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03x16 - RAM 感想

 POI感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

 ルートに「リースが初めての男じゃないんでしょ!」(意訳)みたいに言い放たれてましたが、フィンチの過去の男登場回です。

 冒頭のナレーションがS1ヴァージョンに戻っていたので何かある??と思って見ていたら、

But I needed a partner.

のあたりで切れて、旧パートナーが出現しました。

 

 時系列的には2010年9月末にネイサンが殺されていて、今回のエピソードは12月4日らしいので、あれからおよそ2か月しか経っていません。

ネイサン死亡→手術?したかは分からないけど車椅子に→アリシア殺害未遂→一人で人助け開始→部下雇う

が約2か月の間に起こっていることになります。この時点ですでに何人か人助けをしているっぽいし、対象者ダニエル・ケーシーに「図書館を知っているのは君とディリンジャー君だけ」と話していることから考えると、ディリンジャーが最初の部下と思われます。

 その後ニューロシェル事件2011年2月はフィンチ自ら現場に来ているし、リースを雇うのは9月なので、ディリンジャーの次がリースじゃないかなぁ。2月から9月の間に更に誰か死んでると考えるのはちょっとアレだし、今回フィンチがリースを見て、2月に再度出会って、この人を救いたい、ってなってPOIが始まる…って流れじゃないかなと。まあ、ディリンジャー君が多分1か月未満で死んでること考えると2月から9月の間に更に何人か挟まってても不思議ではないですが…。

 それにしても、ショウが言うようにフィンチは「引退した殺し屋の更生施設を運営するのが趣味」としか思えない状況ですね。

 

 ディリンジャー君の正体、というか前身は明かされませんが、似たような経歴の元工作員を拾ってきたというところだろうか。それとも普通に金で雇った傭兵?それなりにハイスキルで頭も回り、腕も立ちそうです。細面金髪のイケメンですけど(フィンチ、面食いなのか??)、リースと同じ「スーツの男」なのにだいぶ印象が違います。助けた女性と寝ちゃったり、話聞いてるのか聞いてないのかよく分からなかったり、ナイフに名前つけちゃったり、リースよりチャラい感じします。

 でも似てるとこもあるんですよね。ボスの飲み物の好みを探ろうとしたり、図書館を盗聴したり、犬を飼って外に出るように勧めたり、それに、「仕事をありがとう」とも言っていた。リースに同じことを言われた時どう思ったんだろうか。

 こっちからしてみると、この人全然違うのにどこかリースと似てる…って感じるんですが、フィンチは逆だったんだろうな。リースを見て、ディリンジャーと全然違うのにどうして同じことをやったり言ったりするんだろう、って切なかったのでは。もしかしたら、一度雇い主に裏切られている工作員は、切り捨てられまいとして雇い主のことを(弱みを?)探ろうとするのだとフィンチは実地で学んだのかも。

 

 この設定、いつから決まってたのかなって思います。最初から、リースが初めての部下じゃない設定だった?それとも後付け?このエピソード、S1やS2のR&Fの関係性と絡んでかなり完成度高いので、不思議に思いました。

 フィンチはディリンジャーにほとんど自分のこともマシンのことも打ち明けず、秘密主義を貫き通してビジネスライクな関係に徹し、最後は裏切られてしまいます。

 

 これはねー…、やっぱり、最前線で命を張らせておいて何も言わないというのはやっぱりよくなかったよね。。でもフィンチはディリンジャーをただの捨て駒だと思っていたわけじゃなく、失ったことが辛かったからこそリースともっとしっかりした関係性を築きたいと思っていたであろうことが分かる。あれほどビジネスライクで冷たかったS1E1でさえも、フィンチは最初からリースにマシンのことを打ち明けていた。マシンを知ったからには運命共同体になるんだということもはっきり話して、「2人とも死ぬだろう」と告げている。

 これは今思えば、暗に、最前線に出る君だけを危険にさらすわけではない、と言っていたのだと思いました。実際S1E2から現場に出て対象者と一緒に撃たれかける寸前まで行ってるし、S1E3でリースがピンチに陥った時は自ら証拠保管所に出て行ったし、E10では必死で命を助けようとしてます。かなり初期からフィンチも現場に出てサポートしてましたよね。リースが買ってきてくれたお茶に手をつけたのも、この回を見た後で見ると、信頼を示すためにあえて飲んだのかもしれないと思いました。もしまた薬を盛られていたとしても受け入れようとして。

 

 この回さらにすごいなって思うのは、フィンチがオルドス(というか中国)に例のラップトップを売った話の真実がここで分かるんですよね。S2ラストで全て明かされたと思っていたけどそうじゃなかった。

 

 フィンチとディリンジャーの追う対象者、ダニエル・ケーシーはIT技術者で、何者かに命を狙われています。調べているうちに、命を狙うのは政府側の工作員であることが分かる。CIA時代のリースとカーラです。フィンチは(多分ジェシカの番号が出ていた関係で)リースのことをすでに知っていて、「調べなくても分かる、その男はCIAだ」とディリンジャーに伝えます。

 しかしケーシーを狙っていたのはCIAだけではなかった。謎の組織も彼を、というよりも彼の持つラップトップをつけ狙っていました。この時のフィンチとリース&カーラも正体は知らないのですが、その組織はデシマです。デシマとCIAが争っている隙に乗じてディリンジャーはケーシーを保護し、図書館に連れてきます。フィンチはケーシーと話しているうちに、彼が狙われているのはマシン絡みだということが分かり、ディリンジャーを追い出します。それを不満に思ったディリンジャーは図書館を盗聴し、2人の会話を盗み聞きします。

 ケーシーはいわゆるホワイトハッカーで、企業の依頼で自社をハッキングし、その企業のシステムの脆弱性を調べる仕事をしていました。ある時政府に雇われ、謎のシステムのハッキングをさせられます。最初は手が出なかったのですが、バックドアを見つけてそこから侵入しオペレーティングシステムにアクセスしたこと、データを吸い出したこと、断片化したコードしか手に入れられずにいる間にシステムに拒絶され、アクセス不可になったことを話します。そのデータが入ったラップトップを持っているがためにケーシーはデシマに狙われ、またマシンに関わったために政府に消されようとしていることが分かります。

 これを聞いた時フィンチは「バックドア」と呟きます。ネイサンが仕掛けたバックドアは、果たして正解だったのだろうか。そのために「無用」番号が届くようになり人助けをしている一方で、このようにオペレーティングシステムに侵入され、更なる犠牲者を生もうとしている。

 ともかくフィンチはこのラップトップに罠を仕掛けてダークネットに売ることを考えます。例のウイルスinウイルスですね。マシンに攻撃を仕掛けられるなら自分のコードで、というわけです。それに、ラップトップを売ってしまえばケーシーは少なくともデシマ(謎の組織)からは追われなくなる。新しい身分を与えて逃がせば政府の目も躱せる、と思ったのでしょう。

 しかし、それを聞いていたディリンジャーにクスリを盛られ、ラップトップを奪われてしまいます。あんたのことは信用できない、これを売って金を稼ぎ、自分が新しい身分で逃げるのだと。

 フィンチ、クスリ盛られ過ぎじゃ?2度目ですよ?こんなんだから色々盛り上がっちゃうじゃん…。

 

 一方でCIAの2人はケーシーをディリンジャーに奪われてしまい、謎の組織(デシマ)の男を尋問します。カーラ様…。寿司食いながら傷口にワサビを塗りたくる…。日本文化が悪用されておる(笑)。

(そういえばMAXに“WASABI”って曲ありますが、アメリカ人はワサビを何だと思ってんの??って思いましたわ)

 しかしそいつは自殺し、手がかりが失われます。そのため、カーラはケーシーの唯一の友人のところへ。しかしケーシーがそこに辿り着く前に、デシマがやってきて撃ちあいになります。カーラ様ランバートを除く全員を殺し、ケーシーはリースに捕まります。必死でケーシーを追ってきたフィンチはそのやり取りを車から見守ることに。

 カーラは、「ダニエル・ケーシーは国に対して重大な裏切りをした犯罪者。死に値する」と信じて疑わない。でもリースは、ケーシーを殺すという命令そのものに疑問を持っている。この男は悪者ではないのではないか?そして、フィンチの目の前でケーシーを逃がします。カーラに銃声を聞かせ、死体は川に捨てると言います。ケーシーに行き先を教えて死の証拠として奥歯だけを要求します。フィンチはこのやり取りを全て見ていた。ここでも2人の運命が交錯します。

 

 リースは「俺は人を殺すのはなんとも思わない」と言っていたけど、カーラやスノウ、他の工作員たちと全然違うよね。。この後オルドスではカーラのことも殺せなかった。そして、そんなリースだからこそフィンチは救いたかったのだと思いました。この人が自暴自棄になってそのまま死んでいいはずがないと。

 番号が出ていたのにジェシカに何もできなかったこと、ここでラップトップを奪われたためにリースがオルドスへ送られる運命の原因になったこと、そのためにリースがジェシカを救いに行けなかったこと、オルドスでリースが殺されかけたこと、生還したリースがピーターに復讐するのを止められなかったこと、そして廃人のようになってしまったこと、それら全てにフィンチは責任を感じていただろうけど、この時ケーシーを逃がしてくれたリースの優しさや判断力についても思うところがあったはず。そういう全部があってS1E1の出会いに繋がっていったんだとここで分かった。

 

 それにしてもこのシーンやばいですね…。語彙が消失するやばさです。フィンチはケーシーを助けたいのに出ていけない。でもリースは彼を殺さなかった。この時のリースの目が…。見てると胸が痛くなるし、フィンチはもっとときめいただろうなと(笑。まあ、あの距離だと目とか見えませんけどね)。

 いや、惚れるでしょ。もう絶対この時惚れたのよ。それが分かりました。このシーン入れてきた製作者に感謝したい気持ちでいっぱいです。お互いが、なぜ相手を唯一無二の存在と思ってどれほど大切に思っているか、すっごく丁寧に描写してくれてありがとうございます。

 てかフィンチ、ああ見えて惚れた相手は絶対手に入れる男なんですね!ときめくわー。ディリンジャー君には悪いけどさ…。

 

 さて、CIAの2人のお仕事はケーシーを片付けたことでいったん終わったように思われましたが、消えたラップトップ問題が残っていました。フィンチは必死に止めようとしますが聞く耳を持たないディリンジャー。

 

Please, it doesn't have to be this way.

頼むから、そんなやり方はやめてくれ

You made it this way.

あんたがそうさせたんだ

By keeping me in the dark.

俺を闇に留めることで(情報を渡さないことで)

They'll kill you.

彼らは君を殺すだろう

Thanks for the job, Harold.

仕事をありがとう、ハロルド

Don't try to follow me.

追いかけようとしないでくれ

 

 ディリンジャーはダークネットでそれを中国人に売ろうとし、奪われた挙句に逃げられ、最終的にISAの工作員であるショウに撃ち殺されます。CIAもISAもラップトップを手に入れられなかったことで、カーラとリースはラップトップ奪還のために次の任務地であるモロッコからオルドスに送られることになります。モロッコの任務中にジェシカからの電話を受けたリースが駆けつけようとしたのですがオルドスの任務が入ったために行けなくなり、ジェシカは死に、リースも殺されかけ…、という運命にここで繋がってくるんですね。

 

 フィンチはショウに殺されたディリンジャーの死体をセントラルパークに埋めます。RadioheadのI Might Be Wrong が流れる中…。

yuifall.hatenablog.com

悲しすぎます。しかしPOI世界、その辺に人埋まりすぎじゃないか??フィンチがあの身体でセントラルパークに誰にも見つかることなく成人男性の死体を埋められるとは思えませんがまあいいや。

 

 最後、ケーシーのところにルートがやってきて、彼がマシンのアセットになったことを匂わせて終わります。

 

 それにしても久しぶりにカーラ様見られて眼福でしたね。

 

Maybe, if we finish early, Mark will let us stay in town an extra day or two.

もしこれが早く片付いたら、マークは1日か2日余計にこの街に留まらせてくれるかも

Never pictured you as a Rockefeller ice-skating type, Kara.

君がロックフェラーでスケートするタイプだとは思わなかったな、カーラ

I was thinking more like... take over the drug trade for Christmas, burn it down by New Year's.

私が考えてたのはもっと…、クリスマスに向けてドラッグ売買を引き受けて、新年までに全焼させるのよ

That sounds like a hell of a party.

楽しそうだ

You got plans?

あなたは?

Going back to stalking the ex-girlfriend again?

また元カノのストーカーに戻るわけ?

Thinking more like Aruba.

Arubaにでも行くさ

Something about killing a citizen makes me wanna kick back on a beach.

市民を殺したらビーチにでも行きたくなる

I'm not ready to see you in a speedo.

あなたがスピード履いてるの見る準備はできてないわね

 

 元カノのストーカー発言面白すぎますし、「南の島にでも行くか」「あなたがスピード?」と言ってあからさまに下半身に目をやるカーラ笑った。リースの海パン姿想像すると笑えますね。もちろんブーメランのやつでしょ。

 

 ちなみにこの回と確かS5E3では、リースの顔認証が白枠になってます。

 

POI:ダニエル・ケーシー(被害者)

本編:

2010年12月4日(ジェシカの死が6日か7日で、その直前の「土曜日」なので4日、と推定されてました)

2014年2月25日、ケーシー@フィンランド

フラッシュバック:本編がフラッシュバックでした…