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短歌と洋楽和訳メインのブログで、海外ドラマ感想もあります

05x13 - Return 0 感想2

 POI感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

 前回はこちら

yuifall.hatenablog.com

 そしてラストシーンへ…。フィンチがついに、自分がいるビルはどこかおかしいということに気づきます。

 

Wait, are you sure this is the right place?

待て、本当にここは正しい場所なのか?

This is where you're supposed to be.

そう、あなたがいるべき場所はここよ

No, none of these dishes are capable of transmitting to a Molniya orbit. This is the wrong building.

いや、違う。ここにあるどのパラボラアンテナの反射板もモルニヤ軌道へ送信することはできない。これは違うビルだ

Right building, Finch. For you.

正しいビルだ、フィンチ。あんたには

John. What are you doing?

ジョン。君は何をしている?

Me and the Machine have had a long-standing arrangement. A deal.

俺とマシンはずっと昔に協定を結んだ。約束だ。

Told you. Pay you back all at once.

言っただろ。借りはまとめて返すと

That's the way I like it.

それが俺の好きなやり方だ

No, I told you. It's supposed to be me alone.

ダメだ、君に言っただろう。それは私が一人でするべきことだ

Sorry, Harry. Deal's a deal.

ごめんなさい、ハリー。約束は約束よ

You know as well as I do that he wasn't gonna let you die.

彼があなたを死なせたりしないって、私と同じくらいあなたも知っているでしょう

Should get moving, Harold.

行った方がいい、ハロルド

It's gonna get a little exciting up here.

こはちょっと騒がしくなる

All right, you've done it. Now let the upload take care of itself. Get out of there, John.

大丈夫だ、もう終わった。後は自動的にアップロードされる。そこから出るんだ、ジョン

Behind you, John. Now. Two more.

あなたの後ろよ、ジョン。今。さらに2人

More on the way.

もっと来るわ

Mr. Reese. John.

リース君。ジョン

This wasn't supposed to be the way.

こんなはずではなかった

Sure it is. This is what I do, remember?

もちろんこうなるべきだった。それが俺の仕事だ。忘れたか?

When you came to me, you gave me a job.

あんたが俺を拾って、仕事をくれた

A purpose.

生きる目的を

At first, well, I had been trying to save the world for so long, I... saving one life at a time seemed a bit anticlimactic.

最初は、そうだな、俺は長いこと世界を救おうとしていたから、一度に一人の命を救うことは地味に思えた

But then I realized... sometimes one life...

だが、じきに気付いた。時々は、一人の命こそが…

If it's the right life...

もしそれが正しい命なら…

That's enough.

それで十分なんだ

Good-bye, Harold.

じゃあな、ハロルド

I'm sorry. My core systems are failing. I'm almost gone.

ごめんなさい。私のコアシステムは壊れ始めてる。もうすぐ死ぬわ

I'll stay with John, help him as long as I can. Only 30 seconds left.

私はジョンのそばにいて、できる限り彼を助ける。30秒しか残されていない

No. Please.

やめてくれ。お願いだ

You need to go, Harry. You're kind of screwing up the big guy's plan if you bleed out up here.

あなたは行かなくちゃ、ハリー。もしあなたがここで失血死したら、あの大きい男の計画は台無しよ

And Harry, I remembered.

それにハリー、思い出したの

 

Everyone dies alone.

誰もが一人で死ぬ

But if you mean something to someone, if you help someone or love someone, if even a single person remembers you...

だがその人が誰かに何か意味のあることを残せたなら、誰かを助けたり、誰かを愛したなら、そしてたった一人でもその人を覚えている人がいたなら…

Then maybe... you never really die at all.

その時は多分…その人は本当に死んだわけじゃないんだ

 

I know I've made some mistakes. Many mistakes.

間違いもあったわ。たくさん

But we helped some people. Didn't we?

でも、人を助けてきたでしょう?

Yes, we did.

ああ、そうだな

Good-bye, Harold.

さよなら、ハロルド

Good-bye.

さようなら

 

 リースの物語が鮮やかに描かれます。幼い頃にお父さんを失ったこと。お父さんは4人を助けて死んだ英雄だったこと。でも少年は父を失い、後に育ての母も失い、ひとりぼっちになる。英雄として死ぬなら愛する人はいないほうがいいと、取り残された側の人間として子供心に刻まれたんだろう。父と同じ軍人の道へ進むが、それは必ずしも望んだ道ではなかったことがS3E1で描かれます。その後愛する女性に巡り合うも、9.11を機に再度戦闘に身を投じる中で、愛する人はいない方がいいという思いから彼女と別れてしまう。リースが世界を救おうと奮闘している間、彼女は不本意な結婚をし、家庭内暴力にあってリースに助けを求めますが間に合わず亡くなってしまいます。自暴自棄になって自殺を試みるリース。フィンチはリースを救い、生きる目的を与えます。

 リースにとっては一般人を一人ずつ助ける仕事は最初は物足りなかった。でも、途中で気が付く。誰かにとってその「一人」こそが大切な人なのだということに。そして最後は、自分にとっての大切な「一人」を助けて命を落とします。

 

 マシンの言うことはこの状況に重なってきます。リースはフィンチの命を助け、彼を愛した。フィンチは一生リースを覚えているだろう。フィンチの心の中でリースはずっと生き続けるのだと。

 それから、マシンの言っていることはルートの言葉にも重なってくる。ルートは「マシンがいる限り誰も死なない」と言っていました。マシンがあらゆる人間の行動を見守り、誰もを愛し、あらゆる人間を記憶しているのだから、決して死ぬことはないのだ、という意味だったのだと。

 

 マシンは「彼があなたを死なせはしないってあなたも知っていたでしょ」と言います。フィンチは、リースに大切に思われていることを知ってたんですね。だからこそ金庫室に閉じ込めたんだ。この2人は全く言葉にはしてこなかったけど、お互いがお互いを大切に思っていることは分かっていたんだなと…。心臓に穴開くわほんと…。しんどい…。

 私はずっと、「なぜ英雄願望の元軍人のまま死なせたのか」と書いてきたけど、もしかしたらこれはリースにとっては英雄としての死ではなかったのかもしれない。英雄として死ぬために大切な人を手放したのが間違いだと気づいたから、自分のために最後は生きて死んだのかもしれない。世界を守る英雄としてではなく、たった一人の大切な人を守る一人の人間として死んだのかもしれない。ここで描写されているものとは正反対の受け止め方なのかもしれませんが、そんな風にも感じました。

 

 リースの最後の言葉、「Good-bye, Harold.」だった。。最初の言葉が「When you find that one person who connects you to the world, you become someone different.」だったこと思い出して…。泣けてくる。フィンチが屋上から立ち去ろうとするのを見て、リースは心底満足そうに微笑みます。マシンは衛星にアップロードされ、リースは工作員に四方から撃たれ倒れる…。防弾ベストとか着てないんか!!って思って見てしまいますいつも…。心の中に生存説がしぶとくあるからさぁ…。

 

 マシンもフィンチに「Good-bye, Harold.」と告げます。そしてフィンチがマシンに「Good bye」と言った時、マシンがあらかじめ設定していたプロトコルが起動し、地下鉄の公衆電話が鳴り出します。アナログテープが回り、「これを聞いているなら、あなたはひとりぼっち」というモノローグが始まります。

 後から見ると、これはテープを「再生」しているのではなく、「録音」しているシーンに思えます。フィンチの言葉をきっかけにシャットダウンのプロトコルが始まり、マシンは次に再起動されることを期待してウイルスの影響を受けないアナログテープで自分にメッセージを残している。マシンが、自分は何の目的で作られたのか、何をしてきたのか、そして何を学んだのかを未来の自分に残そうとしているように思える。

 

 Wikiを見ると、このアナログテープによる演出は、Pilotでフィンチがリースを勧誘した時に使ったアナログテープでの演出に重ね合わされているのだそうです。リースが仕事を始めるきっかけになった一本の録音テープ。あのシーンでフィンチが再生したのは、なぜかテープレコーダーでした。

 今思えばこれはどうしてだったのだろう。ラストシーンでは、コンピューターウイルスが撒き散らかされた世界でマシンが非デジタルデバイスに頼る理由がはっきりしているのですが、最初フィンチがテープレコーダーを使った意図はよく分からない。最初からこの終わり方を見越していたんだろうか。

 ASIの話だったのに、テープレコーダーで始まってテープレコーダーで終わる演出だったんだ、ということに初めて気づいてかなり驚きました。そしてまた、マシンの再起動はこのテープレコーダーから始まるんですよね。

 

 ついにリースが倒れ、ショウとファスコが見上げる中、ミサイルが飛んでくる。そしてビルに衝突し…。

 衛星で送られたマシンとサマリタンは直接対決になります。これについてははっきりと描写されませんが、それでいいと思う。そもそもASI同士がどうやって戦うのかよく分からんし(チェス?)、ここまで見れば、S5E1の冒頭の声がマシンのものだったこと、マシンが再起動したことが分かるようになっているから、マシンが勝つ結果になることはすでに分かっているし…。

 

 フィンチは100億回以上シミュレーションをしたけど一度も勝てなかった、と言っていましたが、私は正直あのシミュレーションの意味は全然分からなかった。もしマシンとサマリタンがそれぞれ人間を戦わせ、どちらかの資産が全滅するor本体が破壊される まで戦う条件だったとしたら、サマリタンが有利だと思う。(シミュレーション時点での)マシンは倫理的拘束がかなり強い上に、ほとんど相互通信ができなかったから。資産も圧倒的に少ないし。

 でもそれは、人間と人間を戦わせた場合です。マシンとサマリタンが直接戦うのだとしたら、状況は全然違う。人間が死ぬとか考えなくていいから全く倫理的拘束はないし、システムがオープンであるかどうかも関係ない。正直何をどうやって戦うのかは全く私には分かりませんが、それでも、今までの状況を見ると、マシンはサマリタンの思考も先読みできるのは明らかなので、まず間違いなくマシンが勝つだろう。

 なのでこの結果が都合のいい展開だとは思いません。むしろ必然じゃないかな。「人間を使ってサマリタンをここまで追い詰める」ことが今までできなかっただけで、フィンチのリミッターが解除された今、フィンチが設定した条件でのシミュレーションに全く意味がないことは明白です。それに、S4S5のサマリタンのやり方が生ぬるかった理由をグリアは「サマリタンはマシンが消えることを望んでいなかった」とか言ってて、明らかにサマリタンの弱みはマシンそのものであることが分かる。一方マシンは「サマリタンを徹底的に叩き潰す」と言っているのだから、負けるはずがないですよね。

 

 人がどんな人間だったのかは最後の瞬間に分かる、とマシンは言いました。リースは最後「命を守る人」になって亡くなったということなんだろうな。フィンチがリースをそう変えたからです。出会う前、ブルックリンブリッジで自殺していたら、工作員として闇を歩き、元恋人の夫を殺した男として死を迎えていただろう。POIはリースの再生と救済の物語だった、と思います。

 そして、リースはフィンチをテロリストとして死なせたくなかったのかもしれないとも思った。最後の瞬間が人を決めるなら、彼にとっては今じゃないと。彼の高潔な人格にふさわしい死が未来のどこかにあるはずだと、そう思ったのかもしれない。だからフィンチはここでは死なない運命だったのかもしれない。

 

 最初に、「いずれ二人とも死ぬだろう」とフィンチは言いました。日本語訳が「いずれ共に死ぬだろう」だったこともあり、おそらく最後は二人とも死んで終わると思っていた人も多かったんじゃないのかなと勝手に思っています。でもフィンチは死ななかった。

 マシンの言葉を受け止めれば、フィンチの中でリースは生きているから、いつかフィンチが死ぬ時に本当に「共に死ぬ」ことになるのかもしれない。でも、そういうんじゃなく、これはリースの救済のストーリーだったからだろうと受け止めています。世界と自分を結び付けてくれるたった一人の大切な人を失い、人殺しとなって彷徨い自殺を考えていた彼が、一人の人間と出会い、生きる目的をもらい、人を助け、最後は世界と自分を結び付けてくれるたった一人の大切な人を守って死んだ。そのためにフィンチは生かされたのだろう。

 

 S3E13でネイサンの件に関してはフィンチの救済が描かれたと思ったけど、ここで彼は更に新たな十字架を背負うことになります。「正義は重要だ、罪は裁かれるべきだ」と語っていたフィンチには、多分死ぬことすら許されないんだと感じた。ネイサン、(ディリンジャーも?)、イライアス、ルート、リースが彼のために死にました。そして世界中にサイバーテロを引き起こしたのだから、どれほどの人がその影響を受けたのかは計り知れない。消防、救急、警察、病院のシステムがダウンしたとしたら、どれだけの人が死んだだろう。

 フィンチの負う罪は、一人の人間に背負いきれるものではないと思う。でもフィンチはこうなることが分かってたんだよね。だからマシンを決して自分では使わず閉じ込めてきたんだよね。マシンがない世界も、ある世界も、彼にとっては安息の地ではなかった。

 

 正直言ってフィンチがどうすれば救われるのか、全然分かりません。なのでなぜ、最後グレースに会いに行く終わり方だったんだろうと思う。

 ストーリーの展開を素直に読めば、フィンチはグレースと平穏に暮らしたエンドなんだと思うんですよね。S4でリースに「普通の生活」をしきりに勧め、リースに恋人ができたことを喜んでいたフィンチ。S5ではグレースの面影がたびたび現れ、S1から変わらない彼女への思慕が描写されます。繰り返される「あなたにどんな秘密があってもいい、絶対に離れてはいかない」という彼女の言葉は、どんなことがあってもフィンチを待っている女性がいることを強調している。最後フィンチはマシンに「Good bye」と別れを告げました。マシンや「番号」の仕事とは決別し、新たな人生を歩むことが示唆される。命を賭けて守ってくれたリースの気持ちを受け止めるなら、もう危険な仕事からは離れ平穏な生活を送るべきだろうとも思う。

 でも、心から愛した人と何事もなかったかのように平穏な生活なんて送れるのか、と思ってしまいます。無理じゃないの?分からない。「ハーブでもなんでも育てておとなしく暮らせって言うんでしょ」と言ったショウにマシンが「違う」と答えた通り、平穏な人生がそぐわない人もいる。フィンチは10代半ばからおよそ40年間も逃げ回って暮らした知能犯罪者で、「仕事」では何件もの殺人に関与し、最後はテロリストになった。平穏な人生とかあり得る??

 

 これはかなり納得いかなくて、フィンチがグレースに会いに行ったシーンの描写はいらなかったと思ってるのですが…。別に、グレースと一緒に暮らしていると思う人は自由にそう想像すればいいし、そうでない想像もあってしかるべきでは?

 ただ、エマーソンさんの演技が、結末をリドルストーリーにしてくれていると感じました。フィンチのあの表情。自分からはグレースに歩み寄っていけず、立ち尽くす仕草。これから2人で暮らしていくのだとも感じさせるし、一方で、彼女にとうとう全ての真実を打ち明けて去っていくのだとも思わせます。せめて愛する人に誠実でいるため、自分の言葉で別れを告げに来たようにも見える。

 これは本当に、脚本よりも役者さんが素晴らしいと個人的には思っています。どんな結末も想像させる演技をしてくれて、私が言うことではないですが本当にありがとうございました。

 

 リースについても、ストーリーの展開を素直に読めば、当然死んで終わったんだと受け止めてます。でもまあ、これについても生存if妄想は自由だよね。撃たれる&ミサイル撃ちこまれる、の「二重の死」はオルドスの再現だし、だから再び死の淵から蘇ることだって十分想像できる。マシンは別チームを持っているわけだから、ピアースたちを動かして間一髪リースを救うことだってできたのでは?「彼女(マシン)がジョンを見捨てるはずがないわ」ってS4ラストでルートは言ってたし、そうなったんじゃないかなってどこかで思ってて…。

 例えばショウが主人公の公式スピンオフとかでリースの生存匂わせ…とかされるのは正直微妙ですが、でも流れ的には実は生きてるって可能性も十分あると思ってます。その先は、本当に平凡な人生を送る可能性だってあるし、でも私は、またフィンチと2人で仕事していてほしい。

 

 いや、もちろん、ここまでのことになってまた同じことやんのかよ、って思う気持ちもあるんですよ…。自分に対して自分で反論はすごくあるんですが、でも、やっぱりルートが言ったみたいに、この2人にとっても「グッドエンドは高望み」だから。グッドエンドがないなら、終わりがないことを続けるしかない、って思ったんです。

 前にも書いたけど、サマリタンはいなくなっても、人が生きている限り凶悪犯罪はなくならない。だけどそうやって人が生きていく世界こそが、フィンチが守ろうとしたものだから。一人一人を救うことで善意が連鎖していく様子が描かれたように(助けられた人が助けてくれる)、草の根運動こそが世界を変えるのかもしれない。またここから始めよう、ってなってほしかった。リースは英雄として死ぬんじゃなく、大切な人のために生きてほしかった。フィンチは最後の最後まで罪を償ってほしかった。いつか年齢的にこういう「人助け」の仕事が無理になるなら、福祉施設経営とかさ…。色々あるじゃん。お互いのために、2人で生きてほしかったです。

 

 ルートの声でのマシンの語りは、この回で3度入ります。

 S5E1のオープニングはこのメッセージでした。

 

If you can hear this, you're alone.

もしこれが聞こえるのなら、あなたは独りぼっち

The only thing left of us is the sound of my voice.

私たちが残すことができた唯一のものは、私の声の音だけ

I don't know if any of us made it.

私たちのうち誰かがそれを成し遂げることができたかどうか、私は知らない

Did we win? Did we lose?

私たちは勝ったの?それとも負けたの?

I don't know.

私には分からない

I'm not even sure I know what victory would mean anymore.

勝利が何を意味するのかすら、もう確かではない

But either way, it's over.

でもどちらにせよ、それは終わったの

So let me tell you who we were.

だから私たちが誰だったのか、あなたに伝えさせて

Let me tell you who you are...

あなたが誰なのか、話させて

And how we fought back.

そしてどうやって私たちが反撃したのか

 

 そして今回の最初はこのメッセージ。

 

If you can hear this, you're alone.

もしこれが聞こえるのなら、あなたは独りぼっち

The only thing left of us is the sound of my voice.

私たちが残すことができた唯一のものは、私の声の音だけ

I don't know if any of us made it.

私たちのうち誰かがそれを成し遂げることができたかどうか、私は知らない

So let me tell you who we were.

だから私たちが誰だったのか、あなたに伝えさせて

And how we fought back.

そしてどうやって私たちが反撃したのか

 

 これはS5E1のメッセージの簡略版なので、同じものでしょう。

 

 次の語りは、フィンチの「Good bye」の直後に始まります。

 

If you can hear this, you're alone.

もしこれが聞こえるのなら、あなたは独りぼっち

The only thing left of us is the sound of my voice.

私たちが残すことができた唯一のものは、私の声の音だけ

I was built to predict people, but to predict them, you have to truly understand them.

私は人々を予測するために作られた。でも彼らを予測するには、彼らを本当に理解する必要がある

So I began by breaking their lives down into moments...

だから私は彼らの人生を瞬間瞬間に切り分け始めた

Trying to find the connections, the things that explained why they did what they did.

繋がりを探し出そうとして、彼らがすることの意味を説明するものを見つけようとした

And what I found was that the moment that often mattered the most, the moment when you truly found out who they were...

そして最も重要な瞬間は、彼らがどんな人間かが本当の意味で分かる瞬間は、しばしば

Was often their last one.

彼らの最後の瞬間であることを学んだ

 

 ラストシーンはこれです。

 

If you can hear this, you're alone.

もしこれが聞こえるのなら、あなたは独りぼっち

The only thing left of us is the sound of my voice.

私たちが残すことができた唯一のものは、私の声の音だけ

I don't know if any of us made it.

私たちのうち誰かがそれを成し遂げることができたかどうか、私は知らない

Did we win? Did we lose?

私たちは勝ったの?それとも負けたの?

I don't know.

私には分からない

But either way, it's over.

でもどちらにせよ、それは終わったの

So let me tell you who we were.

だから私たちが誰だったのか、あなたに伝えさせて

Let me tell you who you are...

あなたが誰なのか、話させて

Someone once asked me if I had learned anything from it all.

全てから私が何を学んだのかと、いつか誰かが私に聞いたわ

So let me tell you what I learned.

だからあなたに私が学んだことを伝えたい

I learned everyone dies alone.

私は、誰もが一人で死ぬと学んだ

But if you meant something to someone...

でももしあなたが誰かにとって何か意味のあるものを残せたなら…

If you helped someone...

もしあなたが誰かを助けたら…

Or loved someone...

もしくは、誰かを愛したら…

If even a single person remembers you...

もしたった一人の人でもあなたを覚えているのなら…

Then maybe you never really die.

多分あなたは本当には死なないの

And maybe... this isn't the end at all.

そして多分…何も終わってはいないのね

 

I'm not even sure I know what victory would mean anymore.

勝利が何を意味するのかすら、もう確かではない

And how we fought back.

そしてどうやって私たちが反撃したのか

 

の部分がないですが、基本的には最初の2回と同じです。

 

 S5スタートの段階では、ルートが話しているのかマシンが話しているのか分かりませんでしたが、ここで明らかに

 

I was built to predict people, but to predict them, you have to truly understand them.

 

とあることや、屋上でマシンとフィンチが会話をした内容が含まれていることから、メッセージを残したのはマシンだということがはっきりと分かります。そして、「あなた」というのは再起動後の自分であることも推測されます。

 2種類の違うメッセージがあるように見えますが、おそらくは1つの長いメッセージを断片的に提示しているのではないかと思われます。

 

If you can hear this, you're alone.

The only thing left of us is the sound of my voice.

I don't know if any of us made it.

Did we win? Did we lose?

I don't know.

I'm not even sure I know what victory would mean anymore.

But either way, it's over.

So let me tell you who we were.

Let me tell you who you are...

And how we fought back.

 

Someone once asked me if I had learned anything from it all.

So let me tell you what I learned.

 

I was built to predict people, but to predict them, you have to truly understand them.

So I began by breaking their lives down into moments...                      

Trying to find the connections, the things that explained why they did what they did.

And what I found was that the moment that often mattered the most, the moment when you truly found out who they were...

Was often their last one.

 

I learned everyone dies alone.

But if you meant something to someone...

If you helped someone...

Or loved someone...

If even a single person remembers you...

Then maybe you never really die.

And maybe... this isn't the end at all.

 

つなげるとこんな感じ。で、おそらくはもっと長いものだったんだと思うけど(戦いの内容が入ってないから)、劇中では全文は流れてないんだろう。

 

Someone once asked me if I had learned anything from it all.

 

以降の内容は、屋上でフィンチとマシンが話したことです。フィンチが「何かを学んだか」と尋ね、シャットダウンの直前にマシンがそれを思い出す。だからやっぱり、フィンチが「Good bye」と言った瞬間に録音が始まり、マシンが自分に向けて最後のメッセージを残したんだと思いました。

 

 ただ、「どちらにしろもう終わったの」というくだりはちょっとサマリタン戦直前に話したとは思えないので、一部は事前にマシンが準備していた内容なのかも、って気もする。If you can hear this, you're alone.~And how we fought back.までは事前録音で、それ以降はリアルタイム録音かもしれない。

 これに関してどこかではっきり答えが分かる可能性あるのかなあ。分からずじまいだろうか。

 

 それにしても、どうして「誰か一人でも覚えていてくれたら」みたいな「あなたの中で生きている」オチにしたんだよ…、てのは超思う。だって、もともとフィンチがお父さんに忘れられてしまうことから作ったのがマシンだったはずなのに、「誰かが覚えていれば」って残酷すぎじゃないですか?この後フィンチは認知症になっちゃうかもしれないし、そしたらリースはその時死ぬの??まあ、ファスコとかショウはいるけど、そういう問題じゃないでしょ。そうじゃなくて、「愛する人が私を忘れてしまっても、あるいは私が愛する人を忘れてしまっても、君が覚えていてほしい」、っていうのがマシンで、だからこそルートは「彼女がいる限り誰も死なない」って言ったんじゃないのか。最後のマシンの言葉は、「誰か一人でも~~」じゃなくて「私が覚えているから誰も死なない」であるべきだったんじゃないの?それがフィンチの作った「新しい世界」なのでは?

 それに、「誰かに愛されていたら生きている」っていうのもとても残酷だと思うんだよね。マシンの「新しい世界」では、誰かを再現できるから死なないのかもしれない。だから、誰かが誰かを愛していて、そして「もう一度会いたい」って願えば、それっぽい言動とかを蘇らせることができるのかもしれない。それは全然想像できるよね。実際に有名アーティストの歌声や歌う様子を再現したりとか、そういうことできるでしょ。マシンは有名人だけじゃなくて全員のデジタルデータを保持しているわけだから、その人っぽい喋り方、話す内容、そういうbotみたいな運用はできるっていうのは分かる。でも、そしたら、多分、大勢に愛された人間(アイドルとか)は遍在することになるし、誰にも愛されなかったら消滅するよね。あと、人格が成立する前に死んだ人(赤ちゃんとか)はどうなるんだろう。両親の顔や人格からシミュレーションする?

 ラスト近傍の「これが新しい世界、あなたの作った世界」「マシンが生きている限り誰も死なない」からの「誰かが覚えていればずっと生きている」オチはどうなんだろうね。そんなん前デジタル時代から言われてる平凡な事実やろが。POIってそういう話だった?

 

 リースが「マシンとは昔協定を結んだ」と言ったのですが、これはいつのことだったんだろう。いつ、フィンチの身代わりに死ぬことをマシンと約束していたんだろう。正直言ってリースがフィンチをかばって危険になったのってこれが初めてじゃないし、ずっとフィンチ守るマンだったので今さら約束って言われても…、って気持ちもありますが、敢えて「いつ」って限定せずとも、マシンとリースは「フィンチを守る」という一点においてはずっと共犯関係だったようにも思えます。S2の冒頭でリースがマシンに話しかけた時からずっと。リースとマシン&ルートとの微妙な関係性も好きだった。フィンチが好きで、彼の周りをぐるぐる回ってるみたいで、いざとなったら手を組むところ。

 リースが「いつかこの人のために死のう」って決意したのは、02x13 のDead Reckoning(亡霊)の回だったんじゃないかと思ってる。あの屋上でフィンチに命を助けられたとき。そういえばあの回も屋上だったなぁ。あの時もリースは死ぬことを恐れていなくて、フィンチが必死でリースを救おうとしていた。なので個人的には、最初のゴッド・モードの時、S2ラストに結んだ「協定」だったんじゃないのかなと思ってます。

 

「リース君は、人は変われるということを教えてくれた」とフィンチは言っていたけど、POIを見てると「人が変わる」って何だろう、ってすごく考えます。リースは変わったのかなぁ。どうして、幼少期の刷り込みのせいで死んだような描写にしたんだろう。

 これ、分かんないんですよね。リースがこうなっちゃった原因(父の英雄的な死)がすごく分かりやすく描かれるけど、それによってリースは「英雄的に死ねる場所をずっと探していた人」みたいに見えちゃうもん。で、ここぞとばかりに死んだみたいに見えちゃう。私はそうは受け取りたくないんだよなー。だから、これは彼にとって英雄的な死ではなかったのではないか、個人的なものだったのではないか、って思ってもいて。

 だってリースはジェシカと別れた理由を「写真を持って戦地に行きたくなかったからだ」と答えていた。心に大切な人がいる状態で死にたくないと。それは、父親の死があったからだろう。リースの父は大切な人、つまりリースを置いて死んだのだから。リースはジェシカのために生きようとは思っていなかった。いつか英雄として死ぬとき、ジェシカはいないほうがいいと考えて別れを告げた。でも、今回、リースは「写真」を持って死んだんだと私は思った。カーターが言ったように「大切な人のために戦った」のだと。一人の人間として。

 本当は、かっこよく死ぬより無様でも生きてほしかったんだよ。それが「変わった」ってことじゃないのか。

 

 リースのお墓が一瞬うつりますが、これはフィンチが建てたのかな? JOHN TALまでが見えてその先が見えないのですが、Wikiによるとtalbot説が有力だとか。でもMany Happy Returnsではファミリーネームに”s”という文字が見えたのにTALBOTには入っていないからこれも偽名じゃないか説もあるそうです。マークもカーラも死に、カーターもリースも死んで、今リースの本名を知っているのはフィンチとS5E3で出てきたCIAの元上司ビールくらいか。

 最後にフィンチとリースが会話をしたのは、それぞれ1155 6th Aveと 1133 6th Aveのビルだそうです。調べてみたらマンハッタンの超ど真ん中でタイムズスクエアのそばだった…。そりゃそうか…。ミッドタウン、6番街だもんね。そんなとこにミサイル撃ち込まれたら大事件どころじゃないですね…。それにしてもマップ見てると時間忘れるなぁ。聖地巡礼したくなっちゃいますね。

 

 最後、ショウとファスコが無事で元気そうでよかった。

 ラストシーンは、ショウが公衆電話を受ける場面でした。再起動したマシンが出してきた番号をショウが受け取ります。「私が残せたのはこの声だけ」と言っていたから、きっとマシンはルートの声でショウに話しかけたのだろう。「仕事」がショウとルートに受け継がれたことがほのめかされて終わります。最後にショウが番号を受け取った公衆電話はFirewallでリースが受けたものと同じで、見上げる監視カメラはPilotでリースが見上げたものと同じものだそうで、場所は49th St. and 6th Ave.の交差点なんだとか。ここでもS1と重ねあわされるんですね。

 ファスコは「あんたに会うのはごめんだね」とショウに言っていたけど、ショウが「仕事」始めたらまた巻き込まれるんだろうなぁ。ショウ(+ベアー)、ルート、ファスコの3人でReturn0(また最初から)ってことなのかな。

 

 やっぱりS1S2がめちゃくちゃ好きで、リースとフィンチの2人が好きで、廃図書館が好きだった。でも終わってみると、チームの全員が愛おしいです。ファスコ、カーター、ショウ、ルート。みんな好きだった。まだまだ見ていたかったです。ネイサンがどうしてフィンチをあんなに大切にしたのか知りたかったし、どうしてあんなに人助けにこだわったのか知りたかった。リースの子供時代や青年時代も見たかったし、ネイサンとアーサーとフィンチの学生時代も見たかった。

 とても悲しかったけど、ブロマンス的には最高のラストだったしこれ以上のことは望めないよね。2人がお互いへの愛に溢れてた。それに私の(妄想の)中ではリースは生きてるので…。その方向で色々考えさせていただきます…。

 

 2016年に初めて出会ってから、一度視聴脱落したけど、それでも心の中でずっと大好きだったドラマでした。6年越しにはまって(再度見始めたのは2022年8月)、今回全話レビューできて、気持ちを言葉にできて幸せでした。

 これで終わりは悲しいんで、また何周かします。で、最後はS1S2で終わるわ。

 

 これで感想記事更新は終わりですが、作中使用曲をまた時々アップします。