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読書日記 2024年7月24-30日

2024年7月24-30日

・川上和人『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』

・小松貴『昆虫学者はやめられない』

・小林快次『恐竜まみれ 発掘現場は今日も命がけ』

・川上和人『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』

加藤陽子『それでも、日本人は戦争を選んだ』

保阪正康『昭和史 七つの謎』

・中村圭志『教養として学んでおきたい5大宗教』

 

以下コメント・ネタバレあり

・川上和人『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』

 いや鳥めっちゃ好きやん。この人の文章めちゃくちゃ面白いです。この本とても売れたみたいですがさもありなんですね。特に南硫黄島上陸のあたりは読みごたえありすぎた。無数の死体、落石、それにハエ…。たまんないですね。カタツムリのエクストリームヒッチハイク笑ったし、吸血カラスのくだりも面白すぎだし、他の本も読みたいです。こういう文体たまんないよね…。たまに二次でこういう小説書ける人に出会うと羨ましすぎて悶絶する。一次だとただ敬服するばかりです。ほんと好きです。多くの人におすすめしたい。

 

・小松貴『昆虫学者はやめられない』

 今度は昆虫好きすぎの人。鳥好きすぎの人より昆虫好きすぎの人の方が多そうだし、実際在野の昆虫マニアの話もちょくちょく出てきます。科学者として「これは許せない!」みたいなこともある一方、「なんでもかんでも科学的に説明したくない。そんなん“妖怪のしわざだ”とか言いたい」みたいな発言とか笑えました。あと、最近の男向けアニメはワンパターンだ(美少女がたくさん出てくる、主人公が意味なく美少女にモテまくる、主人公が意味なく特殊能力で無双しまくる)と書きながらも、「自分はそんなワンパターンな美少女アニメが好きだし主人公が意味なく無双するやつはとてもわくわくする」と潔いとこも笑えた。主に昆虫、あとはカエルやカラスなど他の生き物の話も含まれていますが、何であれ何かを猛烈に好きな人の語りって面白いなぁと思いました。まあ自分もオタクだからかもしれませんが…。

 

・小林快次『恐竜まみれ 発掘現場は今日も命がけ』

 今度は恐竜好きすぎの人。アメリカの大学を首席で卒業し博士号を取得し世界を股にかけて活躍しネイチャー誌にも論文が載ったこともある世界的考古学者の人です。鳥や昆虫と違って恐竜を本格的にやろうと思ったら世界に出ることは避けられないのか…。それでも原点は福井のアンモナイト発掘(福井県出身の方らしいです)、現在は北大に在籍しむかわ竜の発掘にも関わった方だそうで、日本の考古学に多大な貢献をされてます。前二者のエッセイと違い登場人物が多く、人間同士が会話するシーンが多いのが印象的でした。アラスカとかモンゴルとかとにかく行くだけで大変な場所で発掘作業していて、「クレイジージャーニー」というテレビ番組にも出たことがあるみたいです。

 立て続けにエッセイ3本読んで、生き物についてとことん調べるってほんとすごいなぁと思ったし、「何に役に立つのか」みたいな点も含め、科学者でいるというのはどういうことかを考えさせられました。

 

・川上和人『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』

『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ』が面白かったので買ってみた。解説は『恐竜まみれ』の小林快次です。恐竜の子孫が鳥類であるという学説から逆に「鳥がこうだから恐竜もこうだったかも?」みたいな内容で面白かったです。「白い恐竜はいたのか?」「ホッピングしていた可能性は?」「樹の上で生活していた可能性は?」など、鳥から遡った妄想が爆発していて感心します。へー、そんな考え方もあるのかぁ、という。解説は恐竜学に命かけてる人が書いてるので受け入れ度100%とは言えませんでしたがそれでも「面白い視点」みたいなこと書いてました。

 

加藤陽子『それでも、日本人は戦争を選んだ』

 いつかは読まなきゃなと思いながら積読になっていたのですが、夏だし手に取ってみました。近代史にはとても興味があるのですけど、私の致命的な欠陥として、固有名詞や年号が全く頭に入ってこない問題があります。一時期ロシア革命ソ連本にハマって読みまくってたしその後は第一次世界大戦本、そして半藤一利第二次世界大戦本もたくさん読みましたが、全く自分の血肉になっていると思えません。なぜなら全く覚えられないから。山県有朋とかこの時代の本読んでると頻出するのですが未だに何をした人なのかはっきり理解できてない。『昭和史の人間学』(半藤一利)も読んだんですけどね…。

 これは東大教授の加藤陽子栄光学園の生徒(中1~高2)に近代の日本が経験した5つの戦争(日清戦争日露戦争第一次世界大戦満州事変・日中戦争第二次世界大戦)についてディスカッション形式で講義する内容なのですが、中高生の発言のレベル高すぎてビビりました。全然そんな発想出てこない…。自分が情けなくなりますね。明治中期~昭和前期ですらこのありさまなので、幕末なんかさっぱり理解できてないです。いつかは関連本読むつもりだけどどこまで理解できることやら…。

 

保阪正康『昭和史 七つの謎』

 こちらは戦前~戦後くらいまでの昭和史の謎について書いた本です。一部は『それでも、日本人は戦争を選んだ』と年代が被っているので、著者や視点が違うと同じものが違って見えるの面白いなと思いました。松岡洋右国際連盟脱退演説について保坂正康はわりと辛辣に書いているのですが、加藤陽子は擁護的です(ただし本人も「私は松岡に甘いとよく指摘される」と言っていた)。あと半藤一利が指摘していた対華21カ条要求の理不尽さについては加藤陽子はあまり触れていませんでした。一方加藤陽子日中戦争突入前の中国の葛藤や、当時の世界情勢において帝国主義全体主義、民主主義、共産主義というイデオロギー的対立がどう影響したかを分かりやすく触れていてそこはとても面白かったです。

 この保坂正康の著書は「謎」というだけあって、一部当時の陰謀論的なものにも話が及んでいてそれが興味深いと思いました。今までそういう視点から日本近代史を見たことがなかったので。スパイ活動や反GHQ地下組織の有無、M資金の話なんかがそういう系です。M資金って知らなかったのですが詐欺事件たくさんあったんですね。ただ一番新しくて昭和60年代?みたいな話だったので、今はもうないのかな、さすがに。文庫の発行が2002年だそうで多分書籍自体はもっと前だと思うので、平成初期に書かれた本と考えると昭和60年代はそれほど遠くないのですが、今となっては昭和は遠くなりにけりって感じです。今から昭和を振り返るとどんな感じになるんでしょうね。今まで読んだ『昭和史』って圧倒的に戦前が多かったのですが、戦後の話もそろそろ歴史にならないのだろうか。

 ところで直接は関係ないんですが、こういう本を電子書籍サイトで買うと「あなたへのおすすめ」が50代男性向けになるというか、グラビア誌や青年コミック等でいっぱいになるのほんと勘弁してほしい。

 

・中村圭志『教養として学んでおきたい5大宗教』

 思ったより短い、ムック本みたいな感じの気楽な本でした。電書ってこういう時困るんだよなぁ。なんか本の雰囲気が掴みにくいというか。ディープなのかライトなのか、科学の本なのかスピ系なのかよく分かんないもん。林望と田坂広志でめちゃくちゃ懲りたのですが、ほんと実用書って当たりはずれがキツイです。小説よりきつい。

 まあこれに関しては思ったよりライトだったというくらいで大きな不満はないです。さらっと読めて分かりやすかったです。巻末に参考文献が載っていて、もっと学びたかったらこれがおすすめ!ってあるのでそれを今度読んでみようかな。