邦楽歌詞感想の注意書きです。
汚れた脚 The Silence of Innocence (中谷美紀) 1996年
どんな未来もまだ始まらない
特別なひと夏 優しさで輝いてる
いつかどこかで君を見かけても
恥じらわず立ち止まる汚れた脚
真夏の最後の風のひと吹きで
散ってゆく幻がなんて綺麗
この歌詞、女の子同士の恋を連想させます。最初の「白い夏服着た笑顔たちの 透明な哀しみが並ぶ写真」は、男女混合ではなく女の子たちだけの制服の写真を思わせるし、他にも
ねえ誰のこと愛してたの 密やかに君は
二度とあんなに誰かを切なく求めることもない 街角から訊いてみる
あれが最後の本当の恋と 消えてゆく内気さの欠片で知る
という歌詞もなんとなくですけど“あの時にしかなかったピュアな恋”を思わせます。
最近三浦しをんの『ののはな通信』という小説を読んでこの歌を連想しました。高校時代に愛し合った「のの」と「はな」が、恋人としてはすぐに別れてしまったけどお互いを運命の愛と思いながら別々の人生を歩む話です。あとは小池真理子の『無伴奏』かな。
こんなに好きだったのに―― あなたは誰を愛してるの?
という煽りで映画化もされてました。
愛する人が異性であれ同性であれ、愛することやセックスすることだけなら人生から切り離せても、その人を愛する自分として生きることはアイデンティティから切り離すことができない。この歌は、愛する人を愛して生きる人生を選べなかった人の歌なんだと感じながら聞いてました。
恋はあの夏の幻 分かってたどの未来にも君はいないと (yuifall)