
'Cause it's OK to be a boy
But for a boy to look like a girl is degrading
'Cause you think that being a girl is degrading
But secretly you'd love to know what it's like
Wouldn't you
What it feels like for a girl
Silky smooth
Lips as sweet as candy, baby
Tight blue jeans
Skin that shows in patches
Strong inside but you don't know it
Good little girls they never show it
When you open up your mouth to speak
Could you be a little weak
Do you know what it feels like for a girl
Do you know what it feels like in this world
For a girl
Hair that twirls on finger tips so gently, baby
Hands that rest on jutting hips repenting
Hurt that's not supposed to show
And tears that fall when no one knows
When you're trying hard to be your best
Could you be a little less
Strong inside but you don't know it
Good little girls they never show it
When you open up your mouth to speak
Could you be a little weak
Do you know what it feels like for a girl
Do you know what it feels like in this world
For a girl
直訳
Girls can wear jeans
女の子はジーンズを履ける
And cut their hair short
それに髪を短く切ることもできる
Wear shirts and boots
シャツやブーツも身に着けられる
'Cause it's OK to be a boy
だって男の子になるのはOKだから
But for a boy to look like a girl is degrading
でも男の子にとって女の子みたいな恰好をするのはみっともないこと
'Cause you think that being a girl is degrading
だってあなたは女の子でいるっているのは屈辱的なことだと思ってる
But secretly you'd love to know what it's like
だけど実は、あなたはどんな感じか知りたくてたまらない
Wouldn't you
そうでしょ?
What it feels like for a girl
女の子ってどんな感じか知りたいんでしょ?
Silky smooth
絹のようにやわらかでなめらか
Lips as sweet as candy, baby
くちびるはキャンディみたいに甘いのよ、ベイビー
Tight blue jeans
タイトなブルージーンズ
Skin that shows in patches
あちこちからのぞく肌
Strong inside but you don't know it
内面は強いけど、あなたはそれを知ることはない
Good little girls they never show it
いい女の子たちはそれを決して見せないから
When you open up your mouth to speak
あなたが話すために口を開く時
Could you be a little weak
もう少し優しくしてくれない?
Do you know what it feels like for a girl
あなたは女の子ってどんな感じか分かる?
Do you know what it feels like in this world
この世界ってどんな感じだか分かる?
For a girl
女の子にとって
Hair that twirls on finger tips so gently, baby
髪は指先にとても優しく絡むの、ベイビー
Hands that rest on jutting hips repenting
突き出た腰に置かれた両手が悔い改める
Hurt that's not supposed to show
見せないことになっている痛み
And tears that fall when no one knows
涙は誰も知らない時に落ちるの
When you're trying hard to be your best
あなたがベストを尽くそうとがんばっているとき
Could you be a little less
もう少し力を抜けないの?
*冒頭の台詞は、1993年のイギリス映画からの引用だそうです。
ホワット・イット・フィールズ・ライク・フォー・ア・ガール - Wikipedia
*この歌は、ずっとyou=あなた、は男性で、「女の子ってどんな感じか分かる?」と問いかけるかたちで展開しているのですが、
When you open up your mouth to speak Could you be a little weak
When you're trying hard to be your best Could you be a little less
のところだけ、あなた=男性、なのかどうかよく分からないんですよねー。男性であると考えると、
「話すために口を開く時、もっと弱くしてくれない?」「ベストを尽くそうとがんばっているとき、もっと力を抜いてくれない?」となり、男性の強さや権威は女性にとって過剰である、というニュアンスになる気がします。
だけど、これは「話すときはちょっと弱いふりをしてる」「一生懸命なところを見せる女の子なんて痛いから力を抜くの」みたいな、いい女はそういうところを見せないようになってるのよ、っていう感じに取れなくもないなーと思い…。
もしかしたら、女が強くいることやがんばることは世の中では受け入れられないことなのよ、男であるあなたはそれを当然のことみたいに見せびらかさないで、というニュアンスなのかなぁ。
*Hair that twirls on finger tips so gently, baby
Hands that rest on jutting hips repenting
がどうしてもうまく訳せません。。twirls onってことはtwirlは自動詞なはずだから、「くるくる回る」だよね。Hair that twirls on finger tipsで「指先の上でくるくる回る髪」で、gentlyは副詞だからtwirlsにかかるはずで、だから「指先の上でとてもやさしくくるくる回る髪」になりますね。これは女性の髪のことであると思われるので、「指先」の持ち主は男性でしょうか。
一方でhands that rest on jutting hips repentingを同じような構文に当てはめて、handは女性の手でhipsは男性の腰、と考えるのはちょっと無理がありますよね。Jutting hipsはそのまま「突き出た腰」だと思うので、hands that rest on jutting hipsで「突き出た腰の上で休めた手」だと思うのですが、その後のrepentingが分からん…。Repentは動詞で「悔い改める」という意味と、形容詞で「地を這う」という意味があるようなのですが、repentingと現在分詞形になってるってことは、形容詞ではなくて動詞+ingですよね?ってことは「悔い改める手」ってこと?もともとは「突き出した腰に置かれた手が這いまわる」だと思ってて、これだと女性の腰と男性の手、と思っていたのですが、「突き出した腰に置かれた手が悔い改める」だと、腰も手も女性のもので、腰に手を当てる姿が思い浮かびます。ただ、「悔い改める」の意味が分からん。やっぱり、女性の髪と男性の指先、女性の腰と男性の手、と単純に考えた方がいいのかなぁ。まあ前半は「優しい髪」が女性のもので、「指先」はどっちのものでもいいように思えるのですが、後半は「手(両手)」が誰のものなのかで意味合いが変わってくるような気がして悩んでます。
・ちなみに、誰かがネイティブに意味を尋ねていたりするのではないだろうか?と思いhands that rest on jutting hips repentingというセンテンスでググったところ、
jutting hips | WordReference Forums
というサイトに当たりました。「この文脈で彼女が”repenting”という言葉で何を意味しようとしていたのか分からない」とあるので、ネイティブにも意味がつかみにくい歌詞なのかもしれません。でも、このQ&Aではhands that rest on jutting hipsの一例として挙がっていた写真はどれも女性自身が自分の腰に手を当てている様子だったので、ネイティブのナチュラルな発想で考えると女性の手と女性の腰、になるんだなーと思いました。
*この曲はglee S1で男の子たちが歌っていてすごく好きになった曲です。囁くようなイントロも好きだし、この歌を男の子たちが歌うっていう展開も好き。Could you be a little weakのところでアーティがみんなを見てちょっと笑うんだよね。これはやっぱり、「もっと優しくできないの?」って女性から男性への呼びかけなのかなってglee版を聴いてて思いました。でもこの歌、カートの声ほとんど聞こえないー!女声すぎるから?ハートが女子だから?(←この時自分で言ってる)
*最近フェミニズムに関する本をいくつか読んだので、そういう意味でも興味深く聴きました。しかしながらあのMVは何なの??曲もリミックス版だし、攻撃的すぎる!まーMadonnaだから…ってなんか納得しちゃってる自分もいるのですが…。
*歌詞の一部がケイティ・ペリーのI Kissed a Girlに似ているのですけど、I Kissed a Girlもある意味フェミニズムの曲なのかなぁ?まああんまりそういう政治的意図は感じませんけど…。でも、「女の子の身体が魅力的なのは男のためじゃない」ってメッセージなのかもな、ってちょっと思ったりもしました。
*すごく個人的なことですけど、この曲聴くと人生のある一時期のことをまざまざと思い出します。そういう曲って誰にでもあると思うのですが、そうなる曲とならない曲って何が違うんでしょうね…。Gleeにハマって好きになった曲ですけど、他にももっと好きな曲や何度も何度も聴いていた曲はあるのに、この曲が記憶と密接に繋がるのはどうしてだろうと思います。それがMadonna Powerなんでしょうか(笑)。
*ちなみに最近読んだフェミニズムの本は
『BOYS ~男の子はなぜ「男らしく」育つのか』 レイチェル・ギーザ著、冨田直子訳
『わたしたちが沈黙させられるいくつかの問い』 ソルニット・レベッカ著、ハーン小路恭子訳
ですけど、『BOYS』が面白かったなー。男の子を育てながら、男の子も生きやすい世の中を、という視点で書かれた本だからかもしれません。
ちなみに
『オトコのカラダはキモチいい』 二村ヒトシ、金田淳子、岡田育
も(全然アプローチは違うけど)、男性を性の主体から客体に転化させる目線を持つことで逆説的に男性も生きやすい世の中になるのでは、ということが論じられていて面白いなと思いました。
意訳
女の子はジーンズを履くことができるわ
髪を短く切ることもできるし、シャツを着たりブーツを履くことだってできる
だって男の子の恰好をするのは許されてるの
でも男の子にとって、女の恰好をするなんてみっともないことよね
だってあなたはこう思ってる、女でいるってことは屈辱だって
だけど本当は、知りたくてたまらないのよ
そうでしょ?
女の子ってどんな感じか知りたいんでしょ?
絹のように柔らかくて滑らかな手触り
くちびるはキャンディみたいに甘いの
タイトなブルージーンズを履けば肌が隙間からのぞくわ
本当の強さをあなたは知らないの
だっていい女は絶対に見せたりしないから
口を開いて強さを見せること
女にはそれが許されていないのよ
女の子ってどんな感じだかあなたに分かる?
この世界が女の子にとってどう感じられるか、あなたに分かる?
指先に髪は優しく絡むわ、ベイビー
突き出した腰に添えた両手で悔やむ
痛みは見せないことになっているの
涙は誰も知らない時に流すわ
全力で努力すること
女にはそれが求められていないのよ
本当の強さをあなたは知らないの
だっていい女は絶対に見せたりしないから
口を開いて強さを見せること
女にはそれが許されていないのよ
女の子ってどんな感じだかあなたに分かる?
この世界が女の子にとってどう感じられるか、あなたに分かる?
女の子ってどんな感じだかあなたに分かる?
この世界がどう感じられるか、あなたに分かる?
女の子にとってどう感じられるか…
*後から急に思ったんですけど、2番の歌詞って男性への呼びかけなのかな。「見せないことになっている痛み」「涙は誰にも知られないで流すもの」ってどっちかっていうと「男らしい」感じがしますし。
となると、2番の歌詞は
撫でてみれば髪は柔らかくて優しいのね、ベイビー
ふんぞり返ってみても、その両手で悔やむのよ
痛みは見せられないと思ってるのね
涙は誰にも知られずに流すものだって
ベストを尽くすために努力するのもいいけど
もう少し楽に生きてもいいのよ
って感じとも思えます。