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読書日記 2024年1月31日-2月6日

読書日記 2024年1月31日-2月6日

米澤穂信『真実の10メートル手前』

米澤穂信『王とサーカス』

米澤穂信インシテミル

ほったゆみ小畑健ヒカルの碁』13-23巻

ロバート・A・ハインライン矢野徹訳)『月は無慈悲な夜の女王

レイ・ブラッドベリ伊藤典夫訳)『華氏451度』

ヴィクトル・ユーゴー豊島与志雄訳)『レ・ミゼラブル(完全版)』(前半)

龍門諒恵広史BLOODY MONDAY』1-5巻

 

以下コメント・ネタバレあり

米澤穂信『真実の10メートル手前』

米澤穂信『王とサーカス』

米澤穂信インシテミル

『真実の~~』と『王と~~』は大刀洗シリーズです。ほとんど忘れてたので初読くらいの感じで楽しく読めました。といっても全体的に薄暗い感じの話ではありますが…。『真実の~~』の方は短編集なのでさくさく読めます。『王と~~』の方は舞台がネパールで、しかも王族殺害事件なんかが発生したりして、最初は王族の事件の取材??なんかちょっと感情移入できない…、みたいな気持ちで読み始めたのですが、この王族殺害事件そのものは現実に起きた史実で、本題は別でした。どちらかというとそれに伴って生じた状況(国内外の移動が制限されたことや外出禁止令が出たことなどで一種のクローズドサークルになったり)の中で、事件当夜王宮警備に当たっていた軍人が殺された事件の真実とは…、という。登場人物それぞれに色んな思惑があったりして、当然苦い思いもするのですが救いもあり、読後感は必ずしも悪くないです。

インシテミル』はミステリ好きのお遊びだよね。楽しんで書いたんじゃないかな。昔映画化もされてたけどそっちは劣化版バトロワみたいな感じでイマイチでした。生き残りとかそういうテーマの話じゃないんだよなー。多分ですけど、これはミステリ小説が好きな人のために書かれた本なので、小説じゃないと伝わらないんじゃないかという気がします。

 

ほったゆみ小畑健ヒカルの碁』13-23巻

 全巻読みましたー。面白かったけど終わり方が中途半端すぎて打ち切りかと思ったわ。そうではないらしいですが。やっぱりヒカルとアキラの対決の中で神の一手が生まれる瞬間を目撃したかったし、「いつか佐為のことを打ち明ける」って約束が果たされてほしかったし、ヒカルに佐為を超えてほしかったなーと思いました。まぁ、でもプロでひたすら対戦重ねてく様子だけ描いて漫画として面白くするの難しいから仕方ないのかな。その辺は脳内で補完するということで…。あと「神の一手」は多分追い求めるものであって辿り着くものではないのだろうし。

 最初小学生だった主人公が最後は16歳くらいになってて、絵柄もそれに合わせて変わっててすごいなと思いました。老若男女描き分けされてるし、美男美女でないキャラも出てくるし(金子さんお気に入り)、そういうとこも読みやすいですね。

 

ロバート・A・ハインライン矢野徹訳)『月は無慈悲な夜の女王

 タイトルは知ってるけど読んだことない有名小説を読んでみよう!と思い挑戦してみた。SF苦手なんですけどね。読んでみて、長編SFっていわば特殊設定政治話かもしれん、と思いました。

 これは月政府が地球から独立する革命運動みたいな内容ですが、アメリカ独立戦争っぽくもあり、ロシア革命っぽくもあります。舞台は2070年代ですが、発行は1966年だそうなので100年以上後の設定ですね。AI、ディープフェイク、ポリアモリー代理母出産などが描かれる一方で、固定電話やビラ、小切手などのアイテムは書かれた時代を感じさせます。メインキャラ4人のうち老人とAIが死んで男女が生き残るというのも、結局人間は普遍的な生殖によって命を繋げていくってことなんですかね。今から100年後のSFってなるとどういう感じになってるのかな。

 それにしても読んでみて、面白いんだけどやっぱSFは苦手だなって思ったのですが(読みづらい)、ハインラインの小説、タイトルかっこよすぎてまた読みたくなるよ…。『夏への扉』とかかっこよくないですか。『月は無慈悲な夜の女王』もかっこいいし、原題の The Moon is a Harsh Mistressもよい。

 しかし最後まで読んでも、なぜ the moon が harsh mistress なのかは分からんかった。次SFに挑戦するならアシモフですかね。

 

レイ・ブラッドベリ伊藤典夫訳)『華氏451度』

 タイトル知ってるけど読んだことない有名小説読んでみよう企画第2弾。本を焼く話というのは知っていたので、本好きとしてはわくわくして読み始めたのですが期待外れというか、マジで合わなかった。世間一般の評価は高い小説なんでボロクソ書くとこっちが馬鹿に見えるかもしれませんが、でも好きじゃなかったんだからしょうがない。

 感想文書いたのですが長くなったので、後日土曜日に出します。ちょっと間置いて1~2か月後くらいに。

 

2024年3月9日追記:載せました。

レイ・ブラッドベリ(伊藤典夫訳)『華氏451度』 感想

 

ヴィクトル・ユーゴー豊島与志雄訳)『レ・ミゼラブル(完全版)』(前半)

 タイトル知ってるけど読んだことない有名小説読んでみよう企画第3弾。この本長すぎるのでまだ6割くらいしか読めてないです。一人キャラクターが出てくればその半生が描かれ、どこか場所が出てくればその歴史が描かれ…、と、このくだり真面目に読む意味あんのか、って時々我に返るんですがみんなどう思って読んでるんだ?特に、途中で急にワーテルローの戦いのシーンが挟まれて、カンブロンヌが「糞ッ!」と発言したことについて(私の環境の電子書籍で)優に3ページにわたって解説が始まった日には、これギャグかな?って思いました。ちなみに子供向けレーベルの『ああ無情』の方は極薄本になっていて、最初の司祭の人生のくだりから全カットされてます。こういう本を読んでいると、小説にとって大切なのはストーリーだろうかそれともディティールだろうか…、と考えてしまいますね。

 この小説は出版当時飛ぶように売れ、労働者階級の人たちもお金をみんなでかき集めて買ったとWikipediaにありました。確かに、一度罪を犯してしまった人や女性や子供、貧困な環境の人たちなど社会的弱者に対する目線が優しいので読みやすいし、一般庶民の支持を得たのも納得です。しかし、今はすでに「世界の名作」になっちゃってるし革命後のフランスの社会情勢なんかも細かく書きこんであって重厚感はあるのですが、一方でこれ冗談で書いてんの?みたいな部分も多く、この本当時どういう位置づけで読まれてたのかなぁ、って考えてしまいます。純文学として読まれていたのか、エンタメだったのか?1862年の出版で1815年から33年までの出来事が描かれているということだったので、2024年出版と考えると1977年から1995年までが描かれた、昭和末期から平成初期を生き抜いた人々の話という感じでしょうか。司馬遼太郎が書く『嫌われ松子の一生』(山田宗樹)みたいな?

 

龍門諒恵広史BLOODY MONDAY』1-5巻

 最近女っ気のない少年漫画ばかり読んでいたので、冒頭から炸裂するお色気シーンにいきなり精神力を奪われました。こんなに疲れるとは我ながらびっくりです。青年誌かと思いきや少年マガジンなのかよ。ジャンプよりは対象年齢上なのか?今まだまだ序盤なのでよく分からないまま読み進めてます。