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桜前線開架宣言-石川美南 感想2

左右社 出版 山田航編著 「桜前線開架宣言 Born after 1970 現代短歌日本代表」 感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

石川美南②

 

 後半は歌集『離れ島』に収められている連作「物語集」からの作品で、「○○な話」っていう短歌の集合です。解説には「究極の怪談」と書かれていて、ほんとにすごい!一行で怪談!どれもめちゃくちゃ好きなのですが、

 

捨ててきた左の腕が地を這つて雨の夜ドアをノックする話

 

午前二時のロビーに集ふ六人の五人に影が無かつた話

 

なんかは正統派怪談!って感じですが、その中に

 

犯人の好物はパフェ 綿密なる調査ののちにわかつた話

 

とかも混じってて、とぼけた雰囲気です。

 

 これはねー、『遠野物語』(柳田国男)とか、『新耳袋』(木原浩勝・中山市朗)系のね、民間伝承系怪談ですよ。私、ホラーは大して好きじゃないんですがこういう系統の怪談は好きなんですよね。新耳袋全巻読んだはずなのに家にないな…。売ったのかな…。読み直したくなってしまって電書で大人買いしてしまった。。

 あと怪談じゃないけど、事故物件にガチで住んでる人が書いた『恐い間取り』(事故物件住みます芸人 松原タニシ)面白いです。こういうやつ好きなんだよなー。なんかね、過剰に怖がらせようとしてなくて語りが淡々としてるからあんま怖くなくて、むしろものによっては「なんじゃそりゃ」みたいなのもあって(笑)、基本オチも説明もないっていうあたりが好きなの。

 追記:この記事書いたの2020年5月頃なのですが、『怖い間取り』、8月に映画化されててびびった。しかも主演イケメンやん。そんなイメージじゃないよ(笑)。しかもこの本の淡々としてるとこが好きだったのに、映画ってなるとホラー系になっちゃうのかな。見てないので何とも言えないのですが…。

 

 「物語集」トリビュート短歌作ってみました。

 

投げられた無数の蛹身を捩り「にしやこつち」とささやく話 (yuifall)

網膜の奥這い回る血液を飽きもしないで眺める話 (yuifall)

 

 

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