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02x13 - Dead Reckoning 感想

 POI感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

 この回は…。神回としか言いようがないわ。傑作の上に萌えもすごい。爆弾解除のシーンを何十回見たか分かりません…。

 

 このタイトル、Dead Reckoningというのは、そのまま2単語で検索すると「推測航法」という意味になるそうです。GPSなどが使えない状況で位置情報を特定することで、転じて「当てずっぽう」「当て推量」などの意味になるのだとか。本編においては「暗闇の中を進む」というニュアンスでしょうか。一方で、Reckoningには「清算」「報い」などの意味があるそうで、もしかしたら「死の報い」なのかな、とも思った。リースが屋上でフィンチに「俺の過去の報いだ」って言うシーンもあったし。

 

 もともと政府のために働いていた仲間だった3人が集まって、2人が死んでしまう。もともとはスノウがカーラとリースを裏切ったんですが、この「死の報い」を受けたのは誰だったんだろう。スノウのような気もするし、カーラのような気もします。結局この2人はオルドスの任務で仲間を殺そうとして、リースだけはそれができなかったわけだから。3人とも過去の行いのために「死の報い」を受けたんだけど、仲間を殺そうとしなかったリースだけがフィンチと出会うことができて救われたということなのかもしれません。

 前回の続きになるけど、やっぱり、(腐とかそういう視点じゃなく)リースの人生で一番の幸せはフィンチとの出会いだったのでは、と思う。最後フィンチのために死んだことを思うと悲しいけど。

 

 それにしても改めて見ていて、この回がターニングポイントだったなと思います。S1E1やS5E13とのアナロジーが随所にちりばめられているのも偶然じゃないと思う。S1E1からここまでは「人助け」の仕事をベースにしたリース&フィンチの関係性に重点が置かれてて、この回でそのテーマがある一定のレベルに達したのかなと。人助けを選んだリースと復讐を選んだカーラの人生が対比され、リースの過去が(とりあえず一旦)清算され、「スーツの男」にまつわるFBIとCIAの絡みが終了し、リースとフィンチの信頼関係が深まって「いつか共に死ぬ」の伏線が回収されます。ここからマシン、AI戦争、といったあたりに軸足が移っていって、でも最終的にはこの回の流れをS5E11~E13で繰り返す形で、またリースとフィンチのストーリーとして終わったんだなと感じました。

 この回冒頭のリースがバスでうたた寝をして目覚めるシーンはS1E1の地下鉄やS1E22のバスのシーンと重ねあわされているし、グリアとカーラの出会いはフィンチとリースの出会いのアナロジーとして提示される。しかしその後、フィンチに拾われて救われたリースとは対照的に、グリアに拾われたカーラは使い捨てにされます。

 一方で政府のフィードにウイルスを感染させる行為、死を覚悟して屋上に上る行為はいずれもS5E12,E13のラストと同じです。S2ではリースが、S5ではフィンチが中心となって事件に巻き込まれ、2人が全く会えなくなる状況も似ています。さらに言えば、今回のフラッシュバックで描かれる、「銃で撃たれた後にミサイルを撃ち込まれる」というオルドスにおけるリースの「二重の死」は、S5E13のラストシーンと同じだと思う。また、全ての元凶がフィンチで、結局彼に因果が巡ってくる(全てを生み出し破壊する)というストーリーの流れもS2終盤とS5終盤は似ている。

 

 見返してみて、この回で二人きりの人助け話にいったん決着をつけて、“マシン”のストーリーに重点が移っていくんだと感じました。グリアがAI戦争における“悪いフィンチ”として登場するのもこの回からです。見返してみるとS1やS2のストーリーを踏まえてS5を作ってるんだなと感じたし、この回の流れがラストで繰り返されることにすごく愛を感じました。POIのラストでは、リースを生かそうと金庫に閉じ込め、死を覚悟して屋上に上ったフィンチをリースが命懸けで救った。それはこの回のオマージュなのかもしれないと思います。フィンチを危険に近づけるまいと「あんたはここに近づくな」と警告し、死を覚悟して屋上に上ったリースをフィンチが命懸けで助けたように。

 

 最初は前回の続きから始まります。カーラがドネリーを撃ち殺し、リースを連れ去る。フィンチは必死にカーターと連絡を取り、カーターとリースの行方を知ろうとします。

 カーターが「犯人は元CIAのリースの相棒の女よ」と言った時、フィンチのもとに届いた「番号」はカーラのものだった…。「何が目的なんだ」と呟くフィンチ。

 

 リースはバスで目覚めます。スノウが運んだのか??カーラ一人でリースを運ぶの無理でしょ…。カーラはスノウとリースに爆弾ベストを着せて思い通りに操ろうとします。

 

This is about three dead little spies in a brave new world.

これは新しく素晴らしい世界で生きる3人の死んだスパイの話

It's about the afterlife, John, and us negotiating our places in it.

これは死後の世界よ、ジョン。そしてその中に私たちの居場所を作るために交渉するの

 

 フラッシュバックでグリアがカーラに「君は古い神に仕えていた」と神話を引用して語る内容と重ね合わせると、これからは情報を売り買いする世界、AIの世界になる。そこに居場所を作るの、とカーラは言っているように感じる。でもカーラはここで死に、「新たな世界」に居場所はなかった。POI最後まで見てから戻ってくると、 “人助け”に生きたリースだけは他の2人と違って生き延びた、と考えるべきか、結局は人殺しだった過去から逃れられないリースもそこに居場所はなかったと考えるべきか、分かりません。

 

 フラッシュバックはカーラ、2010年12月。モロッコでラップトップ回収の指令を受けたリースとカーラは、スノウにお互いを裏切るよう命令されます。そしてオルドス。リースを撃ったカーラはミサイル爆撃を受け、デシマ・テクノロジーズに拾われて治療を受けます。Wikiによればカーラの死亡証明書に記載された死亡日時は2010年12月23日5:10AMとなっているそうです(そこまで見えなかった)。日にちから推測するに12月23日頃かな?と思ってたけどまさにそうでしたね。

 カーラとグリアの出会いはリースとフィンチの出会いのシーンと似ています。「君のことは全て知っているよ。名前、出身地、所属、なぜベッドの上で目覚めることになったのか。私は情報には困らない。君に仕事を頼みたい。君が金で買えないことは分かっている。だが、政府が君に提供できなかったものを私は君に与えることができる」

 2011年のフラッシュバックでは、グリアはカーラに神話について話します。子の力を恐れ殺そうとした父が子に殺される…。「君は古い神に仕えていた。そして君は裏切られて殺されかけた。次に何が起きるのか気づき、それを恐れたからだろう」。これは、政府が「父」、カーラが引き起こすことができる何かを「子」と言っているように思えます。一方でフィンチとマシンの関係を暗示しているようにも思えるんですが、このシーンではグリアもカーラも顔認証は白枠です。つまり、マシンを知っている人物という設定ではないようです。ここではやはり純粋に、カーラが政府というか自分を裏切った何かに復讐する、というストーリーとして読み解くべきだろうか。

 

 グリアとフィンチはここから最後まで対照的な存在として描写されます。リースの優しさを知り、彼をマシンの運命に巻き込んだことを悔やみ、人生を救おうと「人助け」の仕事を提供し、命懸けで彼を助けようとしたフィンチに対し、カーラの復讐に手を貸すことで目的を果たし、彼女をみすみす死なせたグリア。その後もグリアはアーサーやヴィジランス、デシマの社員たち、政府の人間たち皆を使い捨てにして目的を果たそうとします。

 面白いと思うのは、グリアも私利私欲を満たそうとする人物ではないんですよね。フィンチが、「人間は全て平等で皆が大切だから、命を選別するな。私だけを守るな」とマシンに教えたように、グリアは「ASIの前では人間は全て無価値。有用な命などない。私も有用ではない」という考えです。だからグリアは最後自分すらも使い捨てにします(まあ、情報は通貨だ、それをコントロールする人物が世界を支配する、みたいな発言もありましたけど、そういう目的でサマリタンを使ったシーンは特になかった)。2人とも「よりよい世界を目指す」という目的や相手を倒すために取る手段(サイバー攻撃)は同じでも、その根底の考え方が違うのが面白いなと。

 

 フィンチはリースの行方を必死で追いかけます。ベアーに「彼を必ず取り戻す。約束する」と話して。そこにカーターから情報がもたらされ、またリースから暗号が届きます。「UXO」、それは「不発弾」という意味の軍用語だった。ATF職員を装って軍事施設に侵入させられるリースとスノウ。フィンチはカーターとファスコの協力でリースの居場所を突き止め、また行先に何があるのかを調べます。

 カーラがリースを無理やり送り込んだ施設の正体をフィンチが探り当てるシーンとても好き。

 

I have information on your restricted floor.

制限された階についての情報が得られた

I can barely hear you.

聞こえにくいんだけど

Sorry about the noise, but I had to relocate to a place with better wi-fi anonymity before hacking the Department Of Defense.

うるさくて申し訳ない、しかし私は国防省をハッキングする前に、匿名性の高いWifiが使える場所に移動する必要があった

You hacked the DOD?

あなたは国防省をハッキングしたの?

 

 フィンチなんでもできすぎて大好き♡

 

 一方リースは爆弾ベストで脅されて色々させられてるのですが、電波の通じない場所に行かされてカーラからの通信が遮断されるとすかさずフィンチに電話します。「俺だ」って萌えるわ…。2人はカーラがサイバー兵器を盗み出すつもりだと考え、リースはそれを破壊します。そしてカーラの狙いを潰したと思ったリースは自分が爆破で殺されることを見越し、フィンチに「ハロルド、あんたはここに近づくな」と警告します。

 しかしカーラの狙いはサイバー兵器を盗むことではなかった。デシマに託されたウイルスを仕込むことでした。

 

 デシマがカーラを使ってウイルスでマシンを狙ったように、フィンチは最後ウイルスでサマリタンをマシンもろとも破壊しようとした。あのラストはこの回のアナロジーだったのか、と見直して初めて気が付きました。この回の、というか、フィンチとグリアの取る手段が同じということですかね。ただ前提として全然違うのは、グリアはマシンやサマリタンを作ったわけではなく、一方でフィンチは自分の子であるマシンが死んでもサマリタンを殺そうとしたところですけど。

 

 カーラは立ち去り際、「もう戻れない」と言ってスノウとリースの爆弾を起動していきました。屋上で死を待つつもりのリースに対し、CIAのセーフハウスに逃げ込むと言うスノウ。でも何度も、「ここは敵地だ」と失敗した仲間を切り捨ててきたのはスノウ自身だった。「受け入れられるはずはないだろう」と言うリースに、「じゃあな」とスノウは銃を向けます。

 スノウは自分でも、セーフハウスに逃げ込んだところで助けてもらえるはずはないと分かっていた。だからあの死に方を選んだのだと分かります。

 

 リースのもとにはカーターとファスコが駆けつけてきますが、すでに爆発まで5分を切っている…。「息子はどうする」とカーターを死なせまいとするファスコとリース。

「こんなのだめよ」

「これでいい。俺の立場なら君だって同じことをする。ありがとう、二人とも」

 言い残して屋上に去るリースを見送るしかない2人…。屋上に上ったリースのもとに現れたのはフィンチでした。

 

So I see I'm not too late.

それで、私は遅すぎはしなかったようだな

I should have known you'd turn up here. I told you to stay clear.

あんたがここに来ることを想定しておくべきだった。近づくなと言っただろう

Which is how I knew you'd put yourself in a situation like this, Mr. Reese.

だからこそ君が自分自身をこのような状況に置くだろうと私は知ったんだよ、リース君

Stay where you are. Here. Find out what's on that hard drive and stop it.

そこに留まれ。これだ。このハードドライブに何があるのかを確かめ、止めるんだ

Will you just let me--

ただ私に…

What are you gonna do? Shoot me?

君は何をするつもりなんだ?私を撃つのか?

This is my past catching up with me. It doesn't concern you.

これは俺の過去が俺に追いついたんだ。あんたとは関係ない

But this moment does. I'm not leaving you here, John.

しかしこの瞬間は関係がある。私は君をここに置いて去ったりはしないよ、ジョン

So can we please stop wasting time?

だから我々の時間を無駄にしないでいただけるか?

Well, let's see what we've got here.

それで、何が起きているのか見せてくれ

Have you ever defused a bomb vest before?

今まで爆弾ベストを解除したことはあるか?

Can't say I have.

あるとは言えないな

But I believe I grasp the basic principles.

しかし基本的な原理は把握していると信じているよ

Well, that's encouraging.

あー、それは心強いね

It appears that she's wired the phone to a capacitor-based trigger.

彼女は電話をコンデンサを基礎とした引き金に有線接続したようだ

If the phone is called, it will charge the capacitor which will, in turn, release it's charge in a single--

もし電話が鳴れば、コンデンサが充電され、そしてそれは、順次、その電力を放電し…

Finch.

フィンチ

I'm sorry. This is my process.

すまない。これは私の手続きなんだ

Can you shut off the timer?

タイマーを止められるか?

I can't get at the battery.

私はバッテリーに触れられない

I need to hack the phone's lock code.

電話のロックコードをハッキングする必要がある

Can you do it?

できるのか?

I have built some of the most complex computer systems in existence.

私は現存する最も複雑なコンピューターシステムを構築したんだ

I can certainly unlock a phone.

携帯電話の解除など確実にできる

All phones have a universal unlock code based on their model and the unique IMEI number.

全ての電話にはそれらのモデルに基づく共通の解除コードがあり、そして特有の製造番号がある

Okay.

分かった

For this phone, it's one of five combinations.

この電話の場合、これら5つの暗証番号のうちの一つだ

Well, that's good.

それはよかった

The problem is we only get three attempts before the phone permanently locks us out.

問題は、この電話が我々を永遠に拒絶するまでに3度しか試すことができないことだ

That's not.

それはよくないな

I take it that one didn't do it?

一つはダメだったのか?

Sorry.

すまない

 

What?

何だ?

Something you said once.

あんたが前に言っていたことだ

About how sooner or later we'd both probably end up dead.

遅かれ早かれ、俺たちは2人ともおそらく死んで終わるだろうと

I'd prefer later.

遅い方がいい

After all, I'm the one that got you into this in the first place.

結局、そもそもこれに君を巻き込んだのは私なのだから

I'm pretty sure I'd be dead already if you hadn't found me.

もしあんたが俺を探し出さなければ、俺はすでに死んでいたよ。確信がある

It's hard to say.

そう言うことは難しい

Not really.

難しくはない

Pick a winner, Harold.

当たりを引いてくれ、ハロルド

 

 このシーン、何十回見たかもう分からん。S1E10 Number Crunch のラストシーンと同じくらい何度も見たわ。萌えすぎてやばいですね。

 

 フィンチがなんで屋上にいるんだというのは最大の謎ですが…。私はもともとヘリで来たんだと思っていたのですが(フィンチ、飛行機の運転できるっぽいし)、次のE14で「マンハッタンのビルの屋上からヘリで飛ぶのは違法だ」みたいにリースが言ってたんでどうなんだろう。でもS1の最終話ではヘリを奪って逃げろ!みたいなシーンもあったよね。

 ビルのエレベーターは警察が押さえてて、階段はカーターとファスコがいたしそもそもフィンチが21階まで階段で登れるとは思えないし、やっぱり報道ヘリとかを装って屋上に降りたんじゃ、って勝手に思ってる(実際はセキュリティ的に無理でしょうが…。ここは突き詰めてもしょうがないか)。

 

 やっぱりこの2人はお互いのピンチには絶対に駆けつけて救うところが好きだ。リースはフィンチを巻き込むまいとして、「あんたには関係ない」「今は関係がある(今私はここにいるのだから)」って会話するけど、この状況にはマシンやフィンチが売ったラップトップが絡んでいてそもそも関係なくはないし、フィンチはもしかしたらそれを全て知ってる。銃を突きつけられても「君を置いては行かない。時間を無駄にするな」って…。

 銃を下したリースに駆け寄るのですが、なんでここでフィンチがリースのシャツのボタン外すんだー。サービスシーンかよ。どきどきしちゃいました。落ち着こうとして携帯爆弾の原理を一生懸命喋るフィンチかわいいし、その後即座に解除コードをハッキングするのかっこいい。でもその後の

「やったな」

「でも3回以上失敗するとアウトだ」

「マズいな」

って会話笑えます。そんでフィンチが1度失敗して、

「ダメだったか?…すまん」

って。リース君、緊張の極限を越えてちょっと精神的におかしくなっているのではないか?

 

 ここで前半の会話が終わりカーラ様の色々とフィンチがもう一度コード入力失敗した描写が入り、後半にうつるのですが、後半の会話ではリースの目線がヤバいです。半分くらい目が閉じているような表情で、「死んでもいい」って顔してます。

「最初に言ってたよな、いつか共に死ぬことになると」

 今ここで2人で死ぬんだ、それでもいい、みたいな感じ。フィンチの方が必死で死なせまいとしてて、「君を巻き込んだのは私だ。死ぬのは遅い方がいい」って。

 この「巻き込む」は今の仕事のことだけじゃなく、マシンやオルドスの件も含めて全てのことを言っているんだろう。だからリースが「あんたがいなきゃとっくに死んでた」って言うのに対して「それはどうかな」と返す。ここでは、リースはまだフィンチがこの仕事に巻き込んだことを「君を巻き込んだ」と言ってると思ってて、フィンチもそれを知ってる。でもフィンチはそれよりもずっと前からリースを巻き込んでいることを知ってる。この2人のすれ違いがすごく切なくて、だけど「死んでもいい」ってリースの表情と「死なせまい」って必死なフィンチに萌えました。

 リースは多分、スノウとカーラのこと考えてたと思う。一緒に仕事をして命を預け合ってきたのに、この2人には殺されそうになった。でもここでフィンチは命懸けで自分を助けようとしてくれてる。多分、この人のためなら死んでもいいってリースが思ったの、この回がきっかけだったんじゃないかなぁ。

 

 最後の

Pick a winner, Harold.

これ調べると、「勝ち馬を選べ」っていう意味でも、皮肉で「いいもん当てたな(ひどいものを選ぶ)」という意味でも使われる言葉だそうです。だからやっぱり、リースは多分ここでうまくいっても、一緒に死んでも、どちらでもいいと思っているのだろうと感じました。字幕では「あんたに任せる」となってます。

 この後フィンチが泣きそうな顔をしながら必死でコードを押すの、胸が苦しかった。何度見ても苦しいです…。でも何度も見ちゃう。リースはこの時ずっとフィンチのことを見ていて、フィンチは時間ギリギリで正しいコードを選び、Cancelボタンを押して安堵の息をつく(この時残り7秒でした…)。しかし、番号入れて終わりじゃないんだ、キャンセルボタン押さなきゃないんだ、ってそれにびびったわ。私だったら番号入れたとこでやったー!ってなってその後キャンセルし忘れて爆発しそうだわ。

 普通だったら残り1秒とか0秒とかで解除になりそうだけど、7秒って間がいいなぁと。そこでほっと息をついて、「生きてる…」ってなったところで(この時地階からファスコとカーターが見上げていて「不発か?」と言ってる)、7秒後にスノウが爆発した音が聞こえてくるという演出が憎いです。ちなみに残り7秒だったのは007へのオマージュらしいですね。

 無事生還した後も全くハグとかせず、1階でバーンって爆発したのを見守って「スノウが退場したか」って淡々と言うとこ好き。このストイックさがたまりません。スノウはカーラの車に乗り込み、「死ぬのは得意みたいだ」と彼女を巻き込んで爆発して死にました。

 

 カーラ様ジェシカ以上にリースの人生に影響が大きい人物に感じるわ…。今後も時々フラッシュバックで出てきてくれて楽しい。リース君、一見俺様だけどカーラとかカーターの尻に敷かれてる方が似合ってますけどね(笑)。まあー、でもジェシカやアイリス相手だと俺様も発動してなかったしなぁ。カーターやフィンチ(最終的にはファスコも)に対する態度が一番自然に見えますね。

 

 結局カーラは何かウイルスみたいなものを仕込んでいったわけですが、これ以降徐々にマシンが不可解な状況に追い込まれていき、全ての運命が結局フィンチに返ってくることになります。フィンチは最初から最後まで、正義の司令塔であると同時に悪の黒幕、全ての元凶的な役割も果たしていて、最後は破壊の神になって終わったし。

 グリアが言う、「中国にラップトップを売った人物」の名はハロルド・フィンチだった…。最初この回見た時なぜフィンチが中国にラップトップを売ったのか全然意味が分からなかった。でも、マシンだけじゃなくてこのラップトップの件も全てフィンチが絡んでいてリースの運命を翻弄していたのだということは分かってすごく切なかった。リースはそれを知らなくて、フィンチは初めから全て知っているんですよね。フィンチがリースに心を開けない(開いちゃいけない、親しくなってはいけない)って頑なだった理由が徐々に明らかになってきて、2人の運命がどんどん重なってくるのが本当に切ないです。

 

 フィンチがラップトップを売った状況はS2ラストとS3のディリンジャー回で明かされます。リースとフィンチ、マシンを巡る運命がこうやって徐々に分かるようになっていて、リースにとってフィンチは死神のようにも見える。でも、「あんたに会えなきゃ死んでた」というこの回でのリースの言葉が“マシンがいない世界ではリースは死んでいた”というS5のシミュレーションで証明され、そもそもフィンチと出会わなければリースの人生もなかったんですよね。。

 前回に引き続きこの2人の運命の不均衡さがとても苦しくて、でもとても萌えるわ…。

 

 最後リースがフィンチに「ありがとう」と言うと、フィンチは「言わないでくれ」と返します。全て自分のせいだとフィンチは思っているから…。ほんとに切ないなあ。でもこのシーンのベアーがめっちゃかわいいよ…。正直私はあまり動物に興味はないのですが、ベアーかわいい。POIにベアーいてほんとによかったです。

 

POI:カーラ・スタントン(加害者)

本編:2012年11月17-19日

フラッシュバック:

2010年12月、カーラ(モロッコ、その後オルドス)

2011年2月3日(S2E21でDay 3321と表示される)、カーラ(グリアとオルドス)