左右社 出版 山田航編著 「桜前線開架宣言 Born after 1970 現代短歌日本代表」 感想の注意書きです。
堂園昌彦②
季節のモチーフが目立っていて確かに「日本的」なんですね。
残光のひかり豊かに繰り返すあなたとの紫陽花の毎日を
みたいな感じで。他にも「秋刀魚」「淡雪」「冬蜂」「桜」「いちご」「シロツメクサ」などが出てきて、なんというか和モダンみたいな感じですかね?
また、上の歌もそうですけど、
まぶたからまぶたへ渡す冬の日の凍り付いてるすてきな光
春の船、それからひかり溜め込んでゆっくり出航する夏の船
のように、「ひかり」という言葉がよく使われるせいか、美しくてどこか現実味がないのに明るい感じがします。中原中也の詩を思い出すな。
『盲目の秋Ⅰ』の、
それはしづかで、きらびやかで、なみなみと湛へ、
去りゆく女が最後にくれる笑ひ(ゑまひ)のやうに
厳かで、ゆたかで、それでゐて侘しく
異様で、温かで、きらめいて胸に残る……
あゝ、胸に残る……
を思い出した。この詩すごく好きだ…。美しすぎる。
霜ばしら溶かしたきみの唇のうすい甘さがほしいんだ今 (yuifall)