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桜前線開架宣言-望月裕二郎 感想2

左右社 出版 山田航編著 「桜前線開架宣言 Born after 1970 現代短歌日本代表」 感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

 望月裕二郎②

 

 この人の歌にはそういう落語調でないものもあって、解説では「ロック」と書かれてます。それ系の歌だと、

 

数多ある競合会社に打ち勝った枕で今日も眠らんとする

 

とかめちゃ好き。競合会社に勝つってアドレナリンなイメージと、枕で眠るっていうノルアドレナリンなイメージが癒合してて面白いです。こういうハイブリッド的な眼差しって憧れるなー。自分の場合どうしても連想されるイメージが固定化されてるもん。。こういう作品と出会うとわくわくします。

 

「一体誰がファックスの音考えた」「自然にできた」「そんなはずない」

 

とか、好きすぎる。確かにあの音の不条理さ、すごいですよね。なぜか皆あれに慣らされているという…。それおかしいやろ、って問題提起がたまらない。あとは

 

だんだんと冗長になるセックスの明日何時に起きるんだっけ

 

も好き。だんだん我に返ってきて、あー、早く終わんねーかなー、なんかいけそうにねーしやめどき分かんねーってなってるこの状況の無駄なリアリティが笑えます。その全く詩的でない状況を歌にする発想もいいなって思います。そしてリアルなのに生々しくないな…。笑えるな。さらに相手との親密ささえ感じさせ、なんとなく心温まるような、いやその一方でそこまで緊張感なくなっちゃって大丈夫か、長すぎた春になんねーか、みたいな余計なお世話的感情までが沸き上がってきますね(笑)。

 

 

頻度不明の副作用として「オルガスムス異常」があって確かにそんな気もする (yuifall)

 

 

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