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読書日記 2024年6月26日-7月2日

2024年6月26日-7月2日

横山秀夫半落ち

西崎憲『ヘディングはおもに頭で』

・今村章生『餞』

・佐田三季『クライ、くらい夜の終わりに』

ジェイムズ・P・ホーガン(池央耿訳)『星を継ぐもの』

伊坂幸太郎夜の国のクーパー

稲垣理一郎村田雄介アイシールド21』1-37巻

 

以下コメント・ネタバレあり

横山秀夫半落ち

 米澤穂信の『米澤屋書店』で対談相手の柚木裕子がおすすめしていた本です。新幹線で嗚咽をこらえた、とあったのですが、私はそこまで泣けなかったなぁ。ですが、電書でも300ページないくらいのコンパクトさの中で警察官、検察官(書記官も)、新聞記者、弁護士、裁判官、刑務官など事件に関わる様々な人の立場から一つの謎を見ていくという構成が面白かったし、それぞれの立場の違いや人生なんかが克明に描かれていて読み応えがありました。ただし全体的に昭和っぽい人物造形ではあります。

 

西崎憲『ヘディングはおもに頭で』

 フラワーしげるの小説読んでみたくて買ってみた。短歌の身も蓋もなさは小説には感じなくて、むしろうじうじした青年の屈託や日常を丁寧に描いている印象でした。青春小説なのかなとも思ったのですが青春?と疑問符がちょっとつきます。主人公は二浪してて、でもお母さんの体調悪い?みたいな予感だけで受験をやめて働くことを決め(るんだけど特に就活とかはしない)、フットサルしたり読書会に参加したりして、フットサルを通じて色々なことを学びつつもだから何だみたいな感じはある。まぁ、どうせ誰も「何者」にもなれないんだからこれでいいじゃん、って自分と、いや二浪して遊んでるだけやんけ、マトモに勉強するか働くかどっちかにしろや、と思っている自分がいて、なんかよく分かんなかった。でもマトモに勉強するか働くかしてる奴の話は小説にはならんのですよね。あと最初に主人公が自分を「性格悪い奴」みたいに感じる描写がされるんですけどその後フットサルで出会う相手の90%くらいは性格悪いので、どんな世界やねんと思いました。チームスポーツってかなりハードル高いなぁ。仲良くない人と一緒にプレーすんのきつそう。フットサルの描写は詳細で面白かったです。やったことないのでリアルかどうかは分からないけど。

 

・今村章生『餞』

 これは歌集で、ネットで全文読めることを知って読んでみました。

kakuyomu.jp

 以下、いいなと思った歌。

 

お気に入りのフォークは根まで飲みこまれ腐葉土のようなガトー・ショコラに

 

なにもかもパクりだなんてよくいうぜ居酒屋でくだまいている俺たち

 

芋焼酎をロックで注文するようにさみしさをマスターベーションで割る

 

NHKを流しておけば薄まるよ死とか性とか尿意とか全部

 

「向日葵のような笑顔」「しみのない肌」「くびれたふくらはぎ」などなどの疵

 

ローソンの灯りが消えて見上げればぬばたまの夜にエノラ・ゲイ二機

 

恋人がよく笑うのでセルシオの急な割りこみを今日は見逃す

 

腹が減ってふと目が覚めるちょうどいま月がわずかにかけたところだ

 

あれは昼の流星、Fー18に願いをかける、でもすぐに忘れる

 

このひとの沈黙が好きそのあいだ僕はすなおになれる 賭けてもいい

 

 歌集ってハードル高いなと思っていたけど意外に読めてほっとしました。

 

・佐田三季『クライ、くらい夜の終わりに』

 昔っぽいBLでした。レイプが出てくる話嫌いだな…。絶対許せないでしょ。この状況でそんな短期間に立ち直って人を愛するのはマジで無理…。てか攻の方は何しれっと大学生やってんだ。登場人物が基本皆嫌な人なので(バイト先の中国人留学生と攻の後輩の女の子くらいかな、いい子は)けっこうイライラします。でもあとがき読んで、もしかしたらこういう荒んだ世界に生きてる人結構いるのかもしれない…と思ったりした。

 

ジェイムズ・P・ホーガン(池央耿訳)『星を継ぐもの』

 ものすごくディティールの書き込みが細かいSFです。感情的には、こういうのとても読みづらいのですが、理性的には、こういう小説にものすごく憧れがあります。SFはこうじゃなきゃ!というワクワク感もあるし、その世界観への説得力による没入感もすごい。まあとはいえ、読みにくくもあります。でも最後の謎解きのシーン、メインキャラクターである2人の博士がそれぞれの視点から同じ謎に迫るのですが、2人の専門的意見が重なり合うことによって真実に迫っていくのがとてもかっこいいし、そこに至るまでのディティールの書き込みがなければこのカタルシスは得られなかったというのはすごく感じました。

 しかしながら、これを「BL×SF」特集に入れるのは無理ないか。BL要素別になくない?いやまあものすごく分厚いフィルターかけて読めば皆無ではないけど…。別にそれ期待して読んだわけじゃないのでいいんですけど、いわゆるバディものの変種という考えなのか?

 

伊坂幸太郎夜の国のクーパー

 立場やものの見方によって同じものが全然違って見えてしまうという話でしょうか。『きっとあなたは、あの本が好き。 連想でつながる読書ガイド』(都甲幸治など)で「伊坂幸太郎は読みやすいと大学生が言っている」などと書かれてましたが、伊坂幸太郎読みやすくなくない?とやっぱ思った。面白いし好きなのですが、読むのにエネルギーがいる小説家だと私は感じてます。

 

稲垣理一郎村田雄介アイシールド21』1-37巻

 連載開始21周年だったらしいので読んでみた。初読です。アメフト知識ゼロだけどとても面白かったです。Glee見ててアメリカだとアメフトで強い男(特にクォーターバック)が人気者で…みたいな薄いイメージしかなかったのですが、クォーターバックって投げる人なんだ…ってのを初めて知った。ていうか司令塔か。作中ではどっちか言うと華奢なタイプのキャラクターが多かったので驚きました(女子すらいたし)。

 男子が大量に登場するスポーツ漫画なのにイケメンカタログ化してなくて、登場人物の80%くらいがバカなのでとても笑えました。シリアスなシーンでも容赦なくギャグをぶち込んでくるスタイル好きです。女子もそこそこ活躍するし好感持てる。セナと鈴音、ヒル魔とまも姉のやり取りにときめきます。全体的に少年漫画!って感じで楽しかった。

 そういえば『プロジェクト・ヘイル・メアリー』(アンディ・ウィアー)で、「ヘイル・メアリーとは聖母マリアへの祈りであるとともに、アメフトの試合中に起死回生を祈って投げるロングパスのこと」みたいに書いてあったのですが、それ出てきておおーっ、と思いました。人口に膾炙したスポーツ用語なんですね。てことは日本語訳すると『土俵際計画』みたいな感じか。

 しかし、多分冷静に読めばツッコミどころは多いのでしょうが(逆転勝利多すぎとか東日本リーグ勝戦の対戦相手適当過ぎとか)キャラ萌えしてない作品ってそういうとこ気にならないから気軽に楽しく読めるんだよなぁ。ハマりすぎるのも善し悪しです。

 昔の、というか連載終了した少年漫画まだいくつか積んでるのでそのうち読みます。