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桜前線開架宣言-松木秀 感想2

左右社 出版 山田航編著 「桜前線開架宣言 Born after 1970 現代短歌日本代表」 感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

松木秀②

 

 この人は時事詠も得意とするようなのですが(解説より)、読んでいる時期や関心の対象が違うと時事ネタかどうかってよく分からないところもありちょっともどかしいですね。

 

輪になってみんな仲良くせよただし円周率は約3とする

 

「頑張った」高校野球を讃えたるひとたちが生むブラック企業

 

とかはニヤッとします。

 時事詠は皮肉な風刺が効いててスマートだなーって思うのですが、私の方にそれを100%理解できるキャパシティがないのが残念です。現実の出来事にあまり興味がないのでよくないですね…。もちろん常識として一応情報は得ているけれど、情報の速度や深度についていこうという気がないので時事ネタや風刺ネタとの相性が悪いです。相性が悪いというのは好きじゃないという意味ではなく、作品の良さを完全に消化しきれてないし、そういう作品を作れないという意味で…。もったいない…。

 

 やっぱりコンビニの歌が好きで、

 

さんさんと夜の光のコンビニにいると死なないような気がする

 

とか、分かるなー。コンビニってなんか、アンドロイドっぽいんだよね。だからこそ震災とかでコンビニが閉まってた時は不安だったな。だけど同時に開いたときは嬉しくて、やっぱりコンビニだって人がやっているから、そういう人たちに安心感をもらってるんだよなーって思いました。『左手に告げるなかれ』(渡辺容子)とか『コンビニ人間』(村田沙耶香)とか読みながらコンビニについていろいろ考える…。

 

 全体的に心に残る、というか言葉のスピードが速い!剛速球!と感じる歌が多いのですが、

 

オホーツク紋別かなし自殺者の数にばっかり引用されて

 

という歌には異をとなえたい(笑)!私がオホーツク紋別を知ったのは、『パラダイス山元の飛行機の乗り方』(パラダイス山元)という本からです!羽田からオホーツク紋別空港に行って流氷を見て帰るんだって。楽しそうだなー。この本サンタさんが書いてるんだよ♡

 自殺が多いのは秋田、青森のイメージですね。寺山修司太宰治ですね。ちなみにこの人の歌にはハルシオンデパスブロムワレリル尿素リスパダール等が登場しますが、精神科に通っているのか、単にそういうモチーフが好きなのかは分かりません。

 

 

頑張って るかはもはや分からない離脱できないSSRI (yuifall)

最終回を見ずにはぼくは語らない歴史もドラマもきみの命も (yuifall)

 

 

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