左右社 出版 山田航編著 「桜前線開架宣言 Born after 1970 現代短歌日本代表」 感想の注意書きです。
望月裕二郎②
この人の歌にはそういう落語調でないものもあって、解説では「ロック」と書かれてます。それ系の歌だと、
数多ある競合会社に打ち勝った枕で今日も眠らんとする
とかめちゃ好き。競合会社に勝つってアドレナリンなイメージと、枕で眠るっていうノルアドレナリンなイメージが癒合してて面白いです。こういうハイブリッド的な眼差しって憧れるなー。自分の場合どうしても連想されるイメージが固定化されてるもん。。こういう作品と出会うとわくわくします。
「一体誰がファックスの音考えた」「自然にできた」「そんなはずない」
とか、好きすぎる。確かにあの音の不条理さ、すごいですよね。なぜか皆あれに慣らされているという…。それおかしいやろ、って問題提起がたまらない。あとは
だんだんと冗長になるセックスの明日何時に起きるんだっけ
も好き。だんだん我に返ってきて、あー、早く終わんねーかなー、なんかいけそうにねーしやめどき分かんねーってなってるこの状況の無駄なリアリティが笑えます。その全く詩的でない状況を歌にする発想もいいなって思います。そしてリアルなのに生々しくないな…。笑えるな。さらに相手との親密ささえ感じさせ、なんとなく心温まるような、いやその一方でそこまで緊張感なくなっちゃって大丈夫か、長すぎた春になんねーか、みたいな余計なお世話的感情までが沸き上がってきますね(笑)。
頻度不明の副作用として「オルガスムス異常」があって確かにそんな気もする (yuifall)