講談社 穂村弘 著 「ぼくの短歌ノート」 感想の注意書きです。
平仮名の歌
この章は、
なぐるおやけるおとこらのいないことひとりぼっちでねむるしあわせ (つきの)
がすごいなと思いました。漢字にしちゃうと
殴る親蹴る男らのいないこと一人ぼっちで眠る幸せ
になちゃって全然雰囲気が変わるし、それにやっぱり解説にあるように、ひらがな表記だと「やけるおと」「こら」といった文字と文字の間の音が浮かび上がってきて、圧倒されます。
ひらがな表記の歌というと今橋愛のイメージですが、『トリビュート百人一首』で、
難波潟短き葦のふしの間も逢はでこの世を過ぐしてよとや (新古今和歌集 伊勢)
を
醒ケ井の梅花藻の白い花ほども
ふれず
こころに
さわったひとよ (今橋愛)
と本歌取りしてて、
こころにさわったひとよ。は「人よ」と、愛する人への呼びかけでもあるけれど、「一夜」「一世」も掛けた。
と本人が解説していて、やっぱりひらがなの魅力は掛詞だなと思いました。
というわけで今回は掛詞全開で遊んでみた!
しむやふなよをすみとをしあきゆかばただわがためにおもひともさむ (yuifall)