山田航 「現代歌人ファイル」 感想の注意書きです。
西王燦
ビイルマン・スピン映せるテレヴィの水上の痕だらけの霞網
この人の歌は全て27文字に統一されていて、しかもおびただしい数の固有名詞が登場するそうです。なんて厳しい縛りで歌を詠んでいるんだ…。挑戦してみたけどかなり厳しかったです…。固有名詞は横文字が多いのですが、作ってみてその理由が分かりました。漢字だと字数的にかなりしんどいです(笑)。でもいい感じの横文字固有名詞が思い浮かばなかったので漢字のまま無理矢理作ったが無理矢理感がすごくなってしまった…。
この人の歌に登場する固有名詞はほとんどが分からないのですが、固有名詞が分からないのは今に始まったことではないので(笑)その辺は仕方ないものとしてググりながら読みました。
三十三歳、モーツァルトの享年を越ゆ一瞬のためらひののち
こういう歌をさー、27文字ぴったりという縛りで詠み続けるのすごいよですよね…。こないだたまたまテレビをつけたらダジャレを3万個以上作ってノートに書いてる人が出ていましたが、なんというか圧倒されました。とはいえ、字数や固有名詞に目を取られてしまい、肝心の内容の読みまで頭が回りません…。スタイルというのはスタイルそのものに思想性が宿るのかもしれないと思ったりしました。ヒップホップ文化なんてそういう感じですよね。
27文字縛りの歌がたくさん揃うとビジュアル的な美しさもあって全体として一つの作品という感がありますので、ぜひ元のページをご覧ください。
それにしても、解説には
革命の夢が潰え、確かに若さを喪失していく自分との葛藤。外国の音楽や映画が多数登場する世界はおしゃれであるが、生活感はない。これらの歌で表現されているのは革命思想が潰れていったのと同時に、自らの住む「知」の世界もまた崩壊していったという認識だろう。その先は、空虚ぎりぎりの言語遊戯に浸るばかり。「敗れたインテリ」の苦さがよく描かれている。
とあり、横文字の固有名詞+字数縛り、というおしゃれすぎるこだわりが過ぎると駄洒落っぽくなってくるなーという感覚を山田航も抱いているような気がします(笑)。
しかしこの人は実際は林業に従事しているらしく、それもかなり驚愕したわ。晴耕雨読的な??インテリの人って極めると自然回帰系に行くパターンありますよね…。
みづいろの洗剤注ぐきんぎょばち川内倫子の眼がほしかりき (yuifall)