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ぼくの短歌ノート-「窓の外」 感想

講談社 穂村 弘著 「ぼくの短歌ノート」 感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

 窓の外

 

 「異変の予兆とその感受がある」作品集です。解説には

 

作中の<私>たちが「窓」や「ガラス」や「硝子」越しにみているのは外の風景ではない。現実の今の上に、まだ到来しない世界の像をみている、というか、感じているのだ。

 

とあります。

 

ガラス戸の向う動かぬ夏がみえ起るべき何をわれは待ちいる (平井弘)

 

は確かになんかちょっと不穏な感じ、というか、ちょっと怖がってる感じだよね。そして「夏が見える」ってことは今は春の終わりくらい、青春の終わり頃なんだろうなと。

 

硝子扉の外はまばゆき朝なれば裁かるるごと風に入りゆく (中山明)

 

これも、青春の終わりというか、両方なんつーか身も蓋もない言い方すると、就職決まったのかなーとか思いました(笑)。モラトリアムを終えて社会に出ていくっていうか。

 解説には

 

普通に考えても、未来は怖ろしいに決まっている。そのどこかに必ず<私>の死が埋まっているのだから。しかし、夢や可能性もまたそこにある。詩の根源にあるものはこの両義性だろう。

 

と書いていて、そっかぁと思いました(中身ねえ感想)。自分のテリトリーである「中」から「硝子戸」越しに垣間見た未来に入っていくってことなのかな。

 

 なんかこの章の解説読んでると自分の青春的な感受性の鈍化を意識せざるを得ないですね…。そもそも、この章、最初の『リバース・エッジ』のあとがきからの引用文についての感想の時点でピンと来ないですもん。。だって、

 

「ごらん、窓の外を。全てのことが起こりうるのを」

 

(『リバース・エッジ』(岡崎京子))について、

 

あまりに予言的なフレーズ

 

って書いてますけど、これって斎藤茂吉

 

円柱の下ゆく僧侶まだ若くこれより先きいろいろの事があるらむ (斎藤茂吉

 

と一体何が違うんだ??この先いろいろの事があるだろうし全てのことが起こりうるだろうよ。何の予言でもなくないか?事実じゃん。これは非常になんというか、レトロスペクティブな感想なような…。

 

 

溺れるための思い出を探してる窓の外乱反射する青 (yuifall)