講談社 穂村 弘著 「ぼくの短歌ノート」 感想の注意書きです。
賞味期限の歌
このテーマ面白い!
賞味期限切れは任せろ俺達は何でも食って生きて来たんだ (新垣一雄)
ってあって、漢気!って思いました(笑)。腐った肉とかはさすがに無理やな…って思うヘタレな私ですが、戦前戦中生まれの方なのかしら…。でも、「消費期限」じゃなく「賞味期限」ですよね。数年前に期限切れた缶詰とか食べるな。気にしない系だな、私も。てか今日食べたマスタードの賞味期限2016年だったわ。余裕ですわ。期限が昭和だったらさすがに食べないと思うけど…。
その一方で
四百円の焼鮭弁当この賞味期限の内に死ぬんだ父は (藤島秀憲)
これは…。苦しい…。情景が目に浮かぶよ。。焼鮭弁当の賞味期限って当日か、長くてもせいぜい次の日までくらいでしょ?ってことはもう父は危篤状態で、血圧心拍が落ちて来てて、この人はもうずっと病室に詰めてるからお母さんとか奥さんとかが「見てるからちょっと休みなさい」とか言って、「じゃあ…」って病院の売店に行って、そこで弁当を見ながら…って光景じゃないですか?ああー、そんな風に考えたことなかったな、賞味期限のこと。
10分後賞味期限が切れる肉冷凍庫に入れて髪を乾かす (田中有芽子)
これは、解説には「妙にはらはらする」と書いてありましたが、「冷凍庫」だし全然セーフでしょ。ぶっちゃけ、賞味期限が切れてから冷凍庫に移してしかもそれを数か月後に焼いて食べたりしてるずぼらな私にしてみたら「細かい人やな」って思ったくらいでしたけど…。賞味期限の捉え方って人によって大きく違うことが再認識させられますね(笑)。でも私だったら絶対にこういう歌は作れないので、そういう視点もあるんだなぁ、って感心しました。
非常用リュックの中身ことごとく賞味期限切れ(数年前に) (yuifall)
BLの濡れ場とばして読んでいるミネストローネは四日目のやつ (yuifall)