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「一首鑑賞」-361

「一首鑑賞」の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

361.少年はいつもむきだし 天からの手紙に濡るるその眉と肩

 (三枝浩樹)

 

 砂子屋書房「一首鑑賞」コーナーで吉野裕之が紹介していました。

sunagoya.com

 多重の解釈が可能な歌です。何らかの衝撃に対して無防備だから“手紙”の内容に傷ついてしまうとも、あるいは“手紙”は雨の比喩で、“眉と肩”は何かの構造物の比喩とも読めます。鑑賞文にはこうありました。

 

「天からの手紙に濡るるその眉と肩」。手紙は雨。眉と肩は、葉と枝の比喩だろうか。手紙に濡れる眉と肩。雨に濡れる葉と枝。いわば比喩が交差した、あるいは重層した構造となっているのだろう。

 

 しかし吉野裕之は、冒頭にこう書いてもいます。

 

三枝浩樹の作品は、豊かに時間を抱えてそこにある。解釈は可能だけれど、解釈をしないほうがいい、解釈のためのことばを重ねないほうがいい。つまり、ことばの手触りと韻律によって支えられた作品たち。豊かに時間を抱えているがゆえに、ことばの手触りと韻律が確かなのだ。

 

 そうだよなぁ、と思いました。解釈せずにそのまま“いいなあ”って浸りたい気持ちになる歌です。他にも

 

昨日とはきみのいた時くさぐさのしぐさ会話の尽きざりし時

 

なんでもなくはじまってゆく退屈ないつもの朝に戻れたら……いい

 

などが引用されており印象に残りました。

 

 

きみだけは嘲笑ってもいい心臓をスイカみたいに握り潰して (yuifall)

 

 

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