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「短歌と俳句の五十番勝負」感想45.おいてけぼり

「短歌と俳句の五十番勝負」 感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

妹の寝顔の上の蟻を吹くおいてけぼりのアリスの姉は (穂村弘

 

 「注意書き」に、

今回、先にお題を見て自分でも歌を作ってから本を読んでみました。穂村弘、堀本裕樹の発想の面白さ、着眼点の鋭さがより実感できると思いますので、みなさまもぜひやってみてください。

とか書いたのですが、歌を作ってから穂村弘の歌を読んで、「あー、テーマがかぶっちゃったし、穂村弘の歌の方が断然いいな」って思いました。まあ、それ自体は当たり前なんですけど、今までテーマがかぶったと思ったことがなかったので。

 

 「おいてけぼり」で、やっぱり「夢」をイメージしました。夢の中まではついて行けないね、って。穂村弘の歌では、「アリスの姉」が主人公です。眠っている「アリス」の冒険についていくことのできないお姉さん。そういう具体的な着想があった方が歌は断然面白いし、しかも別に全然説明していないのにどの「アリス」なのか読めばすぐ分かる、どんな状況かもすぐ分かる、というのが本当にうまいなと思いました。「寝顔の上の蟻を吹く」もいいですよね。どんな夢を見ているのかも分からない、自分は「おいてけぼり」なのに、眠っている妹を起こさないようにそうっと蟻を取り除いてあげようとしているお姉さんの優しさが伝わってきます。

 ほんと、さすが短歌の大御所は違うな、って感じさせられました。

 

 

夢だって知ってて見てる夢の中僕をおいてけぼりにする僕 (yuifall)