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「短歌と俳句の五十番勝負」感想21.夢精

「短歌と俳句の五十番勝負」 感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

明易きまぼろしの手に夢精かな (堀本裕樹)

 

 これは私には難しいテーマですね。経験ないですからね。逆に男性に対してお題が「月経」だったらなんて詠むんだろうか。ちなみに出題者はビートたけしです。女はお呼びじゃない、男の世界ですね。

 短歌の方は「出る」「出ない」で掛詞?になっていて面白いつくりである反面、やっぱりスマホで検索してみたのをそのまま作ったのでは?みたいな感じも受けましたが、俳句は詩的に仕上げてきてます。というか、今回堀本裕樹の俳句を五十句読みましたが、どんなお題でもきちっと綺麗に仕上げてくる職人のような印象を受けました。

 

 これは中上健次の『十八歳、海へ』という短編集に収録された「愛のような」という小説がモチーフだそうです。この小説読んだことがないのですが、部屋に住み着いた右手首、「手首と手のひらと五本の指」だけの生き物が「僕」の性欲を充たす、というような幻想小説だと書いてあります。エッセイの最後に

 

 夏の夜は短いので「短夜」「明け易し」という季語になっている。夢精は思春期に多いというが、どこからともなく現れたまぼろしの手によって導かれているとしたら恐ろしい。

 

とありました。

 

 残念に思ったのは、この題で二人とも自分自身の(あるいは男性一般の)身体感覚を描写してはいなかったということですかね。男性じゃないと絶対に詠めない短歌・俳句を見てみたかったです。

 まあでもこの俳句、女性であっても詠めるかっていったら詠めないような気もしますけどね。

 

 

見下ろせば必死で腰を振っているきみたちも夢精したりする?鮭 (yuifall)