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「一首鑑賞」-191

「一首鑑賞」の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

191.風呂の湯は素数に設定されていて私は1℃上げてから出る

 (吉野亜矢)

 

 砂子屋書房「一首鑑賞」で魚村晋太郎が取り上げていました。

sunagoya.com

 家のお風呂、冬場はいつも41℃に設定しています。素数ですね。この人の入ったお風呂も、37℃ということはないと思うので41℃かなと思いました。さすがに43℃だったら、「1℃上げる」のはちょっと高すぎますし。

 41℃のお風呂、けっこう温かいと思います。調べてみると全国平均が41℃で、地域差はほとんどないそうです。それを「1℃上げる」というのは、多分、「熱いと感じてほしい」ってことなんじゃないだろうか。「上げてから出る」んだから、自分が温まりたいわけじゃないはずです。

 

相手の部屋でお風呂を使ったら、湯の温度が素数に設定されていた。

偶然なのだろうが、素数、というのが相手の性格にぴったりくるような気がした。

湯がぬるいとかではなく、素数のそのつんとした感じが、主人公にはちょっとしゃくに思えた。

あ、熱い、男にそう思わせたくて、主人公は1℃だけ温度をあげる。

そんなふうに読んだほうが、素数という言葉が生きてくる気がする。

 

と鑑賞文にあります。

 

 確かに、「素数」っていう言い方いいですね。なんか、理系のちょっと理屈っぽい男の人が頭に浮かびます。多分、お湯の温度上げられたことに気付くタイプ。気付かないタイプだったらつまらんですもんね。41℃のお湯なんて、全国平均と全く同じでおそらく意味は全然ないんでしょうが、「素数」とされることでぐっときますね。納得です。

 

 

"Eureka!" 裸のままで駆けて来て私が金の冠だから (yuifall)

 

 

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