講談社 穂村 弘著 「ぼくの短歌ノート」 感想の注意書きです。
素直な歌
以前に「天然的傑作」という章があり、後から「身も蓋もない歌」という章もあるのですが、これも「そのまんま」系統のやつです。
奥村晃作はすごく有名な歌人ですし、『短歌タイムカプセル』でも掲載されてましたが、改めて読むとやっぱりめちゃくちゃ面白い!
転倒の瞬間ダメかと思ったが打つべき箇所を打って立ち上がる (奥村晃作)
「東京の積雪ニ十センチ」といふけれど東京のどこがニ十センチか (奥村晃作)
ってあって、声に出して読むと面白すぎて読めないレベルです。
というかこの東京の積雪の歌、すっごく昔に何かで見た覚えあるんだよな…。新聞?それとも国語の試験問題か何かかなぁ?その時は、実は全く意味が分からなかったので記憶に残ってたんですよね。今思えば、超素直に読めばよくて、いったい東京のどこの積雪がニ十センチなんだよ、っていう意味の歌だと思うのですが、当時は「東京=ニ十センチ、なわけないだろ」っていう風に読んでて(笑)、え、どういう意味なの、って、全然意味わかんなかった。
永井祐も相変わらず好きで、
月を見つけて月いいよねと君が言う ぼくはこっちだからじゃあまたね (永井祐)
が紹介されているのですが、解説を読んでどきっとした。
なにやら底が抜けたような素直さにみえる。これらの歌から読み取れるメンタリティは「昔の若者」とはかなりちがっていると思う。
ってあって、確かに、全共闘時代とか生き抜いてきた世代やバブル世代と、ロスジェネ以降世代ではメンタリティがだいぶ違うよな、そういう素直さだよな、と感じました。
そこでまた、
また一見単純なようでいて(中略)通常の一字空けではなく二字空けになっていたりするところに作者なりの配慮がみられる。
と考察されており、そうなのかぁと感じ入りました。その微妙なねじくれ方も世代感あるよな。
はやぶさとこまちは連結する時にがくんと揺れる へんな感じだ (yuifall)
待合で毎回同じ人を見る多分向こうもそう思ってる (yuifall)