「短歌と俳句の五十番勝負」 感想の注意書きです。
つやつやのバターロールや秋の湖 (堀本裕樹)
このお題、短歌もよかったのですが俳句がエッセイも含めて好きだったので俳句を。今までわりと端正な感じの句が多かったのですが、ここにきて「つやつやのバターロール」ってかわいいなあ、って思ったんです。そしたら、穂村弘の
ジャムパンにストロー刺して吸い合った七月は熱い涙のような (穂村弘)
が引用されていて、着想はここから?と驚きました(必ずしもそうとは書いていないですが)。
まずこの短歌のインパクトが強いです。「ジャムパンにストロー」。こんな訳の分からない発想は絶対自分からは出てこないので、それだけで読んだ甲斐あったな!っていうお得感がありますね。ストローでジャム吸いたかったらジャムの瓶じゃ駄目なの?とか思っちゃいますもんね。パンである意味?中身が見えない方がいい?吸えそうで吸えなさそうなところがいい?そして七月は熱い涙はどういう意味?意味は全然分かりませんが、確かに心惹かれます。
この俳句については、
バターロールには秋の湖がよく似合う。
の一言しか解説されておらず、その潔さも好きでした。
生没年不詳の人のごとく坐しパン食みてをり海をながめて (大塚寅彦)
を思い出しました。どうしてパンには湖とか海が似合うのだろうか?
どうしたらきみを消せるの白質のロールフィルムは感光しない (yuifall)