「一首鑑賞」の注意書きです。
329.死ねばいいと思われた アウシュビッツでガザ地区で東京のアパートで
(野樹かずみ)
これは
ゲットーの四角い窓から降る雪をみているもうすぐ永遠に留守
(野樹かずみ)
の「一首鑑賞」ページで黒瀬珂瀾が取り上げていた歌です。
読んでどきっとしたのは、自分が「アウシュビッツ」とか「ガザ地区」と「東京のアパート」を死で繋ぐという発想がなかったからかもしれない。死で繋ぐというより、「死ねばいいと思われた」という個人的な経験として「アウシュビッツ」や「ガザ地区」を捉えたことがなかった、と言った方が正確かもしれません。
ただ、やっぱり「アウシュビッツ」や「ガザ地区」は個人的な経験とは違うのではないかという気持ちもあり、例えば「東京」で言うならば「フェミサイド」みたいな「女性だったら誰でもよかった」といったものに当てはまるのかなと考える一方、被害にあう側の立場から見ると「個人的な経験」なのかもしれないとも思う。でも、「死ねばいいと思われる」ことと実際に「殺される」ことの間には大きな隔たりがあるとも思う。
結局、私は死ねばいいと言われたことも殺されたこともないので本当のところは分かりません。思われたことはあると思うけど分からないし。自分も思ったことはあるけど口や態度に出したことも実行に移したこともありません。このハードルを越えるってどういうことなんだろうなと思うと途方もない気がする。
この歌の初出は載っていませんが、「一首鑑賞」の記事自体が2011年のものなので、少なくとも13年以上は前になります。ガザ地区の問題が全く解決していないことにも思いを馳せたのですが、個人的な経験という意味で受け止めると、結局人は死ねばいいと思ったり思われたりしながら生きていくんだろうか、と思った。
12年会ってませんね よかったよあの時きみを殺さなくてさ (yuifall)