北溟社 「現代短歌最前線 上・下」 感想の注意書きです。
大塚寅彦②
ライナスの毛布のごときもの欲れど愛なんかぢゃない淡き夕暮
ライナスの毛布的なものって言葉で言うと何だろう?「愛着」が最も近い気がしますが、「執着」ともいえるかもしれません。というかこの場合の「愛」って何だろう?多分ここで「愛なんかぢゃない」と歌われている「愛」はプラスアルファとしての「愛」で、ライナスの毛布的なものはもっとBasicな「愛」なんだと思うな。
言葉って難しいですね。「愛なんかぢゃない」んだけど、やっぱりある意味では「愛」でしかないというか…。というか「愛」という言葉が幅広い感情をカバーしすぎなんですよ(笑)。BLとかだと余裕で殺し愛ますからね(笑)!
てのひらのかたちの闇をひきつれて手袋おちてゐる昼の路
これも「物質を詠む」系統です。てのひらのかたちの闇…。藤原伊織の『てのひらの闇』思い出してしまった…。手袋を拾って中を覗いたら闇が湧き出してきそうな感じですね。「昼の路」がいいなって思います。夜だと闇が際立たないですもんね。
巻貝のかたちのパンを選びゆく朝さまざまの風生るる朝
これも好き!「巻貝のかたちのパン」か!ただのロールパンがなんかすごいいいものみたいに思える!もしくはクロワッサンなのかな?「選びゆく」だからビュッフェっぽいし。この人のフィルターを通すと普通のものがすごいいいものに見えてきますね。
掴めない水色の声アスファルトがゴムになってく午後きみといた (yuifall)
現代短歌最前線-大塚寅彦 感想1 - いろいろ感想を書いてみるブログ
現代短歌最前線-大塚寅彦 感想3 - いろいろ感想を書いてみるブログ
現代短歌最前線-大塚寅彦 感想4 - いろいろ感想を書いてみるブログ
現代短歌最前線-大塚寅彦 感想5 - いろいろ感想を書いてみるブログ