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S1x18;LARYNGITIS 感想

glee感想については注意書きを必ずご覧ください。

yuifall.hatenablog.com

 1999年の映画、Boys Don't Cryのネタバレありますので注意してください。

 

 このエピソードではカートにめっちゃ泣いた。どうしてもパパの理想の息子になれない自分と、理想の息子(フィン)を手に入れて楽しそうな父親。パパに悪気ないのは分かるよ。どうせカートはスポーツの試合なんか連れて行ったって楽しくないだろうし、愛するキャロルの息子が楽しんでくれるなら一石二鳥だな、その間カートも好きなことすればいいって単純に考えてるんだよね。しかもそもそもがカートがフィンを好きで二人を引き合わせたんだしさー。

 

 S1のカートはフィンへのアプローチがちょっと見てらんないなって思ってて、別に男だからっていう意味じゃなく、全然脈なしなのに猛アピールだし、レイチェルに変な恰好させたりとか両親を結婚させて一緒に暮らしたいみたいなアプローチの仕方がちょっと…引くわ…と思ってたのですが、パパを巡ってフィンへの恋心が沈静化していく流れが何とも切なかったです。。カートは多分もともとフィンとどうにかなれるとは思ってないんじゃないのかな。フィンはストレートで人気者で手の届かない相手だから。ただどうしても近づきたくて意味不明なアピールしちゃってさー。フィンはゲイに好かれるってガチで嫌がってるし…。この辺の感じも、どっちの気持ちも分かるから切ないな。。

 

 フィンはこの後どんどん色んな差別とか偏見に対してフラットになっていくけど、S1ではまだ全然受け入れられてない段階で、その上若干気持ち悪いアプローチされて引いてるし、カートといると友達にもからかわれて本当に嫌だと思ってる。でも完全に拒絶するわけじゃなく、友人として受け入れたい気持ちもある。この辺がフィンのいいところだよなぁ。父親問題についてもバートのことを受け入れて、一緒に男同士の時間を過ごそうとしてる。多分フィンはバートと同じくらい楽しんでるんだと思う。バートは(男らしい)息子がほしかったし、フィンは父親が欲しかったから。

 カートが女の子だったらうまくいったのかな。少なくとも一緒の部屋にはならなかっただろう(笑)。でもカートは男の子で、ずっとパパに受け入れられたいと思ってた。パパは受け入れてるんだけど、それに気づけないんだよね。男同士の話なんか好きじゃないくせにしてほしいと思ってるし、スポーツの試合だって興味ないのに誘われたい。パパを愛してるし、誰にも取られたくない。それで一生懸命男の子の恰好して(まあ今までも男の恰好でしたが…)、マッチョな歌うたって、アプローチしてきたブリトニーといちゃついたりしてさ。

 このカートめっちゃかわいいけど、やっぱり違和感がすごいもん。なんというか…、やっぱ顔が繊細すぎるのかな。。あの服装してても全然男らしく見えないっていうか…。結構背も高くてすらっとしてるのになんでだろう。

 クリス・コルファーは「自分はファッションなんか全然興味ないし、Tシャツとジーンズのただの男の子だ」みたいに言ってて、もしかしたらプライベートではこんな感じ?とか思ったけど(どっちかっていうとBorn This Wayの時のTシャツみたいな感じかな?)、なぜこんなに似合わない気がするんだろうか。あのキャップの下の顔がかわいすぎてさー、逆にマニッシュな服装の女の子みたいになっちゃってんだよなー。ブリトニーといちゃついてるシーンはマジで百合っぽい。しかもブリが攻な(笑)。実際下半身に手を伸ばして払いのけられてるし(笑)。

 キスしながら「男の子のくちびるってどんな感じ?」って、切ないなー。ブリトニーの答え聞いてなんて思ったんだろう…あんま参考にならない感じだったよね(笑)。カートはロマンチストだけどブリトニーは即物的だし。多分カートは初恋はレモン味♡みたいな答え期待してたんだろうなー。

 2人の噛み合わなさが面白かったですが、全体的に痛々しくて見ていてつらかった。自分を偽るって、端からみるとこんなに痛々しいのかと思ってしまいました。Pink House歌ってる時のみんなの顔もめっちゃ唖然としてたし。ブリトニーとフィンくらいかな、気付いてない風なの。

 

 ってか自分の中であの服装のカートを見てるの何だか本当に辛くて、理由が分からなくてあれこれ考えてたんですが、何となく顔とか服装の感じがBoys Don't Cryのブランドンに似てるからなんじゃないかというような気がしてます。心は男の子で体は女の子で、男らしくなりたくて必死にあがいてて女の子と恋をするけど…っていう。カートは体が男の子だし恋をする相手も男の子だから全然違うんだけど、繊細な顔立ちで男らしい恰好して、(根底に流れる感情は真逆だけど)女の子をモノにして男友達とバカやったら一人前の男になれるみたいにあがいてるとこがさ、何となく重なってすごく苦しい気持ちになってしまった。。

 

 最後の「Rose's Turn」で超泣きました。受け入れられたい、愛されたい、パパの理想の息子になりたい。こんなに頑張ってるのに、フィンにはなれない。どうして自分はこうなんだろう。他の誰かになれないんだろう。ゲイになりたくてなったんじゃない。フィンになってパパに愛されたい。そんな思いが迸ってて、本当に切なくて。

 自分を知っててそれに誇りを持ってるってカートは言ってたけど、やっぱり常に100%その思いを持ち続けられるわけじゃないと思うんです。自分を受け入れられない時、愛せない時、自分以外の誰かになりたいとき、あるよね。特に愛する人が自分を愛していないと思う時。自分は変われないのに、そこを受け入れられていないと思う時。カートはフィンに恋してたんじゃなく、フィンになりたかったんだと私は思うんです。パパの理想の息子はこんな男だって知ってたから。

 そこでパパがヒーローみたいに現れてさ、お前の全てを愛してるって言ってくれるの。泣いた…。カートは全シーズン通して失敗したりとか傷ついたりすること多いキャラだなと思うけど、最終的にはパパと夫っていう2人の素敵な男に心の底から愛されてて幸せでもあるよね。2人とも、惜しみなく愛の言葉をくれるもんね。このいかにもマッチョな感じの父親が、ゲイの息子を100%受け入れて愛していく姿にはいつも本当に胸を打たれます。

 

 あとはレイチェルとシェーンのエピソードがな…。「(動けるようになったとき)真っ先にプールに飛び込んだよ」ってあたり、本当につらかった。なんて声かけていいか分からないよね。。レイチェルも、自分のアイデンティティの全てを失いそうで、それを失った人を目の当たりにして…。最後一緒に歌ってよかった。この後もレイチェルとフィンは会いに行ってたのかな、って考えて、レイチェルがNYに行っちゃってフィンが亡くなったことまで考えて苦しくなった。

 

 胸が痛まず普通に楽しかったのはメルセデス関係のエピソードです。「あんたはtop40、あたしはR&B」ってかっこいいし、パックの「The Lady Is a Tramp」もかっこいいし、メルセデスサンタナの「The Boy Is Mine」も大好き!そして結局メルセデスが「人をゴミ箱に投げ込むやつなんて嫌い」ってパックを振ったのも、チア部を「私らしくない」ってやめたのも好きだわ。メルセデスって一番まともでかっこいいよな!

 しかしさー、パックってユダヤ人やろ…。よくあんな、人並ばせて、強制収容所みたいなことできるよな…。ユダヤ人だからってみんな聖人じゃないでしょうけど、あの行列、ほんとに見ていて嫌だった。。

 

yuifall.hatenablog.com

 

 カートとパパの会話直訳↓

That was some serious singing, kid.

(深刻な歌だったな)

That was "Rose's Turn." I could get into that, maybe. What happened to the hoagies?

(あれは「Rose's Turn」だった。多分僕は入り込んでたよ。hoagiesはどうだった?)

Ah, blew it off.You know Too much cholesterol.

(ああ、やめたよ。コレステロールが多すぎる)

I bet Finn was disappointed.

(フィンはがっかりしたんじゃないかな)

He understood, uh once I told him how bent out of shape I thought you were.

(彼は分かってくれたよ、お前が怒ってるって言ったらさ)

Me? I'm fine.

(僕?僕は大丈夫だ)

Kurt, I'm dumb, but I'm not stupid.

(カート、俺は物知らずだが馬鹿じゃない)

And I have no idea what that song was about but "fine" don't sing like you just sung.

(そして俺はその歌については何も知らないが、お前の歌い方は「大丈夫」って風じゃなかった)

Look.Maybe I got carried away doing stuff with Finn but, you know, I told you this thing with you was going to be hard.

(なあ、多分おれはフィンと色々することができて調子に乗ってたよ、でも、これをお前とするのは楽じゃないだろう)

Thing with me. You mean being gay.

(僕とね。僕がゲイだから)

Yeah, being gay.

(ああ、そうだ)

Look, I will fight to the death for your right to love whoever you want but when you were a little baby in my arms did I dream about taking you to baseball games and talking about girls? Yeah, I did.

(なあ、お前が自分の好きなやつを愛する権利のためなら俺は死ぬ気で戦うが、でも、お前が俺の腕の中にいた小さな赤ん坊だった頃、俺がお前と野球の試合や女について話すことを夢見なかったと思うか?俺は夢見たさ)

A lot of fathers do.

(たくさんの父親がするように)

I had no idea how disappointing I was.

(僕はパパを失望させたよ)

Hey, come on. Now, stop it right now. I'm talking straight to you.

(おい、待てよ。そうじゃないだろ。俺はお前に正直に話してる)

Don't go playing the victim. You know that's not what I mean.

(被害者ぶるのはやめろ。お前は俺が何を言いたいか分かってるはずだ)

I know.I'm sorry.

(分かってるよ。ごめん)

I know you're working hard on yourself to make all this okay.

(僕はこのことをよくするのにパパが努力してるのを分かってる)

Just seeing you the way you are with Finn how easy it is breaks my heart.

(でもパパがフィンと一緒にいるのを見ただけで、僕の心は簡単に壊れちゃうんだ)

Is that why you were pretending to date that daffy cheerleader? And dressing differently, and singing Mellencamp?

(だからお前は馬鹿なチアリーダーとデートするふりをしたり、いつもと違う服装をしたり、Mellencampを歌ったりしたのか?)

I just want you to know that I'm going to work as hard as you to make this okay.

(僕はただ、僕もパパと同じくらい努力してることを分かってほしかっただけだよ)

You don't have to work at anything, Kurt.

(お前は何も変えなくていい、カート)

Your job is to be yourself and my job is to love you no matter what.

(お前の仕事は自分らしくいることで、俺の仕事は何があろうとお前を愛することだ)

Okay? That and a majority ownership in a tire store That's all we got.

(いいか?そのこととあのタイヤの店の所有権だけが俺たちの持ち物だ)

Okay? We stick to that, we're going to be great.

(いいか?それさえ忘れなければ、きっとよくなる)

I missed you, Dad.

(パパ、寂しかった)

Oh, come here.

(おいで)

I love you.

(愛してるよ)

Love you too.

(俺もだ)