左右社 出版 山田航編著 「桜前線開架宣言 Born after 1970 現代短歌日本代表」 感想の注意書きです。
山崎聡子
「短歌タイムカプセル」の時に、「死を連想させる作品が多い」と書いたのですが、解説に歌のコンセプトが書かれていました。「卵とカルピス」という連作は小学校の時の用務員さんとの交流を描いた作品、「グロリア」は太平洋戦争末期に日本軍が開発した「風船爆弾」という兵器がモチーフになっており、祖母の戦争体験が背景にあるのではないか、とのことです。それで、何かちょっと暗いような小学校時代の思い出みたいな作品や、死を連想させる歌が多いのかな。
生き残りの子ウサギ両手でつかんでは「これが心臓の手ざわり」という
「秘密ね」と耳打ちされて渡された卵がぐらぐら揺れるポケット
なんて、飼育小屋をまざまざと思い起させるよね…。
この人の歌の臨場感はちょっと怖いくらいです。明るくなくて、曇りの日の灰色の飼育小屋思い出した。ウサギを抱っこすると熱くてどきどきしてて、確かに「心臓の手ざわり」って感じだったし、チャボが卵産むと当番の時持って帰れたな…。全員にいきわたるわけじゃないから「秘密ね」なんだろうな。卵を潰さないように家に持って帰るあの感じ。ちょっと生暖かくて、スーパーで売ってる卵と違うものみたいに感じたな。あっためたらひよこが出てくるのかな、なんて考えながらさ…。
なんか小学校の頃のことめちゃくちゃ思い出しました。そういえば昔アメリカシロヒトリを殺すために空中から殺虫剤散布してたことがあったような…とか思ってググったら、「アメリカシロヒトリの駆除について考える」ってサイトを発見してしまった。
http://www.nakaco.com/onbu/ameshiro/ameshiro.html
平成11年の金沢か…。私の妄想の産物ではなく、やっぱり現実だったよね…。
しかし、この二首だけでめっちゃトランスした。短歌ってすごいっす。短歌というか、この人の歌すごいっす。
ザリガニもメダカも甘い餌として薄紅色の合歓咲き誇る (yuifall)