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02x05 - Bury The Lede 感想

 POI感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

 日本語タイトル「葬られた記者」で、Buryは「葬る」、Ledeは「記事のリード部分」ということみたいで、要は「記事を没にする」って感じかなーと思ったんですが、Bury the Leadで「ニュースの大事な部分を先に言わずに後回しにする」っていう意味なんだそうです。

 

 この回好きです。リースと対象者のやり取りが…。てかマキシンがリースの魅力に全く屈しないとこが笑えます。この人好き。

 対象者マキシン・アンジェリスはこれまでの回の新聞記事の署名にもたびたび登場した敏腕記者で、NY市長選やHRについて探っています。他にもたくさんの記事を書いており、脅威を絞り込めずにいる2人。時を同じくしてFBIによるHRの一斉検挙が行われ、汚職警官75人が逮捕されていました。しかしボスはまだ捕まっていない様子…。

 

 この辺のこと、ストーリーの整合性が取れてなくてもやもやするよね…。そもそもFBIがHRの存在に気づいたきっかけはシモンズなのに(S1E23でシモンズがホテルの監視カメラを操作しているのを見つけられ、「この男は何をしている?」ってなってた)シモンズは捕まってないし、ファスコが内通者だということもバレてない上に捕まってもいないし、ファスコはこれまでリースが殺した警官2人を埋めたりなんだりしてるのにそれもバレてないし、あとシモンズは「スーツの男を助けただろう」ってファスコに言いますが、あの時シモンズはカーターの姿も目撃していたし(なので、FBIにカーターのことをチクることだってできるはず)、伏線回収がいい加減すぎて何とも言いようがないよ。

 HR関連の話が好きじゃないのってこういうのもあるんだよなー。ストーリーの整合性がいい加減だし、警察官が75人も捕まってるのにまだいるし、この後も無限に増殖するし、それに関連してNYPDの中で人が死にまくるし、警察官がこんなに死にまくるなんてどこの地獄なの??設定が荒唐無稽すぎる上に最終的にカーターが死ぬんで、もうそのクライマックスに向かう舞台装置にしか見えないというか…。マフィアと警官ネタにあんまり感情移入できないというのもあり、今後もHR、イライアス、ブラザーフッドとしつこく続く裏社会ネタにすでに食傷気味。

 

 まあそれはいいとして、マキシンは逮捕されていないHRのボスに迫ろうとしていました。「クリストファー・ザンブラーノがボスだ」という匿名のタレコミを受けてザンブラーノを調べることに。S1E19 Flesh and Blood で死んだザンブラーノの息子ですね。息子は貿易業を営んでいますが、シロかクロか微妙な感じ。マキシンは方々から手がかりを得て、ザンブラーノがHRのボスで逮捕寸前と名指しの記事を書きます。

 職業柄どんどん危ない方向に足を突っ込んでいくマキシン(脅されても、「私をどうにかしたいなら列に並んでもらわなきゃ」とか言ってのける)をリースは守ろうとするのですが、フィンチに止められます。マキシンの追いかけているネタの中には「スーツの男」があった。今までのやり方では一発でバレ、マスコミにすっぱ抜かれることになります。

 

I don't like this, Finch. I'm going in.

こういうやり方は好きじゃない、フィンチ。行かせてくれ

Reese, you can't. Maxine has another pet story.

リース、だめだ。マキシンには他にもネタがある

She's been scouring through police records, talking to witnesses, hunting for a man in a suit... meaning you.

彼女は警察の記録を調べ上げ、目撃者と話し、「スーツの男」を探そうとしている。つまり、君のことだ

We're fugitives getting illegal information from a secret government machine.

我々は政府の秘密のマシンから違法に情報を得ている逃亡者だ

John, the last thing we need is publicity.

ジョン、我々が最も望まないのが宣伝だ

You must protect Ms. Angelis, but you have to do it without giving her any more proof that the man in the suit exists.

君はアンジェリスさんを守らなければならないが、「スーツの男」の存在を証明するものを決して与えることなくやりとげなくてはならない

Okay, Finch.

なるほど、フィンチ

How am I supposed to save a woman who wants to put me on the front page?

俺は俺を一面に載せようとしている女性をどうやって救えばいいんだ?

 

 戻ってきて図書館で話し合う2人ですが、リースはフィンチのワークスペースででっかい銃の手入れをしてます(笑)。フィンチが「ここではやめてくれ」と言うと、「公園でやったらイカレてると思われるだろ」とリース。図書館と公園以外選択肢はないのか…。で、「俺の腕前を見せられなくてどうやってマキシンを守るんだ」と言うリースですが、そのせいでマキシンとデートするはめに(笑)。

 

Finch, I can't protect her like this. I've got to get close to her.

フィンチ、俺はこんなやり方では彼女を守れない。もっと近づかないと

Oh, you're about to.

大丈夫、もうすぐだ

It seems that Maxine's job doesn't afford her opportunities to meet nice men, so she somewhat reluctantly signed up with a popular online dating site.

マキシンの仕事は彼女に素敵な男性と出会う機会を提供していないようで、彼女はいくぶんいやいやながら人気のオンラインデートサイトに登録している

I took the liberty of back-engineering the matching algorithm to create the profile of her ideal man.

私は勝手ながらマッチングアルゴリズムを分析し、彼女の理想の男性のプロフィールを作成した

She really likes that you love dogs.

彼女は君が犬好きなことに好意を持っている

Wait. You're trying to get me a date with her?

待て。あんたは俺を彼女とデートさせようとしているのか?

Already have. Tonight at 8:00.

すでに決まった。今夜8時

You've been flirting all day.

君たちは一日中いちゃついているよ

Finch? What did I just say to her?

フィンチ?俺は今彼女に一体何を言ったんだ?

 

 メールを貰って嬉しそうなマキシンと、これまた嬉しそうなフィンチ。フィンチが女性と絡んで楽しそうなシーンめっちゃ好き…。この人ほんとインテリ好きですよね。(偽物の)ジョーダン、マキシン、モニカ、エリザベス、それにルートといい、全員知的で気の強そうなやり手の美女です。多分フィンチの好みのタイプはこういう人だね。もしかしたらゾーイも好みのタイプかもしれない。

 実際のデートに盗んだ10万ドルのスポーツカーで現れるリース君。

 

New cufflinks I could understand, but buying a $100,000 sports car-- was that really necessary?

新しいカフスボタンは理解できるが、10万ドルのスポーツカーは本当に買う必要があったのか?

Relax, Finch. The car's stolen.

リラックスしろよ、フィンチ。この車は盗んだんだ

 

Remember, your name is John Anderson...

覚えておいてくれ、君の名前はジョン・アンダーソン

VP at Jenson Actuarial.

ジェンソン保険数理の副社長だ

You like walking your dog, kayaking, and Hitchcock movies.

君が好きなのは犬の散歩、カヤック、それにヒッチコックの映画

Oh, and Maxine's fondness for intellectuals presents us with a graceful way to help cover up your identity.

マキシンが知的なことに興味が高くて助かったよ、君のカバーアイデンティティを作るのに苦労しなかった

Are you wearing those glasses I got you?

用意した眼鏡はかけているかね?

 

 フィンチは自分の知的水準とリースの外見をもってすればマキシンの心を掴めると考えていてめっちゃ楽しそう。デスクにワインとチーズ、フルーツまで用意しちゃって、自分がデートする気満々です。一方リースはフィンチが自分を装ってマキシンといちゃついていたのを快く思っていない(笑)。このまま放っておいたら操り人形にされるのが目に見えてますからね。自分を介してフィンチとマキシンをデートさせまいと、いきなりいい加減な態度で臨みます。なんじゃこりゃ。

 業を煮やしたフィンチは途中でゾーイを投入!で、「社会心理学だ。女性は魅力的な女性が評価した男性に心惹かれる傾向が」うんぬん言ってますが、マキシンはどっちかというとゾーイそのものに興味がある感じでフィンチの作戦もいまいち効果があったのかどうか分からん。リースは途中でフィンチの蘊蓄に嫌気がさして通信を切断してしまいます(笑)。

 でもマキシンが「私はスーツの男を絶対にスクープするわ」というのを聞いて眼鏡をかけるリース君。今さらそんな微妙な変装してどうする。途中でマキシンがジョージ・オーウェルの言葉を引用し、フィンチは「オーウェルか」と即座に反応するのですがリースは特にリアクションせず…。いやー、見ていてもどかしいですね。マキシン、10万ドルのスポーツカーにも動じなかったし外見で人を見るタイプには見えないので、普通にフィンチが行った方が心は掴めたんじゃって気もしますが、それじゃあ「スーツの男」隠しの意味ないしな…。それに真剣交際を考える30代女性がマッチングアプリで50代男性は選びませんよね…。将来のことを考えたらさ…。

 そうこうしている間にマキシンが出した記事が誤報だったことが分かり大変なことになります。リースはまんまと巻き込まれることに成功。結果的にはよかった?マキシンにHRのボスと名指しされたザンブラーノ氏は殺されてしまい(普通にめちゃくちゃかわいそうですが、ザンブラーノ氏の番号出なかったの??)、散々な初デートになってしまいました。

 2人して警察署に行くのですが、FBIのドネリーさんとニアミスしとるわ!かなり緊迫する瞬間ですね。まあドネリー氏はマキシンを目の前にしてその彼氏どころじゃありません。ただのスーツ姿の男性だったらそこら中にいますからね。

 

 さて、マキシンへの脅威は去っていないと考える2人。リースはめげずにマキシンに食い下がります。

 

Maxine, it's John. I thought maybe you could use a drink.

マキシン、ジョンだ。君は飲みたいんじゃないかと思って

I was surprised to hear from you.

あなたから連絡があって驚いたわ

There's generally no second date when the first one ends in homicide.

最初のデートが殺人で終わったら、普通次のデートはないものだもの

Well, I was, um... thinking about you, and I wanted to see if I could help.

ああ、俺は…、君のことを考えていた。助けになれないだろうかと

 

 偽デートなのに、ここまで言っちゃうの??「君のことを考えていた」なんて罪作りすぎるなー…、と思っていたのですがそんな台詞はなんのそので真相解明に一直線なマキシンがかっこよすぎる。正体を晒さないために一生懸命「警察に連絡しよう」とか「週末NYを離れよう」とか言うのですが全く聞く気のないマキシン。ここでの会話も好きです。「私は取り返しのつかないことをした。でも必ず黒幕は突き止めるわ」と言う彼女に、リースは「俺も取り返しのつかないことをしてきた。だから止めようとは思わない。でも、君は一人じゃないと知っていてほしい」と言います。きゅんと来るでしょこれ…。ちょっとは盛り上がった??

 しかしそのタイミングで銃撃に遭い、自分の家に連れていくハメに…。フィンチは「セーフハウスを教えるなんて!」と怒りながらも、犬好きのプロフィールで釣ったのに犬がいないのはまずい!とベアーを連れてリースの家に行きます。案の定鍵は持っているらしい。勝手に入り込んでベアーを放したところで2人が帰ってきてしまいやむなくクローゼットに入り、そこが武器庫になっていることに気づくフィンチ。このくだり笑えます。武器に囲まれて怯えるフィンチですが、ベアーがクローゼットの前から離れず、「クローゼットが好きなのね」と言ったマキシンに対して「ああ、あそこにごほうびがあるからな」って言うリースも笑える。

 マキシンが洗面所へ行ったところでフィンチは出てきてリースに説教するのですが、「あんたがここにいるのが見つかったらそれこそ大変だ」と言われて撤退。2回しか会ったことのない男の家に行って別の男がいたらマジでヤバいと思いますよね…。でもクローゼットから出てくるとか間男そのもので笑えるわ。とにかく全体的に面白すぎ。そしてリースのこの家、メゾネットじゃないですか…。いや、ただのロフトか?何にせよこんな広い家でこの立地で、人にぽーんとあげちゃうんだ…。フィンチの財力かっこいいわ…。

 マキシンとリースは見つめ合い、いい雰囲気になるかと思いきや2人ともその気はなさそうです。リースは「明日は病欠にする。この件が片付くまで君とずっといるよ」と言い、マキシンは「あなたはいい人ね」と言うのですが、ちょっと嬉しい反面この人こんな簡単に仕事休んじゃうわけ??みたいな雰囲気です。で、リースはそれを読み取って?「俺はソファで寝る」と言い、マキシンは微笑みます。

 

 さて、翌朝マキシンのために朝食を作ってくれているリース君。そこにフィンチが電話をかけてきます。2人を襲撃した人物の正体を掴んだというフィンチに、「このままでは動けない」とリース。フィンチは「君の恋人にも匿名でメールをしておいた」と答えます。マキシンはシャワーを浴びた状態で現れ、「あなたの元カノと話したい」と(笑)。マキシン、ジョンを男だと思ってないのか??バスタオル巻いただけで出て来たよ。しかもせっかく朝ごはん作ってくれてるのに目もくれず、元カノに会いたいと。ロマンチックな空気ゼロです。

 こういうタイプの女性好きなんですが、多くの男性は多分好きじゃないだろうなーとは思う。「君は美人だけどやっていけない」って振られるタイプですね。

 ゾーイから情報提供を受け、去っていくゾーイを目で追うリースとそれを見つめるマキシン。これはラストへの布石だろうか。この時のゾーイの台詞かっこいい。

 

You know, it's a pleasure meeting you. But it's a shame we never met.

会えてよかったわ。でも分かっているでしょうけど、私たちが一度も会ったことがないのは残念よね

 

 会った事実はない(オフレコで)と釘をさして去っていきます。この喋り方、ジョージ・オーウェル1984年』の「ダブル・シンク」を意識してるのかな。

 

 2人は部屋に戻り、更に調べを進めます。リースはマキシンにワインを勧め、「3度目のデートね」と言うマキシンに「最初のデートへの3度目のお誘いだ」と答えます。リース君こんなに口うまかったっけ?わりとぐいぐい行ってるのに、ここでも全く動じないマキシン。ザンブラーノのことで頭がいっぱいです。こういうタイプだからリースも安心してぐいぐいいけんのかな。

 マキシンはザンブラーノがHRの台帳を隠した場所を探り当て、2人は夜中に侵入を試みます。まあここで色々銃撃戦とかになったりするのですがなんやかんやあってHRの帳簿を手に入れ、ファスコに渡してファスコのページを隠滅し、HRに関係した選挙候補者を暴いたところで2人の関係も終わります。

 

And I'm afraid it has to be our last.

これを最後のデートにしなきゃ

I like you, John. Quite a bit actually.

あなたが好きよ、ジョン。かなり本気かも

But I'm married to my work.

でも私は仕事と結婚してるし、

And honestly, I still think you're a little hung up on Zoe Morgan.

正直言って、あなたはゾーイ・モーガンに気持ちが残ってるって私はまだ思ってるの

See ya.

さよなら

So you're off to chase your man in the suit?

それで、君は「スーツの男」を追い始めるのか?

No, you were right. Urban legend.

いいえ、あなたは正しかった。都市伝説よ

And with the week I just had, if there really was a man like that, I think I'd have met him by now.

私が過ごしたみたいな一週間の間、もしそんな人が本当にいたなら、これまでに彼と出会っていたはずだわ

 

 マキシンの本意はどちらなんだろうな、って思います。リースが「スーツの男」だと気づいているのか、いないのか。私は気づいているに一票なんですけど。

 マキシンはリースと会ってみて実際の彼は全然好みのタイプではないと思いながら、最終的に「あなたがかなり好きかも」と言います。この回ずっとマキシンはリースに全然興味ない風でしたけど、おそらくあの態度は彼女の素で、好きな人だろうがそうじゃなかろうが仕事を目の前にするとそのことで頭が一杯になっちゃうタイプなんだろうなーと。だからリースに興味がなくて気づかなかった、ってことじゃないと思う。マキシンは頭のいい女性だし、リースが陰で自分を守ってくれていたことも、「君は一人じゃない」という言葉の真意にも気づいていたと思う。「あなたをかなり好きになったかも」って言いながら別れを告げるのは、リースの正体に気づいて知らないふりをしてあげようっていうスマートなお別れなんじゃないのかなと感じました。「ゾーイに未練があるんでしょ」って言うのも、あなたの生きる世界は向こう側、って言っているような気がする。最後「もう追わないわ、都市伝説よ」ってリースに伝えて。

 その意図はなく加害者になってしまった?彼女ですが、最後まで戦ってくれて、リースを見逃してくれて強い女性だと思いました。個人的には、再登場して何らかの形で助けてくれたらよかったなーって思うPOIの一人です。

 

 最後HRのボスがクインであることが分かって終わります。

 

POI:マキシン・アンジェリス(加害者?かつ被害者)

本編:2012年(Wikiによれば8月だそうです)

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