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01x15 - Blue Code 感想

 POI感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

 潜入捜査官の話で、リースのCIA時代の極秘任務のエピソードがフラッシュバックで絡み、本編にもCIAが絡んでくるという構造です。萌えはそれほどないのですが、S1E10 Number Crunch以来最もリースが死にそうな緊迫感すごかったです。

 

 対象者は潜入捜査のために社会保障番号までも偽っており、最初はマイケル・ケイヒルという名のギャングとして検知されます。しかしその正体は妻子を愛する麻薬捜査官でした。

 シーズン1ではE3の元軍人といいE8の元スパイといいE13の普通のパパといい、リースが感情移入する対象者が多いですね。POIを通じてキャラクターの内面を掘り下げていく感じのストーリーです。リースはE3の時と同様、運転手としてギャングのグループに潜り込んでいました。ケイヒルが実は警官だと分かったので、悪徳警官からの内通で身分がギャングにバレて殺されるのだろうと考えた2人。どうにか食い止めようと、カーターとファスコに協力を仰いで警察内部の動きを調べようとします。

 

 カーターはスノウに呼び止められていました。「ジョンは友人を利用して、使い捨てにするんだ。彼の前のパートナーの葬式を昨日のことのように思い出せるよ。君と同じ、美しい女性だった。でもジョンに捨てられた後は悲惨だった」と話すスノウ。しかしこの回ではリースとカーラのフラッシュバックが挟まるので、この台詞、むしろちょっと笑えます。あのカーラがリースに使い捨てされるはずないやん…。それにリースの相棒、美しい女性じゃないし。かわいいおじさんだし(笑)。カーターはカーラのことは知りませんがフィンチのことは知ってるからなぁ。

 カーターとフィンチの会話笑えます。フィンチは「どうせスノウは私のこと知らんやろ」と完全舐めプで登場。潜入捜査のシステムを教えてほしいとカーターに頼むフィンチですが、カーターに言い負かされててかわいい。

 

Files on undercovers are kept only as hard copies, so people like you can't hack into them.

潜入者のファイルはハードコピーだけで保存されてる。あなたみたいな人たちがハッキングできないようにね

Words wound, Detective.

グサッとくる言葉だな、刑事さん

 

 ギャングはHRと手を組んでいて、ギャングに潜入捜査官がいるという情報を流していたのはHRであることが分かりますが、HRにもそれが誰なのかは分からない。フィンチはファスコを使ってハードコピーを破棄させようとします。同時にギャングの方でも内通者を突き止めようと全員の携帯と武器を捨てさせ、尋問が始まっていました。リースと連絡が取れなくなったフィンチはカーターを頼ります。

 

You lost him?

彼を失ったわけ?

"Lost" would be a strong word.

失ったというのはちょっと強すぎる言葉だね

But, yes, Detective, in answer to your unspoken question, I do need your help.

だが、そうだ、刑事さん、君が口にしなかった質問に答えるのなら、私は君の助けが必要だ

 

 フィンチはリースには「感心しないね」とか言ってたのに、カーターとファスコを交互に操って状況を打開しようとします。

 

 しかしファスコは一体何の得があってこのミッションに参加するんでしょうね?この回の終わりに更に悲惨なことになるので、ファスコがこの2人に協力してるモチベーションが全然分からん。

 

Are you in position, Detective?

位置についたか、刑事さん

Whoa, whoa, easy with the volume there.

うわ、声がでかいだろ

No wonder Mr. Sunshine's always in a foul mood.

ミスター・サンシャインがいつもイライラしてるのもわけないな

You'll get used to it. It takes a little time, which you're running out of.

すぐに慣れる。少し時間はかかるが、今それが無駄になっている

Okay, okay. What's the plan, Kimosabe?

分かったよ。どんな計画だ、相棒?

 

 フィンチの声がでかくてリースはいつもイライラしてんの(笑)?想像すると笑えるわ。

 潜入捜査官のファイルの破棄には成功するファスコですが、HRのデヴィッドソンに見つかります。そしてライカーズ刑務所ではなくなぜか山奥へ連れていかれることに…。

 

 さて、リースの方は対象者ケイヒルを庇って潜入捜査官と誤解され、拷問を受けていました。ケイヒルは「2人で話させろ。口を割らせる」と他のギャングを追い払い、リースと話します。

 

Who the hell are you? I know you're not a cop.

お前は一体誰なんだ?お前が警官じゃないことは知ってる

But I've been undercover.

だが俺も潜入してるんだ

I know the only thing you want in the world is to go home to your wife Melinda, to your son Danny.

あんたがこの世で一番望むことは、妻のメリンダと息子のダニーがいる家に帰ることだろう

Let's get one thing straight. You don't know me.

はっきりさせておこう。お前は俺を知らないだろう

I know your handler's name is Byrne.

あんたのハンドラーの名前はByrne

I know you've been on the force since 2003.

あんたは2003年から警察にいる

I know you had a younger brother Connor who O.D.'d a month after you graduated high school.

あんたの弟、コナーはあんたが高校を卒業した1か月後、麻薬の過剰摂取で死んだ

How did you...

なぜそれを…

That's why you're so committed to catching L.O.S.

だからLOSを捕まえることに拘ってる

What, are you a fed or something?

何だよ、FBIか何かか?

Something.

“何か”だ

I can help you escape. Help you get home.

あんたをここから逃がし、家に帰してやる

If you know me so well, then you know I won't go home.

お前がそんなに俺を知っているなら、俺が家に帰らないことも分かるだろう

Not while L.O.S. Is still operating.

LOSがのさばっているうちは

Your cover's gonna be blown. You stay, you risk everything.

あんたの身分はバレそうだ。もし残れば、全てを危険にさらすことになる

Your life...Your family.

あんたの命…家族も

Can you get a message to my wife?

妻に伝えてくれるか?

Tell her I love her.

愛していると

We'll find a way to get you home.

あんたを家に帰してやる

And you can tell her yourself.

自分で言うんだな

 

 このI know~~~ってリースの台詞、S1E1でフィンチがリースにしたことですよね。実際、ここで話しているのもフィンチが調べたことだし。リースはこうやって「お前を知っている」と話すことが相手にどんな影響を与えるか知っていてこのやり方を選んでいることが分かります。

 この回では2008年のフラッシュバックが挟まり、「闇そのものになり戻れない自分たち」が描写されるので、まだ戻ることのできるケイヒルをどうにかして家に戻したい、とリースが切に思っていることが分かる。

 

 この後ケイヒルはリースを殺したふりをして肩を掠めるように撃ち、車のトランクに投げ入れる時にポケットに懐中電灯を忍ばせます。ギャングは車を燃やして逃走するのですがリースは懐中電灯に気が付き、トランクから間一髪脱出します。ほんと、リース死ぬかと思ったわ…。そこに駆けつけたカーター。

 

Need a lift? I was in the neighborhood.

乗ってく?たまたま近くを通りかかったの

My lucky day.

今日はラッキーな日だ

Your version of a lucky day is being shot and lit on fire?

あなたの「ラッキーな日」って、撃たれて燃やされるってこと?

Not shot, just grazed.

撃たれてない、掠っただけだ

Lucky for me, Cahill's an excellent marksman.

ラッキーだったよ。ケイヒルの射撃の腕がよくて

It's for you.

あなたによ

Where's Cahill?

ケイヒルはどこだ?

Oh, I'm...Fine, Finch. Thanks for asking.

ああ、俺は…大丈夫だ、フィンチ。聞いてくれてありがとう

Cahill went to the exchange with L.O.S. Without backup.

ケイヒルはLOSとの取引に出かけた。バックアップなしで

Where?

どこだ?

South Brooklyn scrapyard.

サウスブルックリンのくず鉄置き場だ

Headed there now.

そこへ向かう

You got any firearms besides that piece?

これ以外に何か銃火器はあるか?

Yeah.

あるわ

Girl after my own heart.

俺の心にかなう女性だな

Mr. Reese.

リース君

Yeah.

何だ

We have one other problem. Vargas's informant has Detective Fusco.

もう一つ問題がある。バーガスの情報屋にファスコ刑事が捕まった

And his life is most certainly in danger.

彼の命は危険にさらされているだろう

Mr. Reese, I'm not sure we have time to save them both.

リース君、2人とも救う時間があるとは思えない

 

 リースの My lucky day笑える。リース、幸せの閾値下がりまくりですね…。かわいそうだわ…。フィンチはカーターに電話するのはいいのですが、ケイヒルのことは心配してもリースのことは全然聞いてくれません(笑)。いつも「リース君、無事か?」って言ってくれるのに…。今回全然甘いとこないですね。リースは「お気遣いありがとう」と皮肉というよりももはや苦笑気味です。ケイヒルよりも現状死にかけてますからね。

 で、「銃はあるか?」と聞かれたカーターがトランクを見せて、リースがGirl after my own heart. って言うの好き♡ 日本語では「君とは趣味が合いそうだ」とかになってました。ちなみに同じ台詞をフィンチがS3のRazgovorでジェンに言ってましたね。リースは銃火器、フィンチはサーベイランステクニックでそれぞれ女性と「趣味が合う」って思ってんのちょっと笑えます。

 

 それにしてもファスコはかわいそうです。この後カーターと二手に分かれるのかと思いきや、二人ともケイヒルを助けに行っちゃいました。まあ、現時点でファスコと組んでることはカーターには黙ってるからそうなるのか…。

 

 ケイヒルはLOSとの取引で誰も警察が来ないことに苛立ち、とうとう一人で戦おうとします。そこに現れたのはリースとカーターでした。LOSを捕まえようとするケイヒルをリースが止めます。

「そいつはCIAだ」

 CIAは麻薬取引で金を集め、テロ対策にその資金を流用していた…。それでも捕まえようとするケイヒル。CIAに逆らうとキャリアは台無しになる、命も奪われるかも、と説得しようとするのですがケイヒルは聞き入れません。リースは笑います。

「俺たち2人とも、やり過ぎるのが好きみたいだな」

 

 ところでフラッシュバックは2008年のNYでした。リースとカーラは久しぶりに国内にいて、極秘任務に着手していました。ハンドラーはスノウ。暗号っぽい意味不明なやり取りが交わされます。始末する相手は政府の人間で、「中国にソフトウェアか何かを売ろうとした」とスノウは言います。2008年だから、あのフィンチのラップトップ事件とは別っぽいですね。「明日までは指令はない。気晴らしでもしろ」と言われリースは出て行こうとしますが、スノウはさらにたたみかけます。

 

Don't forget you're behind enemy lines.

敵の最前線にいることを忘れるなよ

You get caught here, you're on your own.

もしここで捕まったら、自分で何とかするしかない

 

 生まれ育った母国ですら、もはや「敵地」と言われるリース。飲みに出かけるのですが、隣に座った相手はジェシカの夫、ピーターでした。

 

 S1E2の時点で2007年にジェシカの番号が出ていることが分かっているので、2008年にはすでにDV被害に遭っていることが後から見ると分かります。まあDV云々が分かるのはこの後のエピソードなのですが、少なくともこの段階では、2006年にジェシカが婚約していること、2007年には番号が出ていること、2008年には高給取りの夫がいて、ニューロシェルに新居を構えるための頭金を払い、しかも生きていることが分かります。最初見たら番号出てるのに生きてるってどういうこと?ってなるよね。まあ、私全然そこまで読み取れてなかったので特に疑問は抱かなかったのですが…。

 ピーターに話しかけられたリースは「故郷はワシントン州のピュアラップだ」と言います。これはジェシカに話を持って行くための嘘かと思っていたのですが、実際カヴィーゼルさんの出身地らしく、作中でのリースの故郷もここだそうです。てことはリースとジェシカは実際に同郷なのか。

 ピーターはリースとジェシカを会わせようとするのですが、リース、本当に一体何がしたかったんだ…。これ、後からピーターがヤバいDV野郎だということが分かるのでリースが健気に見えるけど、ピーターが超いい夫だったら単にキモいだけの行動ですよね…。かなり入れ込む系男子です。ここでカーラが現れ、リースの行動を妨害しようとします。

「彼はピーター。37歳。年収は17万5000ドル。いい人間か連続殺人鬼かは知らないけど、あなたより彼女に尽くす」

 そして「あなたはもうここにいる誰とも違う。人として許されないことをしているのだから」と告げます。「俺たちは闇を歩いている、だろ。説教はたくさんだ」と言うリース。カーラは答えます。

 

I get it. Believe me.

気持ちは分かるわ。本当よ

First time I rotated back, I went straight home to my family.

最初に戻ってきた時、家族のいる家に真っ直ぐ向かったの

I sat outside in the rental car for three hours, just watching.

レンタカーで3時間、座ったままでずっと見ていることしかできなかった

And I realized I could tell them everything that I'd seen, everything that I'd done, and they wouldn't understand a single word.

そして分かったの。私の見てきたこと全て、してきたこと全てを話したとしても、一言すら理解してはもらえないと

This isn't some speech.

これは説教なんかじゃない

We're not... walking in the dark.

私たちは…闇を歩いているんじゃないの

We are the dark.

私たちが闇なのよ

 

 リースはジェシカに会うことを諦め、立ち去ります。ケイヒルが「闇」になるのを止めたかった、どうしても家に戻ってほしかった、というリースのモチベーションが明かされるシーンでした。

 

 カーラの言うこととても悲しいんですが、マジで人殺しなので何とも言えないですね…。リースも同じです。カーラの言葉に、今さらどの面下げてジェシカに会うんだ、と思い知らされます。リースは何度も何度もジェシカとニアミスするんですが、とうとう彼女を連れて逃げることができなかったばかりに彼女を失うことになるんだと思うととても悲しい…。

 

 リースに救われて家に戻ることができたケイヒルは、自分の口で奥さんに「愛してる」と告げます。奥さんは出産のために病院へ向かうところでした。それを見守る2人。

 

I thought you might like to know that Agent Snow has arranged the release of L.O.S.

君は知りたいと思うだろうから言うが、スノウ捜査官がLOSを釈放させたようだ

He'll be out in less than an hour.

彼は1時間以内に出てくるだろう

What do you plan to do?

どうするんだ?

I'll keep an eye on Cahill and make sure he stays safe and sound.

ケイヒルを見守って、彼の身辺が騒がしくならないか確かめるよ

He's about to have a screaming infant.

彼のところには泣き叫ぶ新生児がまさにやって来るところだぞ

I doubt he'll be anywhere close to sound.

彼が騒がしさと無縁でいられるかどうか疑問だね

Poor guy.

かわいそうな男だな

 

 この2人のやり取りとてもじーんとします。奥さんと息子、それに赤ちゃん。絵に描いたような幸せを取り戻してあげた2人。「騒がしくなるだろうよ」と言うフィンチと、リースの「poor guy」という言葉には憧れが滲んでいます。E13でも「普通の人生を夢見たことはないか」と話していたリース。潜入していても戻る場所があったケイヒルと、戻る場所はなかったリースが対比されます。そして前回分かったように、自分の人生そのものを失っているフィンチ…。

 とても切ないなぁ。でもこの2人の切なさが萌えるんだよね…。

 

 さて、ケイヒルが捕まえたCIAのLOS(レイ)は、スノウによって釈放されていました。「あの警官たちを殺す」と息巻くレイ。ですがスノウは告げます。「ここは敵地だと言っただろう」。かつてリースに言った言葉でした。「ここは敵地だ、助けは来ない」。レイを釈放したのは助けるためではなかった。失敗の責任を取らせるためでした。こうしてケイヒルの脅威は排除されます。

 ちなみにラスト付近に流れ続けている不穏な曲は Fever Ray の If I had a heart でした。これも“レイ”か。

yuifall.hatenablog.com

 

 ここで終わり…ではなく、最後はファスコ。ファスコはデヴィットソンに山奥で殺されかけているところを間一髪リースに助け出されます。間に合ってよかったね!で、デヴィッドソンの汚職を暴いて正当防衛を主張する、と言うファスコにリースは「悪徳警官になれ」と迫ります。HRに潜入せよと。おお、「潜入」のオチはここだったのか。書いてて今気づいた。ケイヒルを潜入から救い出し、リースの潜入時代のエピソードを垣間見つつ、ファスコをHRに潜入させる話だったんですね。だからこんな目にあったのかぁ。ファスコかわいそうだな。

 ファスコは仕方なくリースが殺したデヴィッドソンを埋め(スティルスと同じパターン)、シモンズに助けを求め、正式にHRの一員になります。

 

 ところでタイトルのBlue Codeは「警察の不祥事」みたいな意味だそうです。それもあってHRオチなのか。

 

POI:ダニエル・タリー/ マイケル・ケイヒル(被害者)

本編:2012年2月頃

フラッシュバック:2008年(アメリカ大統領選挙の夜だから、おそらく11月4日)、リース(カーラとNY)