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桜前線開架宣言-松村正直 感想

左右社 出版 山田航編著 「桜前線開架宣言 Born after 1970 現代短歌日本代表」 感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

松村正直

 

 この人の人生と自分の人生には全然重なるところがないのに、どうしてこんなに共感するんだろう。多分、だれもが共感する歌なんだろうな、と思います。東大を出て、日本各地を転々としながらフリーター生活をしてたみたいです。

 

新しい町で暮らせば新しい自分になれる(はずもないのに)

 

とか、

 

押ボタン式信号と気付かずにここで未来をじっと待ちます

 

とか、なんだか苦しいくらいに共感します。どうせ自分は自分でしかいられないのに、って思いながら逃げ出したくなる気持ちとか、自分でボタン押さなきゃならないところなのに立ったままでずっと何かが変わるのを待ってる気持ちとか、超分かる。

 

 これはほんと不思議だなって思います。だってこの人は私と違って実際に仕事や生活圏を転々としてたわけで、それって押ボタンを自分で押して、人生を自分でコントロールし続けていたってことじゃないのかな。それができないから葛藤してるというわけではなく、葛藤しているからこそ逃げ出してしまうのか?

 「新しい自分になりたいから新しい町へ行きたい、でも新しい町で暮らせば新しい自分になれるはずもない」って思いながらずっとそこにいるだけの人が大半なはず(私も含めて)。でもこの人は実際に新しい町に移動し続けていたわけで、確かにそこにいるのは「新しい自分」ではなかったのかもしれないけど、結果が分かっていたとしても実際に行動したことには意味があったのではないだろうか(多くの実験がそうであるように)。

 

 あとは

 

愛情であるならむしろガムテープよりもセロハンテープくらいの

 

というものもあるのですが、ガムテープよりセロハンテープの方が剥がしづらそうだな…と思いました。薄くて見えにくいって意味なのかな。

 

 

間違えたと気付いていてもそのままだ動く歩道に乗ってるように (yuifall)

 

 

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