邦楽歌詞感想の注意書きです。
東京近郊路線図 (泉まくら) 2013年
作詞:泉まくら、作曲:Sugar's Campaign (Seiho × Avec Avec)
東京近郊路線図はほどけない絶対に
飛び込むなら夜へよっぽど明るい夜へ
東京近郊路線図に期待はするな絶対に
どこにも連れてっちゃくれない
飛び込むなら夜へ
実際の「東京近郊路線図」はこんな感じです。
ほんとどこかに連れてってくれそうな感じするけど、確かにどこにも連れてっちゃくれないんだよなぁ。今4年間同じところに住んでますが、いつも行く場所にしか行かないもんな…。どこに住んでたって同じだろうなと思う。東京にいようがド田舎にいようが、同じ場所を往復するしかしない人はしないし、色んなとこに行く人は行くんだろう。「東京近郊路線図」がどこかに連れて行ってくれるわけじゃなくて、自分でどこか行くしかないんですよね。
この曲はほんとに「夢を抱いて上京してきた若者」感があり好きです。人ごみで肩がぶつかっても都会っぽく振舞うために謝らなくて、それがいい感じに許されてる。なんとなく寂しいんだけど眠らずに明るい夜に飛び込んで行けば人がいる。でも逆に、これほど人がいてもそうやって飛び込んで行かなければ何も期待できないしどこへも行けないんだと。
最近シャーウッド・アンダーソンの『ワインズバーグ、オハイオ』読んでいて、「田舎の閉塞感」というものを考えたんですが、同時に朝井リョウ『何者』で描かれてる「都会の閉塞感」も似てるよなと思いました。この歌からも一種の「都会の閉塞感」を感じます。『3号線』の感想にも書いたのですが、電車の窓やマンションの窓や車を見るとこれ全部に人がいて、それぞれの人生があるのかと思う。でもこのほとんど全ての人には会えないし会話せずに一生を終わるんだろうなとも思う。「東京近郊路線図に期待はするな絶対に どこにも連れてっちゃくれない」って本当だよなと思います。誰かと出会いたかったら、どこかに行きたかったら、自分で「よっぽど明るい夜」「人の生きる夜」に飛び込んでいかなくてはいけないんですよね。せっかく「人が生きる明るい夜」がそこにあるんだから。
でもどこにも行きたくないこともあるよな、とも思う。
ほどけない東京近郊路線図の明るい夜で待ってるよ 嘘 (yuifall)