「一首鑑賞」の注意書きです。
41.滅んでもいい動物に丸つけて投函すれば地震 今夜も
(我妻俊樹)
一読して東日本大震災を連想したし、「滅んでもいい動物」って人間なのかなって感じたのですが、地震で死ぬのは人間に限ったことではないはずで、地震ー「人間の」滅び、という連想は驕っているなと我ながら思いました。
一体どこに郵送されていって、どういうメカニズムで地震が起きるんだろう。全く分かりませんが、こういうふうに考えたことが一度もなかったので、なんか感心しました。自分には思いもよらないことを考えている人がいるということの圧倒的なすごさを感じるし、それが非論理的だからこそより心惹かれます。
それにしてもこの今夜の地震で何が滅んだのだろうか。なんか、全然関係ないのだけど
相触れて帰りきたりし日のまひる天の怒りの春雷ふるふ (川田 順)
を思い出しました。
そういえば『ねむらない樹 現代短歌の「わたし」とは何か』で宇都宮敦が「世界がわたしに奉仕すると考えるのが「わたしの世界」」と言っていましたが、
これらの歌が「わたしの世界」って感じだろうか?僕が滅んでもいい動物に丸をつけて投函したから今夜も地震なのだ、あるいは、僕が不倫をしたために春の雷が鳴っている、天の怒りであろう、と。
滅びゆく種として祈る500年たったら魔晄炉も森だよ、ね (yuifall)