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02x04 - Triggerman 感想

 POI感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

 この回はもともとはそんなに印象に残ってませんでした。ローカルマフィアの抗争話みたいな感じで。でも後から見ると超意味深なR&Fエピソードだし、それにこのタイミングでこの話を持ってきたのは、ルートのBad Codeの呪いからフィンチを解き放つためだったのかなぁと。PTSDの症状もこの回でいったん終わりになります。

 

 対象者のライリーはマフィアの用心棒で、ボスに指示されれば殺しも辞さない男です。ライリーが殺されたマフィア仲間の妻、アニーの殺しを指示されたことを掴み、アニーを守るためにライリーを尾行するリース。ですが、同乗したボスの息子エディはボスにライリーの殺しを指示されていました。実はライリーとアニーは隠れて付き合っていた。ライリーは被害者だ、もう間に合わない、とリースが言った瞬間銃声が響きます。殺されたのはエディ、撃ったのがライリーだった。

 アニーとライリーの2人を保護しなければならないと考える2人ですが、フィンチはアニーの救出を優先すべきと言い張ります。アニーは無実の女性で、ライリーは殺人者だからです。2人は口論になります。

 

Mr. Reese, has Riley met up with Annie yet?

リース君、ライリーはアニーと会えたのか?

Not yet.

まだだ

There must be some other way to locate her.

彼女の場所を特定する他の方法があるはずだ

Maybe, but George will be gunning for both of them.

おそらく。だがジョージは2人とも殺すつもりだ

Yes, but Annie is the innocent victim in this equation.

そうだ、だがアニーはこの場合、無実の被害者だ

Are you saying we should protect Annie but not Riley?

つまり俺たちはライリーではなくアニーを守るべきと言いたいのか?

I'm just saying you might not want to put yourself and her at risk for a man like that.

彼のような男のために君自身と彼女を危険にさらすことは望まないのではないかと言いたいだけだ

He's a killer, Mr. Reese.

彼は殺人者だぞ、リース君

So was I, Finch.

俺もそうだ、フィンチ

I think there's a distinction to be made.

それとこれとは違うだろう

Not as much as you think.

あんたが思うほど違ってはいない

 

 この後ライリーを保護しようとしてリースはライリーに撃たれ、フィンチはどんどん怒ってきます。「ライリーを助ける必要があるのか?彼は君を撃ったんだぞ」。ルートと話して、「人間を修正したい」と思っていた頃の気持ちが蘇ったのかもしれない。Bad Codeという言葉に引きずられてもいます。途中でアニーがギャングに拉致された時、アニーではなくライリーを追ったリースをフィンチは咎めます。「なぜライリーを追う?彼は人殺しだ。Bad Codeだ」。

 

 これ、ほんと見てると微妙な気持ちになるよね…。アニーは助けなきゃならないし、ライリーは明らかなギャングで人殺しだけどアニーは「あなたがいなきゃ逃げない」とか言ってるし、でもこいつを逃がしちゃっていいのかよってなるし。対象者だけについて考えると、S1E3のジョーイの時と似たようなパターンにも思えます。リースがライリーに自分を重ねているのもおそらく。

 S1E3ではリースは「恋人を置いて行った」自分とジョーイを重ね、「恋人と逃げろ」と促すのですが、今回は二重の意味合いがありそうに思えました。まず一つは、「愛する人の夫を殺した」という点。実はボスに指示されてアニーの夫、ショーンを殺したのはライリーだった。おそらくリースはピーターとジェシカにこの状況を重ねています。

 またもう一点は、殺人者であっても人は変われるか、ということ。ライリーはリースにこう話します。

 

I know what I am.

俺は自分の正体を知ってる

But I also know that she's the best thing that's ever happened to me, and I will do whatever I gotta do to save her.

でも彼女は自分の人生に起きたことの中で一番素晴らしい出来事だった。そして彼女を守るためなら俺は何だってする

 

 リースはジェシカのために何でもすることができなかった自分を思ったはず。でもそれだけじゃなく、今回のエピソードではライリーとアニーが、リースとフィンチに重ねあわされている。最後のリースとアニーの会話。

 

I was fooling myself to think I could change him.

私は自分なら彼を変えられるって自分を騙そうとしてたの

But you did.

だが、君は彼を変えたんだ

You gave him the strength to walk away from the only life he knew, to be better.

君は、彼が知っていた唯一の人生から立ち去る勇気を彼に与えた。もっといい人生へ

He said you were the best thing that ever happened to him.

彼は言ったよ、君は自分の人生で最高の出来事だったと

 

 そしてリースとフィンチの会話。

 

Earlier, what did you mean when you said, "bad code"?

さっき言ってた bad code って一体どういう意味だったんだ?

It means a flawed design.

欠陥のあるプログラムのことだ

The term applies to machines, not to people.

それは機械に使う用語だよ、人には当てはまらない

We have the ability to change, evolve.

我々は変わる能力があるからね。進化だ

Even killers.

人殺しであってもか

 

 これらの会話とS2E2の「彼は君が間違っていると証明するためにここに来た」というフィンチの言葉からは、ライリーがアニーと出会って変わったのと同様、リースもフィンチと出会って変わったのだということが暗示されています。これは、人殺しであっても変わることはできる、人間は Bad Code ではない、ということを示唆しているのでしょうが、同時にPOIの結末までもが示唆されているようで後から見るととても辛いエピソードの一つですね。

 ライリーはアニーと一緒に逃げると彼女には言いましたが、街を出るチケットを1枚しか買っていなかった。アニーを守って死ぬつもりだったからです。自分を変え、救い、幸せをくれたたった一人の愛する人を守り、死ぬつもりだった。これはPOIの結末と同じです。リースはフィンチを騙して身代わりになって死にました。自分を変え、救い、幸せをくれたたった一人の愛する人を守って死んでしまった。2人とも、殺人者という過去を清算するにはこの道しかなかったのだろうか。

 これ、今回のアニーは本当に無実の女性だからまあ分かるんだけど、フィンチははっきり言って犯罪者だし、リースに守られてしれっとハピエンでいいんかい、って思っちゃうよね。てかあれ、ハピエンなのか??愛する女性が待ってくれてたらそれでいいの??フィンチのラストについては、これが落としどころ?と思う反面すごいもやもやします。

 

 この回は他にもシマンスキー刑事が復活してたり(「刑事の安月給じゃおちおち死んでもいられないよ」って台詞ときめいた♡)、ファスコがバーに張り込むために隣のおっさんに意味なく酒を飲ませまくったりして楽しいのですが、リースとカーターのやり取りはとてもやりきれなかったです。リースはアニーを救うためにライリーをアニーの居場所に行かせようとしていて、そのためにカーターにライリーを見逃させます。「刑事を抱き込んでいるのか」と聞くライリーに、「支えられてる」と答えるリース。でもカーターはリースの要求する「正義」のために、同僚を欺くことを余儀なくされます。その結果アニーは助かるんだけどギャングは撃ち合いになってみんな死んでしまう。この結末でカーターは納得するのか?シマンスキーは?リースのやることについていけないってならないの??

 ラストシーン、ライリーを殺したギャングの元にリースが訪ねて行き、「目的は金じゃない」と笑って終わるんですけど、この後撃ち殺したんじゃなくて警察に突き出してほしいと思いました。カーターのために。

 

 それから、この回はイライアス再登場でもありますね。街のギャングを黙らせるためにイライアスの力を借りようとするフィンチですが、一度痛い目にあっているリースは「やってみろよ」と薄ら笑いをします。フィンチはハロルド・クレインの名前でイライアスを訪ねます。

 久々に見直して、イライアスが「あんた誰?」みたいな態度なんで、あ、これが初対面かーって思いました。そういえば会ってはいませんでしたね。フィンチがリースのことをほのめかすと、イライアスはニヤッと笑い、「あんたがボスか」と嬉しそうです。フィンチのお願いを聞いてくれた上に、見返りとして要求されたのはチェスのお相手でした。チェスかよ。フィンチに甘すぎじゃないですか??まあ、POI、フィンチに甘い人しか出てきませんからね…。私はフィンチ推しではありますが、それでも公式の贔屓がすぎるなと思いますよ(笑)。ネイサン、グレース、リース、ルート、ショウ、マシン、イライアス、みんなフィンチ大好きすぎじゃん。ファスコとカーターが普通レベルの好意でバランスよかったのに、S3以降フィンチ大好きマンだらけになっちゃいますからね。ある意味グリアもフィンチ好きだしね。心中しようとしたし。

 

 それにしてもS2はリースとフィンチの信頼関係が盤石だし、ファスコ、カーターともそれぞれ友情を築いてて、すごいいい感じで大好きです。

 

POI:ライリー・キャバナー(加害者かつ被害者)

本編:2012年(日付はっきりせず)

フラッシュバック:なし