講談社 穂村弘 著 「ぼくの短歌ノート」 感想の注意書きです。
身も蓋もない歌
こういう「そのまんまやろ」シリーズの歌、面白いですよね…。特に今回は、雑誌の短歌欄に投稿されてきたというアマチュアの人の作品、
ハブられたイケてるやつがワンランク下の僕らと弁当食べる (うえたに)
の歌の身も蓋もなさに打ち震えました。スクールカーストや…。高校生かな。自分を「ワンランク下」と見据える冷静なまなざしもありつつ、でも「イケてるやつ」の「ワンランク下」ってことはそこそこの上位グループという自覚もありつつ、自分ももしかしたらさらに「ワンランク下」へ行く可能性もあるかもという予感をはらみつつ、「イケてるやつ」を受け入れて一緒に弁当を食べてるわけですね。面白いなー。
後半は死や社会批評的な目線を孕みつつも私情を排した身も蓋もなさですが、
「百万ドルの夜景」というが米ドルか香港ドルかいつのレートか (松木秀)
疑わずみな鶴と見る折り鶴は現実の鶴には似ていない (松木秀)
とかめっちゃ好き。そうだなぁ、って感じ入りつつ笑っちゃうわ。そこ突き詰めて考えちゃうのか、みたいな目線ですね。みんなが分かってるけどスルーしているあたりに切り込んでくると。たくさん紹介されているのですが、読んでいてニヤッとします。まあ、時事ネタとかエンタメネタとか、よく分からないのもあるのですが…。分かればもっと楽しいだろうな。
イケメンがやってるだけの小説を頭痛がするほど読みまくる秋 (yuifall)
温暖化 世界が海に沈んでも地球は別に困りはしない (yuifall)