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01x10 - Number Crunch 感想

 POI感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

 この回は、ストーリーがどうこうっていうよりもラストシーンが全てですね。ずっと「スーツの男」を追い続けていたカーターにスノウが接触し、ついにリースとフィンチの共犯関係がカーターに目撃され…、という。このシーン何回見たか分からん。ラストシーンだけなら30回以上見てる気がする。。

 

 日本語タイトルは「汚れた金」でしたが、原題のNumber Crunchはどういう意味なんだろうか、と思ってググったら、Number-crunchingで「複雑な計算をする」という意味だそうです。あと、Crunchスラングで「大変なタスクをこなそうとする」みたいな意味もあるんだとか…。複雑に重なり合った番号の仕事にどうにか対処する、みたいな感じかな。

 

 最初の会話笑えます。いつもの場所にフィンチがいないので図書館内を調べていて、本の中から写真を発見したリースにフィンチからの呼び出しがかかります。

 

Whenever you're ready, Mr. Reese.

いつでも準備が出来たら始めよう、リース君

I'm in here.

私はここにいる

Where did you come from?

あんたはどこから来たんだ?

I breached the space-time continuum.

時間空間の規則性に違反したんだ(時空を超えたんだ)

Not really.

まさか(冗談だ)

I did sense my privacy being invaded.

私のプライバシーが侵害されているのを確かに感じた

But we'll leave that for now. We have work to do.

しかし、それは今は置いておこう。仕事がある

 

 フィンチの台詞、字幕では「タイムトンネルを抜けた」になっていて、リースが呆然と聞いているのが笑えます。「冗談だ」って言われなきゃ本気にしちゃいそうな感じ。なんで信じるんだ…。まあ、ちょっと時空とか超えてそうだからね、フィンチ(笑)。

 リースは『機械の中の幽霊』という本の中に挟まった一枚の写真とその裏のメッセージ「In the beginning. N.I.」に目を留めるのですが、これは出会った頃のハロルド・レンとネイサンなのかな(『機械の中の幽霊』は実在する書籍で、著者はアーサー・ケストラー)。本に適当に写真を挟んだあげくにその辺に置いておくなんて、見て下さいと言わんばかりですがその辺はどうなってるんだ…。見られてもいいと思っていたのか、本当に偶然だったのか(挟んだことを忘れていた、とか私なら全然あると思いますがフィンチはどうなんだろう)。

 

 この回は初めて番号が4人分一度に出て、2人はその対応に追われます。まず最初のクレアは駆けつけた時にはすでに殺されていました…。ファスコも巻き込んで残りの3人に対処するため、リースはウェンディを、ファスコはポーラを、フィンチはマットを追うことに。

 

 面白かったのはリースが美容院に行って、「この髪型は許せないわ」とか「もっとエアリーに」とか「みなさん、独身なんだってよ」とか言われちゃうシーンかな。リースって長身のイケメンなのに、美容院とかクラブとか行くとめちゃくちゃ浮いてるのが何か笑える。やっぱりスーツが「殺し屋風」だから(笑)?ウォール街にもあんまり馴染んでなかったなー。体格がよすぎるのだろうか。

 ちなみにこの時の実際のウェンディの発言は

 

Something a little more modern?

もう少しモダンにする?

Is this, uh, gray, au naturel or au bouteille?

これは、このグレーヘアはナチュラル?それとも瓶詰め?

 

と言ってます。瓶詰め??自然じゃないってことか?邦訳では「メッシュ」になってましたが、要は染めてるのかってこと??あと実は「エアリー」とは言ってないんですね。

 

 かわいそうだったのはフィンチが爆発に巻き込まれちゃうシーンかな…。リースだったら気づいていたかも、助けられていたかも、って思うし多分フィンチが一番思ってて、でも一般人が気づくわけないよねあんなの。「伏せろ!」って言われた後も「助けなくては!」って救助に向かおうとして一緒に吹き飛ばされて、呆然として。助かって図書館に戻るけど、精神的にすっごく不安定になっちゃってて。

 

Oh, my God, it's a bomb!

なんてことだ、あれは爆弾だ!

Get down. Get down on the ground, Finch.

伏せろ、地面に伏せるんだフィンチ

I have to warn him!

彼に警告しなくては!

Finch, are you okay? Harold!

フィンチ、大丈夫か?ハロルド!

 

I should have seen it quicker.

もっと早く気付くべきだった

I mean, what kind of a mother leaves a stroller?

そもそも、どんな母親がベビーカーを放置したりするんだ?

And she was wearing sunglasses and a scarf, obviously to hide her face.

彼女はサングラスをかけてスカーフを身に着けていた、明らかに顔を隠していた

Finch.

フィンチ

If I could have warned him, he might still be here.

もし私が彼に警告していたら、彼は今でも生きていただろう

Finch.

フィンチ

You couldn't have saved him.

どちらにせよ彼を助けることはできなかった

You have to let it go.

もう忘れるんだ

We have to concentrate on the ones still alive.

まだ生きている2人に集中しよう

 

Finch, are you okay? Harold!

は吹替では「大丈夫か?返事をしろ!」になってました。「フィンチ、大丈夫か?ハロルド!」ってそのままでもよかったんだけどなー。で、難しい顔で電話を切ったリース。フィンチのもとに駆けつけたんだろうなー、多分。もしくは図書館で合流することにしたんだろうか。「外に出て手伝ってくれ」って頼んでたのが自分だったからリースもこの件について責任を感じているんだろうなと…。

 この2人って完全ビジネスライクな感じで始まった割に、S1のE3くらいでもうリースの危機にフィンチが駆けつけてたり、E5でちょっと距離が近付き、この回ではお互いを思いやるようなシーンがすでにあってこの距離の縮まり方に心を鷲掴みにされますね。

 まあ後から実はフィンチにとってリースは唯一無二の人だったことが分かるようになっていて、それもまた萌えです。

 

 2人が対象者の危機に対応しようとする一方で、カーター絡みの話も緊迫感があって面白いです。カーターはリースに命を救われたことで、犯罪者と裏で組んでいるのでは?と怪しまれて内部調査の対象になります。そしてCIAからスノウが訪ねてきます。スノウは虚実織り交ぜてカーターにリースのことを語り、カーターはスノウの言うことを信じてしまう…。

 すでに我々はカーラのことは目撃しているわけなので、無邪気な感じのカーラの写真を見せられてちょっと「えっ??」ってなるんですけど、カーラってリースのハンドラーだったわけ??パートナーに見えたけど…。これもスノウの嘘なのかな。カーラはリースによって殺された、という、この時点では嘘か本当か分からない情報がもたらされます。あとスノウの「彼は親友だった」発言は確実に嘘だよね…。スノウはカーラとカーターを重ね合わせるようにして、「彼はかつて信じていた女性を殺した。彼は今君を信じている」と、いつかリースがカーターを殺すだろうと示唆します。

 

 この回もカーター&ファスコの調査とフィンチのハッキング、リースの追跡がいい感じに交差しながら徐々に真相に近づいていく感じが好き。

 そういえばS4でリースが「RTCCに問い合わせる」と言ってフィンチに電話し、フィンチが「私がRTCCか?」と文句を言ってリースが「いいから調べろよ」っていうやり取りがあって、この時RTCCが何なのか分からなくて「私の予想ではReal Time Crime Centerだと思う!」とか感想に書いてたのですが、見直してみたらS1からReal Time Crime Center出てきてました。確かに予想通りではあったけど、ずっと出てたじゃん…って脱力したわ。この回でも出てたけど、もっと前の回でも出てた(今探せません)。全く記憶になかったですね…。ほんと映像記憶能力なくてさ…。

 

 あとはファスコがリースに電話して、

 

Maybe you want to give this to your little friend with the glasses.

あんたはこの情報をメガネをかけた小さいお友達に伝えたいだろう

 

と言ってフィンチが「聞いてるよ」って言うシーン笑った。字幕では「根暗メガネに伝えろ」、吹替では「メガネのちんちくりんに伝えろ」になってましたね。ずっと字幕でしか見てなかったので、二次でよくファスコが「メガネのちんちくりん」発言するその元ネタがずっと分からなったのですが、ここで初めて知りました。吹替の発言だったのか…。「盗聴してんのか?」と聞くファスコに、フィンチはお返しなのか、「腸のゴロゴロは聞き飽きた。携帯を胸ポケットに移してくれ」とか言います(笑)。

 ちなみにファスコはトイレでリースに電話してるんですが、同僚に

 

Hey, Fusco, you die in there?

おい、ファスコ、そこで死んでんのか?

 

って言われんのも笑った。

 

 フィンチは黒幕に有名ブロガーをよそおって接触します。フィンチは追跡より潜入の方が向いてますよね…。ところでこのブロガー「トーマス・ペイン」は、フィンチが運営しているブログなんだろうか、それとも運営が顔出ししていない有名ブログを乗っ取ったのか??だって有名ブロガーになるって、結構手間と時間かかりそうですよね…。そういうのずっと仕込んでたってこと?「ペンネームではなくネームペンです」とか言ってカメラ付きペンを渡して盗聴&盗撮しちゃうぞ。

 そういえばWikiのフィンチの紹介欄に「リースと同じくらいユーモアセンスがない」とか書かれてて笑ったわ。ちなみにこのペンには"The pen is mightier than the sword"って書いてあるらしい。

 

 この回でカーターが初めてリースの顔を見ます。あまり考えたことなかったのですが、確かにこれまではあのホームレス姿しか知らなかったのか…。途中でファスコに「顔を見ると情が移るだろう」と言われて「そんなことない」と答えますが、顔を見ちゃったから情が移ったのかなあ。それともやっぱり、前回命を救われたからだろうか。

 

 ラストシーン、萌えすぎて何度見たか分からん。スノウに言いくるめられたカーターがリースの居場所を漏らしてしまい、スノウが病院の屋上に現れて。

 

Hello, John.

やあ、ジョン

Mark.

マーク

Glad to see you're still alive.

君が生きていて嬉しいよ

I bet you are.

そうだろうな

Surprised you ended up in New York City.

君が結局NYにいたなんて驚きだ

Thought you'd get yourself a cabin in the woods--

森の中のキャビンで暮らす生活を選んだのかと思っていた

Montana, maybe.

モンタナかどこかでな

What do you want, Mark?

何が望みだ、マーク

Time to come home, John.

家に戻って来い、ジョン

Slate's been wiped clean.

全てを白紙に戻そう

You know that will never happen.

そんなことは絶対に起こらないと知っているだろう

 

 ここでリースはスノウの連れて来たスナイパーに撃たれ、倒れます。カーターは目を見開きます。彼女はスノウに「彼がこれ以上罪を犯す前に捕まえたい」と言われていたから、まさか問答無用で撃つと思わなかったのだろう。次回でも、「逮捕しようとは思っていたけど殺すなんて」と不信感をあらわにしていました。

 リースは姿を消し、なぜか車で追跡しようとするスノウと、階段を追いかけるカーター。

 

Hey, Harold.

やあ、ハロルド

John, I've been trying to call you.

ジョン。ずっとかけ続けていたんだ

Yeah, I've been kind of busy.

ああ、ちょっと手が離せなくて

Where are you?

今どこにいる?

Parking structure.

駐車場の階段だ

It's not looking good.

よくない状態だ

Carter sold you out.

カーターが君を売った

They got to her.

奴らが彼女を丸め込んだんだ

Yeah, they're clever like that.

ああ、彼らは賢いんだ、そんな風に

I wanted to say thank you, Harold, for giving me a second chance.

俺はあんたに礼を言いたかった、ハロルド。二度目のチャンスをくれたことに

It's not over, John.

まだ終わっていないよ、ジョン

I'm close. Just get to the ground floor.

近くにいる。1階に降りて来るんだ

No. You stay away.

いや。あんたは離れていろ

Don't even risk it.

リスクを冒すな

 

Hold it!

待ちなさい!

You…

あなた…

Get him out of here.

ここから彼を連れ出すのよ

Come on.

行って

 

「カーターが君を売った」と言ったフィンチに「さすがスノウだ」と返すリース、撃たれてなおカーターとスノウの両者を上げるという…。かっこよすぎるわ。

 さて、R&Fはこの回急速に距離を縮めてここで「ハロルド」「ジョン」呼びです。最初見た時は、フィンチがどうしてこんなに必死でリースを助けようとするのか完全には理解できていなかった。もしこれが他の人だったとしても駆けつけたんだろうか。自分が雇って巻き込んだから誰であっても全力で救おうとしたんだろうか。それとも、「仕事をくれてありがとう」と言ってくれたリースだったからなんだろうか、って。もちろん全然知らない人を必死で助けようとしているフィンチだから、リースじゃなかったとしても見捨てはしなかったと思うんですが、それでも現場にはCIAもカーターもいるわけで、見つかったら危険極まりない状況です。

 この後S2をラストまで見て、さらにS3E16のディリンジャー君のエピソードを見てから見直すと、「部下だったから」と「リースだったから」の両方が入り混じっているように思えました。

 フィンチはかつての部下を自分の判断ミスで失っている。しかも、政府のエージェントに撃ち殺されています。死の直前に「仕事をありがとう」と言われてもいます。状況は異なりますが、同じ過ちを二度と繰り返したくないと思ってるのかなぁと。それに、フィンチはリースのことをそれ以前からずっと知っていました。彼ほど優秀で孤独で自分の理想に合う部下にはもう出会えないと思っていただろうし、それに、純粋にこの人を失いたくないと思ったのだろうと感じました。

 

 最後の最後、駆けつけたフィンチがリースを抱き留めて。ここでカーターにその姿を目撃されます。カーターはこの2人がどういう状況にいて何をしているのか知りようがなかったはず。でも、あの一瞬でカーターが我々と同じ気持ちになったのがありありと伝わるんですよ…。無事に逃げてほしいって。この2人は他に誰もいないんだって分かったんだと思う。強盗団とか大きな組織に属しているわけじゃなく、たった2人しかいない、互いしかいないんだ、って。あの証拠保管庫襲撃事件の時も、今も、この眼鏡の男はスーツの男を助けるために身を挺して姿を現したんだ、ってカーターには分かったんだと思うんです。だから逃がしてくれたんじゃないんだろうか。かつての仲間に裏切られて撃たれ、瀕死で、味方はたった一人しかいなくて。それがまだ出会ったばかりで打ち解けてすらいない上司だとは分かりようがなかったでしょうが、この2人の抱える孤独みたいなものがカーターの心を動かしたんだろうと思いました。リースに対しては、前回命を救ってもらった恩もあるから命は救いたいとは思っていただろうけど、もしリースだけだったらやっぱり逮捕してきちんと病院に運んで…、って流れだったんだろうと思う。でもフィンチがいたから、カーターはあそこで「あなた…」と呟き、「彼をここから連れ出して」と言ったんだろうなと。

 逃がしてくれることが分かった時のリースがカーターを見る目が切なくて、かすかに唇が動いて(何か言おうとしているように見えるけどちゃんと喋ってはいない)、最後「Go」って2人を行かせてからのカーターの潤んだ瞳が…。

 

 あー、この回、ラストシーンほんとに何回繰り返して見たかわからん。ラストシーンでかかる曲は UNKLE の When Things Explode でした。

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 ていうかS1S2は毎回が神回すぎて、毎回見終わった後に面白すぎてヤバいなーとか思います。アホ極まりない感想ですが…。

 

POI:クレア・ライアン、マット・ダガン、ウェンディ・マクナリー、ポーラ・バスケス(全員被害者)

本編:2011年12月15日頃(次回のカメラ映像でリースが撃たれた日が12月15日だと分かるので、本編はそのちょっと前くらい。あとカーターが「ここ3カ月追ってる男」と言っているので、やっぱりリースとカーターの出会いは9月と考えてよさそうです)

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