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現代短歌最前線-大塚寅彦 感想3

北溟社 「現代短歌最前線 上・下」 感想の注意書きです。

 

yuifall.hatenablog.com

大塚寅彦③

 

素足もて海のテクスト読むごとくまつはる波を踏みて歩めり

 

海はけふ傷のごとくに鮮しと告げくるひとをまぶしみてゐつ

 

 海シリーズです。この人の言葉の使い方本当にいいなぁ。「素足もて海のテクスト読む」とか「海はけふ傷のごとくに鮮し」とか…。どうしたらこんな言葉が出てくるのかなーってどきどきします。

 イメージ的には日本の海で(ハワイとかではなく笑)、でも漁港とかコンビナートとかではなくて砂浜で、ぱっと思い浮かべたのは石川県の海岸線です。愛知出身みたいなので本当は愛知県かもですけど、なんか勝手に日本海(笑)。で、朝なの。朝焼けにきらきらしてる海で、ほんと月並みなアニメっぽい妄想だけど、白いワンピースの細い脚の女の子なんだ。帽子かぶってさ。ちょっと行った先で振り返るんだ。あー、これは土岐友浩の

 

砂浜はまだつめたくてあなたなら僕よりもっと遠くまで行く

 

と同じ妄想だな…。どうも発想が貧困でいけませんね。でももっと想像を膨らませると、土岐友浩の歌の相手は恋人なんだけど(しかも多分、同じ未来がないって分かってる恋人)、大塚寅彦の歌の方は、海にはね、年に1~2回来る感じなの。親の実家とか墓参りとか夏休みのバカンス(別荘)とか。で、相手はその時だけ会う地元の子なの。お互いほんのり好きなのは分かってるんだけどどうしようもない的な。小学生の初恋ね(笑)。で、受験あたりを期に行かなくなって会えなくなって、

①青春時代にその子の死が発覚する→純文学 

*ただしこの場合過去に彼女と性的な意味でいざこざがあったことが後日分かる仕掛けになっている。いわゆる「信用できない語り手」パターン

②高校だか大学だかで再会する→ハーレム系ラブコメ

③そのままよく分からずうやむやになる→現実に一番近い(もしかしたら彼女は地元のヤンキーと中卒でデキ婚して結構たくましい漁師の嫁になっているかもしれん)

④事件に巻き込まれる→名探偵コナン

⑤実は自分にしか見えてない→学校の怪談

⑥今の時代だとネット上で付き合いが続くってことがありうるのか…。夢があるようなないような…

ってとこまで妄想しました。

本当はどういうストーリーなんでしょうね。多分、実際はもう大人同士の二人なんだろうなと思ってます。

 

青空の青のゆゑ問ひいつしかに睡りし君もわれもをさなし

 

 これは「空はどうして青いの?」ってことですよね。これ系の短歌、限りなく胸がときめくわ。辰巳康子の

 

わたしのことどのくらい好き海より好き 問ふ日々もあり幼かりしか

 

とか、谷岡亜紀の

 

きらきらと空眩しくて選ばれし我と思いし日々も過ぎにき

 

とか、苦しいくらいにきゅんとします。なぜだろう…。自分はこんないたいけな子供ではなかったような気がするので、より一層憧れが募るのかな…。空の青さの理由を知ってしまって、海よりは愛されないことを知ってしまって、選ばれた人間じゃないことを分かってしまって、だからこそ空がきらきらと眩しいのかもしれません。もう僕のじゃない、きみの空だよ、って。

 

 

あの日より海岸線を疵となし笹船ひとつ擱座してゐる (yuifall)