「短歌と俳句の五十番勝負」 感想の注意書きです。
「店員」と胸に書かれたTシャツを着ているけれど客なんだって (穂村弘)
歌の内容はそのまんまっちゃそのまんまなんですけど、エッセイが面白かったです。
(前略)私には「歌人」のTシャツを着て町を歩く勇気はない。堀本さんは「俳人」を着られるだろうか。もう持ってたりして。
蠍座の人が「山羊座」のTシャツを買おうとしても、拒否されることはないだろう。つまり、胸に書かれた言葉を真に受けることはできないのだ。(中略)A型の人が「AB型」のTシャツを着たまま事故にあって、現場が混乱するところを想像する。
だって。
「歌人」とか「俳人」のTシャツなんてあるのかなあ。まあ、Tシャツってわりと簡単にオーダーできるから作ればあるのかもしれませんが、確かに「歌人」「俳人」Tシャツは道行く人に「一首(一句)作ってよ」とか無茶振りされそうだから着たくないな。穂村弘は何と書かれたTシャツだったら着てもいいって思うのだろうか。自分だったらどうかなあ。逆に、自分のアイデンティティそのものを着て歩こうなんて思わないかも。「童貞」「社長」「犯人」が例にあがってましたが、そんなTシャツ着てる人はその属性の人ではないだろうと思ってしまいます。「美女」もあったけど、これはガチの美女かどう見ても美女とは言えない人の突っ込み待ちのどちらかしか使えなさそう。中途半端な人が着ると微妙な雰囲気になりそうですね。全然自分とかけ離れたTシャツを着てもいいわけですが、「店員」や「スタッフ」のTシャツは紛らわしくてよくないですね。
GleeのBorn This Wayの回を思い出しました。自分の「変えられない欠点」をTシャツにして着て踊るやつ。
この星の異客のように雲丹を食う自分の中身を見たことがない (yuifall)