「一首鑑賞」の注意書きです。
65.2040年の夏休みぼくらは懐かしいグーグルで祝祭を呼びだした
(フラワーしげる)
これは2015年の『ビットとデシベル』という歌集に収録された歌だそうで、2015年→2040年だから25年後ですね。2015年には人口に膾炙していたグーグルが25年後には「懐かしい」「祝祭」となっているわけです。
この歌、グーグルすら懐かしいものになっているという近未来が舞台ですが、なんとなく『スタンド・バイ・ミー』のような雰囲気が漂ってます。どうしてそんな印象を受けるのだろうと思ったのですが、「夏休み」「ぼくら」「祝祭」というどこか明るい単語の組み合わせでしょうか。鑑賞文にも
やはりこの一首には、どこか冒険してやろうという「ぼくら」の弾む気持ちが満ちている。少年は、いつの時代も変わらない。「懐かしい」という言葉から、「ぼくら」がリアルタイムの少年でない可能性もあるが、一首全体の印象は、夏休みの始まりに特有な輝きで明るい。
とあります。
それにしても「呼びだした」という言葉の使い方、それに「2040年」が合わさると、実際に「祝祭」なるものが目の前に現れたかのように感じられますね。グーグルが懐かしくなるような未来ならそういうこともあるのかもしれないなって思わせられました。
2020年の夏休みぼくらはなにもかもが懐かしかったよね人間の顔とかGoogleで調べながら (yuifall)