「一首鑑賞」の注意書きです。
363.われといふ瓶(かめ)をしづかに盈たしたる素水(さみづ)と思ふ、九月の君を
(高島裕)
砂子屋書房「一首鑑賞」コーナーで大松達知が紹介していました。
10代の頃、好きな短歌をただひたすら書き写したりしていた時がありました。特に意味を解釈するでもなく、ただひたすら。カラオケで好きな歌を歌うみたいに。そんなことを思い出しました。なんというか、意味を解釈するよりも、言葉に浸っていたいと感じさせられる歌です。
掲出歌は、
・はろばろと稲田を渡る風清(すが)し 夏越えてなほあなたを思ふ
・片恋と思ふあとから仄かにも意味に潤んだまなざしに遭う
の2首に挟まれている。
と鑑賞文にはあります。ということはほんのり両片想いと認識している相手なのかな…、などと考えかけたのですが、何かやっぱりあんまり背景とか解釈したくない感じがする。「夏越えてなほあなたを思ふ」「片恋」「仄か」「意味に潤んだまなざし」と、言葉が全部綺麗でとてもぐっときます。このままただ口ずさんでいたいと感じるような歌でした。
八月をつらぬくようなまなざしで振り返ってもまだそこにいて (yuifall)