「一首鑑賞」の注意書きです。
13.僕たちの骨がオパールになるほどの遠いひかりの果てであいましょう
(蒼井杏)
この歌は本当に偶然出会った歌です。
「僕たちの骨が」という表現から遠い未来をまず連想しましたが、次に「オパール」と来て、これは単なる未来じゃないな、と。「化石」じゃなくて「オパール」なので、やはり「ひかり」を連想しました。あの複雑な遊色。オパールには、「光の変化を見る」という意味もあるようですね。この「オパール」はやはり白色系なんだろうか(「骨」だから)。
骨、という言葉から、一般的に連想されるものってどういうものなんだろうな、って考えました。漫画とかで見るような真っ白くてまっすぐな骨なのか、鶏肉を食べた後に出てくるような細くて肉片がついた骨なのか、焼かれて原形をほとんど留めていないくすんだ色の骨なのか、それとも、いわゆる骸骨なのか。
当然、ここでの「僕たちの骨」は何かの比喩というか精神的な意味合いなんでしょうが、「骨」という言葉から、もともとは「遠い死後、どこかでまたあいましょう」っていう意味合いを想像していました。でも「遠いひかり」をもっと精神的に受け取ると、僕たちは今ここに生きていて、だから体の中にあって実際には見えない「僕たちの骨」が美しい遊色を放つようになるというふうに考えた方が面白いのかなって思ったりしました。「遠いひかりの果て」にたどり着くのは生きたままの方が難しいと思うし、だからこそ生きたまま、遠いひかりの果てであなたに会えたら、って。
作者は後で引用しようと思っていた『瀬戸際レモン』の人でした。偶然出会えてラッキーだったなと思います。歌集読むべきだろうか…。ググってみると、『瀬戸際レモン』は
ここがたぶん瀬戸際でしたゆっくりとレモンの回転している紅茶
からタイトルが取られているようです。この歌もすてきですね。
振り向いた君は二色の電気石 百年俺の目を灼くだろう (yuifall)