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短歌タイムカプセル-河野裕子 感想

書肆侃侃房 出版 東直子佐藤弓生・千葉聡編著 「短歌タイムカプセル」 感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

 河野裕子

 

手をのべてあなたとあなたに触れたきに息が足りないこの世の息が

 

 この人は乳癌で亡くなられていて、夫の永田和宏が書いた『たとへば君』という本を読んで泣きました。本当に、どんな恋愛小説よりも泣きました。2人とも歌人で、分け合った40年を思って、40年の愛を思って。魂の伴侶、soul mateという言葉がありますが、まさにそうだったんだろうと思います。その片割れを置いていくこの歌、この一行だけでいつも泣きたくなってしまう。与謝野晶子

 

青空のもとに楓のひろがりて君亡き夏の初まれるかな

 

をふと思い出しました。でも、女性が男性を置いていく状況というのがより辛いなぁ、と思うと胸が締め付けられます。

 

 このアンソロジーで紹介されてる20首だけでも、若い日の

 

たとへば君 ガサッと落葉すくふやうに私をさらつて行つてはくれぬか

 

から最期の歌まで、出会って恋に落ちて結ばれて子供を産み育てて年を取って病んで夫を残して逝くという一人の女性の人生がそこにあって、最後まで夫を愛し続けた強い意志に胸を打たれました。

 

 

青銅の肉体捨てて寄り添へど汝を抱くための腕があらず (yuifall)

 

 

*この歌、本歌取りというにはちょっとおこがましすぎるので本歌取りタグつけずにTwitterに投稿しました。。河野裕子へのリスペクト短歌ではあるのですが、本歌取りとは思ってません。

 というかもともと自作短歌の全てが素人のカラオケ的な感じなので、わざわざここで再度それを言うのもって気がするのですが、この歌に関してはどうしても言い訳したくて…。他にも歌色々考えたのですが難しかったです。もうほんとダメですね。河野裕子の歌とか見てると、一生こんな言葉は出てこないなって心底思います。