山田航 「現代歌人ファイル」 感想の注意書きです。
熊谷龍子
君のしぐさひとつのこらずみていたい のに燃え尽きるマッチ棒
この歌すごく好きです。1943年生まれの方と知ってびっくりしました。Trainの”Hey Soul Sister”を思い浮かべます♡
The way you move ain’t fair you know
Hey, soul sister
I don’t wanna miss a single thing you do tonight
そんな素振りはずるいよ
僕のソウルメイト
どんなささいな仕草も見逃したくない、今夜…
またglee見直したくなっちゃったなー。下の句の、「のに燃え尽きるマッチ棒」もいいですね。
マッチ擦って見ているのか、どういう状況なんだろう。今までずっと、薄明りの中で恋人の様子を見守っている図を想像していたのですが、よく考えてみると全然違う気がしてきた。マッチ売りの少女的な感じでしょうか。マッチが燃えている間だけ幻が見えるみたいな…。
眩暈 ああ私宛の郵便物が私を捜している
すごい不思議な歌ですね…。全然定型じゃないし…。字足らずテクニックってうまく使えないので、こういうの自由な人憧れます。解説には
とりわけ目を引くのは2首目の「眩暈」の歌だろうか。とても大胆な破調で大げさに歌われているように見えるが、よく考えると当たり前のことを言っている。しかしそんな「当たり前のこと」すらも日常の中にじわりと浸食する異世界のような感触をもたせてくれるのが熊谷の詩的素養である。
とあります。「当たり前のこと」と言ってますけど、「私が私宛の郵便物を探している」じゃなくて、「私宛の郵便物が私を探している」なんだから、異世界感は十分かと思われます(笑)。
暗い海に遙かな街の灯をさがす記憶のなかの語彙流れゆく
暗闇はすなわち未来 村祭りをたったひとりでぬけだした夜の
現在、過去、未来と、近くにあるものと遠くにあるものが混沌としています。こういう表現って詩的で現代的もあり、一方でどこかクラシカルなところもあり、意外と普遍的な感覚なのかもしれないと感じました。
くちづけを知らぬあなたがやがて着く夢の汀に待ちたきものを (yuifall)