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ぼくの短歌ノート-「意味とリズム その1」 感想

講談社 穂村 弘著 「ぼくの短歌ノート」 感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

意味とリズム その1

 

 この章は短歌が一首しか引用されていないのですが面白いです。

 

草つぱらに宮殿のごときが出現しそれがなにかといへばトイレ (小池光)

 

 この歌面白いな!意味も面白いしリズムも面白いですね。そして解説も面白い。以下引用ですが、

 

草はらに城のごときが出現しそれがなにかとおもへばトイレ (定型化の改作例)

 

 内容的には大差ないにも拘わらず、一読して原作の方に奇妙な力が宿っていることがわかる。

 

とあって、確かに定型にすると面白さがちょっと減るなあと思いました。そして解説の最後に、

 

作者は「草つぱら」に「宮殿」のような「トイレ」を平気で建ててしまうこの国のあり方を、言葉ではなく、一音分の言葉の欠落によって強く批判している。

 

とあって、読みが深い!と圧倒されました。この国のあり方かよ!そこまで言っちゃう!確かに、草つぱらに宮殿みたいなトイレが突然ある違和感ってこの字足らずがあるから生きてくる感じするし、「なんじゃこりゃ」感がより強いですよね。おもしろいなぁ。

 

 まーでも個人的には草つぱらでも素敵なトイレがある国の方が私は好きですね(笑)。宮殿はちょっとシュールすぎる感はありますが、ないよりマシ!昔はさー、どんなとこでもサバイバルできる人がかっこいいしそうなりたいって思ってたけど(バックパッカーみたいな)、今はそんな必要ないな、人には人の生きざまがあるな、って思います。てかムリだし、そういうサバイバル…。本題とは全然関係ないですが…。

 

 しかし「字足らず」テクニックは初心者にはちょっとハイレベルすぎますね。。「字あまり」はよくなっちゃうんだけど…。初心者はやっぱりまず定型に収めるところからかなぁと思ったり。。とか言っといて字余り短歌載せる。

 

 

携帯の着信音はベルトサインだから行けるのはこの中だけ (yuifall)