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03x12 - Aletheia 感想

 POI感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

 タイトルが前回Letheに対してAletheiaであり、対になるエピソードであることが示されます。Letheは「忘却」であると同時に「隠蔽」でもあり、今回Aletheiaでフィンチが初めてアーサーに真実を明かします。

 

 最初いきなり大ピンチから始まるのですが、助けてくれたのはリースではなくルートでした。相変わらずの二丁拳銃乱射です。ルートはハーシュに撃たれて捕まりながら逃がしてくれますが、美女2人(ショウとルート)が戦っておじさん2人(フィンチとアーサー)を逃がしてあげるシーンなんか胸熱でした。おじさん2人かわいいよ。

 で、盗難車で逃げようとして銃撃されてんのに「車を盗んで死にかけたな。MITの日々を思い出すよ、ハロルド」と嬉しそうなアーサー。フィンチも「そうだな、アーサー。大学時代みたいだ」と返します。命がけの程度が違うんだろうけど、アーサーの無邪気さや明るさに大学時代のフィンチは救われてきたのではないかと感じました。

 

 その後の会話も好きでした。

 

Arthur, come on.

アーサー、来るんだ

Yeah.

ああ

Are you sure that you did everything correctly?

君は全部を正しくやった自信があるか?

Excuse me?

なんだって?

'Cause if the alarm was not disabled, then Nathan is gonna get, um, expelled.

だってアラームが無効化されていなかったら、ネイサンは、あー、退学になるぞ

Nathan?

ネイサン?

His mind has slipped back to 1981, to MIT.

彼の精神は1981年のMIT時代に戻っている

Our friend convinced us to do a hack, a prank at the Harvard/Yale game.

私たちの友人がハーバードとイェールの試合でいたずらをするように私たちをそそのかしたんだ

Everything will be fine, Arthur.

全て大丈夫だ、アーサー

It was sort of an anti-nuclear proliferation statement.

あれは核拡散に対する抗議声明の一種だった

And to impress certain ladies.

それにある種の女性たちに感銘を与えたよ

A rebel and a skirt chaser.

反逆者で、女を追いかけてたってわけだ

No, no, no, no, no, Harold doesn't need to chase.

違う違う、ハロルドは女性を追いかける必要なんてない

He's got a certain gravitational pull with the female population.

彼は女性をひきつける一種の引力を持っていたんだ

You know, I think that Nathan should be here by now.

ネイサンがすでに来ていないのはおかしいぞ

Arthur.

アーサー

Yeah?

何だ?

Nathan isn't coming.

ネイサンは来ないよ

You've drifted away.

君たち、疎遠になっただろう

Nathan-- he's dead, isn't he?

ネイサンは…、彼は死んだんだ、そうだろう?

 

 この会話何回もリピートして見てしまった。ネイサン、フィンチ、アーサーで一緒にいたずらしたりしていたこと、フィンチが女性にもてていたこと、ネイサンとアーサーが疎遠になっていたこと、など色々なことが分かります。

 友人関係についてもめちゃくちゃ気になるんですが、その前に!「ハロルドはモテていたよ。女性に引力が働くんだ」とアーサーが言ってショウがニヤニヤしながらフィンチをずっと見ていて、フィンチが「やれやれ…」みたいな顔してるシーンめっちゃときめいた。ハロルドもてるに決まってるよ!!だって顔かわいいし、頭はいいし、それでいて堅物じゃないじゃん。公衆電話ハッキングしてパリに電話したり車盗んだり核拡散の抗議でいたずらしたりさ。モテるよ絶対!ていうか今だって素敵だもん♡好き♡

 フィンチとネイサンはめっちゃモテてたんだろうなー。で、アーサーはああいうタイプだから友達がモテてて自分がそうじゃなくても気にしてなさそう。それにネイサンは多分いっぱい彼女いただろうけどフィンチは交際には興味なかったんじゃという気もしますね。経験として付き合ったりはしたと思うけど、それだけというか。

 ちなみにこの「ハーバードとイェールの試合でいたずら」というのは実際は1982年の11月20日に「デルタ・カッパ・イプシロン友愛会がやったいたずららしく、ハーバードとイェールのフットボールゲームのセカンドクォーターの間に「MIT」と書かれた巨大な黒い風船が上がったんだとか。

 

 アーサーはボケたふりして実はとても頭脳明晰で、ショウは「あんたのことだんだん好きになってきた」と言うんですが、言われて「君は誰だったかな」と、どこまで正気なのか分からん。でもアーサー好きです。めっちゃいい人だし頭いいし。

 その後アーサーは大切なものを銀行の貸金庫に保管していること、貸金庫の登録名が「ルディガー・スムート」であったことが分かります。

 

Who the hell is Rudiger Smoot?

一体ルディガー・スムートって何者?

It was a dare.

それは挑戦だった

Arthur said I couldn't create a false identity sound enough to open a bank account.

アーサーが言ったんだ、私は銀行口座を開けるほど十分な偽の身分を作ることはできないだろうと

The added challenge was the obviously fake name--

更に挑戦度を増すために、明らかな偽名を使った

Rudiger Smoot.

ルディガー・スムート

 

 この「スムート」という名はMIT内でよく知られているジョークの一種らしいです。1958年に、ボストンにあるハーバード橋の長さを測るために、「ラムダ・カイ・アルファ」友愛会が、メンバー内で最も背が低かったオリバー・R・スムートの身長5フィート7インチ(約170cm)を1単位(1スムート)として計測したんだとか。ハーバード橋は364.4スムートと耳一つ分の長さで、今でも10スムートごとにマークがされているらしいです。ちなみにこのオリバー・スムート氏は後の国際標準化機構(ISO)会長、米国国家規格協会(ANSI)の議長を務めた超有名人だとか。

 だから、MITの学生が「スムート」という名前を使うこと自体が偽名と疑われる前提でやったいたずら、ということのようです。「ルディガー」もなんとなく「オリバー・R」のもじりっぽい?

 まあ、そもそも偽名で生活しているフィンチにとって架空の身分を作るのは難しくなかったでしょうが、やっぱりフィンチとアーサーは親しかったんだなとこのエピソードからも感じました。どういう友人関係だったんだろうと想像が膨らみます。

 前回も書いたけど、フィンチはアーサーのことはかなり好きだったし親しかったんだろうけど、アーサーの性格や専門分野が自分にとってあまりにも危険だったから離れたんじゃないかと。で、秘密を守ってくれそうなネイサンとだけ友人関係が続いたんだろうと思いました。あと、あれほど人懐っこいというか人間関係がうまそうなネイサンがアーサーと疎遠になったのは、卒業後、フィンチの存在を隠すためなんじゃないかと思った。フィンチのためにネイサンは多分色んなものを犠牲にしてきたんだろうと。ほんと不思議なんですよね、どうしてフィンチとネイサンがこれほど唯一無二の友人関係だったのか。そこのところ、それほど深く描かれないから。

 

 ところでMITのWikipediaを見るとかなり楽しいです。“ハック”と呼ばれる伝統的いたずら行為によって学生たちが色んな事やらかしてるんだとか。Wikipediaには、「単なるイタズラというよりも、日頃研究したさまざまな技術を駆使することから、時に超常現象かと見紛うばかりのものまであるとされる。」と記載があります。頭のいい大学生がやらかすいたずら行為面白いのでとても楽しく読みました。3人の学生時代ってどんなのかなーって妄想するのはとても楽しいですが、80年代にMITの学生(理系で超頭いい)が何をやらかすかなんて想像もできないわ…。

 

 さて、アーサーをヴィジランスが追いかけ、さらにフィンチとアーサーを政府が追っている状況でフィンチとアーサーは銀行の金庫室に立てこもるのですが、合間にリースとファスコが警察署の留置所にいる(喧嘩で捕まった)シーンが挟まります。

 

Nothing wrong with jail.

牢獄は悪くない

Some of the best vacations I've ever had were behind bars.

俺が今まで過ごした一番いい休暇のうちのいくつかは檻の後ろだった

You're a peach, you know that?

あんた面白いな

How about we just figure a way to get out of here and go home?

ここから出て家に戻るのはどうだ?

Home?

家?

What home, Lionel?

家ってなんだ、ライオネル

You know, I mean, you've never actually invited me over, but home-- meaning our friends and that thing we were doing.

あのな、あんたは実際は一度も招いてくれたことはないが、だが家っていうのは…、俺たちの友人がいて、俺たちがやっていることがある場所だ

What is it we were doing again?

俺たちがしていたことをもう一度やるのはどうだ?

Helping people, keeping 'em safe so they could get home to their loved ones.

人を助けて、彼らを安全にし、彼らの愛する人のいる家に戻れるようにする

No offense, Lionel.

悪くとるなよ、ライオネル

I know the whole "being a good guy" thing is new to you, but you're not fooling anyone, and neither will we.

この全ての「いい人になる」ことはお前には新しいだろうが、誰のことも、俺たちのこともだますことはできない

We weren't helping people.

俺たちは人々を助けていたんじゃない

We were delaying the inevitable.

避けられないことを遅らせていたんだ

No one ever said we were gonna win, but it doesn't mean you stop fighting.

俺たちが勝つだろうとは誰も言わなかったが、それは闘いをやめるということじゃない

No.

いや

I've learned my lesson. It's entropy, Lionel, decay.

俺は学んだよ。それはエントロピーで、衰退だ、ライオネル

We save someone, they'll still lose, just tomorrow, not today.

俺たちは誰かを救うが、彼らはいずれ失われる。ただそれが今日でなく明日になるだけだ

And I know that now, same as I know you'll probably go back to be a corrupt piece of garbage.

今なら分かる。同様に、お前がまたゴミクズに落ちるだろうことも

Water finds its level.

水は低きに流れる
(ちなみに「水は低きに流れる」はもともと「自然の成り行きどおりにいく」という性善説の言葉なのでここでは誤用になりますが…)

You know what? She was the best of us-- better than me and a damn sight better than you.

だから何だ?彼女は俺たちの中で一番だった…、俺よりも、あんたよりもずっといい人間だった

And she got killed.

そして殺された

But where I come from, that doesn't mean you just give up.

でもそれはただ諦めるって意味じゃない

Hey, Skip! We're done here.

スキップ!終わったぞ

You're free to go. Do whatever you want.

どこへでも行けよ。好きなことをやれ

I'll tell Finch I tried.

俺はフィンチに努力はしたと伝える

Tell Finch... thanks for the job.

フィンチに伝えてくれ…、仕事をありがとうと

I haven't heard from Glasses since last night.

昨夜から、メガネから連絡がない

That's not like him.

彼らしくない

He probably needs our help, but there's no point, right?

彼はおそらく俺たちの助けを必要としているが、どうでもいいんだ、そうだろ?

We'd just be delaying the inevitable.

俺たちは避けられないことを先送りしているだけなんだからな

 

 フィンチが待つ図書館がHomeだろうというファスコに、全て無駄だったと返すリース。それでも「仕事をありがとう」とは言うんだな。これもよく分からん。だって、フィンチに会わなかったら死ぬだけだったんですよね。それが生きていて、感謝もしている。全て意味がなかったの?

 まあでもこのファスコとの会話と次回のフィンチとのあれこれがあってようやく帰ってくるリースかわいいのでよしとしますわ。ショウに武器全部捨てられてるけど。

 

 フィンチはフィンチでショウに「リース君のようにしろ」とか絡んでて笑える。

 

I urge you to consider what Mr. Reese would do.

私は君にリース君のようにするよう考えることを勧めるよ

Brood.

くよくよ考えろって?

As you've said, you're a hammer.

君が言ったように、君はハンマーだ

Mr. Reese is a scalpel.

リース君はメスだ

This requires a bit more finesse.

これはもっと技巧的であることを要する

Well, I got finesse coming out of my ass, Harold.

あー、あたしはクソほど繊細だよ、ハロルド

 

 ショウの言い方(笑)。Out of my assなんて言い方する人、メインキャラにいなかったので新鮮です。ファスコと気が合うわけだわ。

 フィンチはアーサーに真実を打ち明け、サマリタンを破壊するように迫ります。

 

Arthur, I need you to consider what may happen when that door opens, how Samaritan could be abused.

アーサー、あの扉が開いたら何が起こるか、サマリタンがどう虐待されるか君に考えてもらう必要がある

End this. Destroy the drive.

これを終わらせよう。ドライブを破壊するんだ

No. This is life... or as close as we mortals come to saying, "Let there be light."

駄目だ。これは命だ…もしくは我々人類が、「光あれ」と願うものに近いものだ

It is extraordinary, and it is beautiful.

それは非常に特別で、それに美しいよ

So are mushroom clouds, in their own way.

しかし使い方によってはキノコ雲にもなり得る

155 Manhattan project scientists sent a petition to President Truman begging him not to use the bomb, but they had created a demon too great to resist.

マンハッタン計画に関わった155人の科学者たちは、トルーマン大統領に爆弾を使わないよう嘆願書を送ったが、彼らの作った悪魔は抗うには魅力的過ぎた

Harold, this is knowledge.

ハロルド、これは知識だ

It's what we fought for. It'll just all be lost.

これのために戦った。全ては失われるのか

No, your knowledge will not be lost.

いや、君の知識は失われない

Nathan and I used your ideas.

ネイサンと私が君のアイデアを使った

We built it.

私たちが作ったんだ

I was right. There was another project.

私は正しかった。他のプロジェクトがあったんだね

It was you.

君だったのか

I'm not sure that we should have built it.

作ったことが正しかったのか確信がない

We created it recklessly. People died.

無謀なことをしたんだ。人々が死んだ

Your machine-- is it wonderful?

君のマシンは…素晴らしいのか?

Wonderful...

素晴らしいよ…

Yes, and terrible.

そうだ、そして、酷い

We saved good people and lost good people.

我々は善良な人たちを救い、そして失った…

In the end, I'm afraid we've only given the deck a shuffle.

結局、カードを配り直したに過ぎなかった

Everything slides towards chaos.

全ては混沌に戻るだけ

Your creation-- it brings us poor souls a cupful of order.

君の作ったものは…、私たちの哀れな魂にコップ一杯の秩序をもたらすんだ

Your child is a dancing star.

君の子供は最高だよ

It's not my child. It's a machine.

私の子ではないよ。それは機械だ

A false dichotomy-- it's all electricity.

そんな偽物の二分法じゃない…、、情熱があっただろう

Does it make you laugh? Does it make you weep?

君を笑わせ、泣かせただろう

What's more human?

人のように

But these people outside-- if they get your Samaritan, they will hurt it, imprison it, enslave it, and use it to enslave others.

だが外にいる人々は…もし彼らが君のサマリタンを手に入れれば、彼らはサマリタンを傷つけ、閉じ込め、奴隷にし、人々を支配するためにそれを用いるだろう

Is that the life that you would wish for your child?

それが、君が子どもに望む人生なのか?

Good-bye. I'll remember you.

さようなら。君を忘れない

 

 フィンチはマシンを破壊できないのに、アーサーにサマリタンを破壊するよう迫るのか。このシーン、やりきれなかった。心の底で我が子として愛しながら「マシン」と呼ぶフィンチに対し、サマリタンを我が子と呼んで憚らず慈しむアーサー。それなのにフィンチはアーサーにサマリタンの破壊を求め、アーサーはそれに従います。アーサーの性格が素直すぎてどう捉えていいか分からない。ここで真実を打ち明けられて、「裏切られた」ってならないんだ。「君だったのか。マシンは素晴らしいのか?君の子供は最高だろう」と。どれだけ高潔な人格なのだろうか。

 しかしフィンチは「君のアイデアを私とネイサンが引き継いだ」と言っていましたが、実際はフィンチは大学入学前からAIの基礎を作ろうとしていたことがフラッシュバックで描写されているし、大学ではAIについての構想はネイサン以外には打ち明けてなかったんじゃないかなぁ。

 それにしてもこんなに素直で御しやすそうな技術者がオープンシステムで管理可能なAIをほとんど完成させていたのに、政府がわざわざネイサンからクローズドシステムかつブラックボックスのマシンを買って使う意味が分からんな。買取価格が1ドルだったので、国民に知られず使うことができると思ったからだろうか。でももともとアーサーは政府機関で働いていたわけだし、そもそものサマリタンの開発費は税金から出てて、政府はそのまま使えるんじゃねーの?この辺ちょっと不自然すぎる気がしますけど…。

 

 科学技術の発展に関する問題として、倫理的な側面もありますが、倫理的な側面を重要視して前に進めないでいると必ず同時期に同じ技術が別の場所で完成してくるという点があります。優れた科学技術の進歩はしばしば同時多発的に生じるからです。自分が作らなくても誰かがやる、それは免罪符にはなりませんが事実ではあります。S5で「マシンがない未来」のシミュレーションが提示されましたが、そこでもサマリタンは存在していた。フィンチが作らなくてもアーサーが作っただろう。それはそうだと思います。

 でも多分、アーサーはいい人過ぎたんだろうとこの2回見ていて思った。あまりにも善良で、AIが悪用されることを本当の意味で理解できなかったんだろうと。だからこそサマリタンがああいう形で使われることになったのだろう。

 

 結果的にサマリタンはデシマに奪われるのですが、フィンチとアーサーはそれに気づかず金庫室から脱出し、ヴィジランスに捕まります。アーサーは捉えられ、フィンチとショウは射殺寸前…のところで助けに来てくれたのはリースとファスコでした。

 

I heard you might need a hand.

あんたが助けを必要としてると聞いた

Mr. Reese, I am inordinately happy to see you.

リース君、私は君に会えて非常に幸せだ

Forget the shmoopy time. We got to move.

愛情に満ちた時間のことは忘れろ。行かないと

Lionel, your face looks good all covered up like that.

ライオネル、そんな風に全部隠れてるとあんたの顔ってイケてる

 

 フィンチの台詞、吹替では「本当に嬉しいよ。もう会えないと思っていた」になってました♡ inordinately happy って超かわいいな。フィンチが素直すぎて胸が苦しいわ…。ここ、4人がそれぞれ1言ずつ喋るのですがみんなそれぞれの台詞が超好き。

 

 でも最後、リースは出て行きます。

 

Welcome home.

おかえり

I'm not staying.

ここには留まらない

I came back to protect you.

俺はあんたを守りに戻ってきただけだ

You're someone the world can't afford to lose.

あんたは世界にとって失う余地のない人間だ

But I lost a friend because of your machine.

でも俺はあんたのマシンのせいで友達を亡くした

We trusted blindly, but I'm not so sure he cares who matters and who doesn't.

盲目的に信じていたが、今では彼が誰を気にして誰を気にしていないのか確信できない

I came back to say good-bye, Finch.

さよならを言いに来たんだ、フィンチ

John, you can't go.

ジョン、まさか行かないだろう

I can't stay here.

もうここにはいられない

 

 今まで「命の恩人だからあんたを守りたい」だったのが「世界にとって必要な人だから」にスタンスを変えてきました。屈託が見えるなー。でもフィンチがピンチに陥るたびに来るんだったら結局一緒にいるのと同じことでは??

 それにしてもリースまでマシンを「彼」呼ばわりし、どんどん擬人化が進みつつあります。ルートの影響??HeだかSheだか知りませんが…。フィンチだけが頑なにItと呼び続けてます。

リース君、

ファスコが迎えに来る

→「フィンチがお前を寄越したんだろう?」ファスコと一緒じゃ帰らない!

→「メガネと連絡取れないけどそういう運命なんだよな!」

→フィンチを助けに戻る

→「助けに来ただけ!もうさよなら!」

→次回4Cでマシンの差し金で事件に巻き込まれる

→「フィンチ!あんたの差し金だろう!」

→「いや、君には仕事は入れていないよ」

→「あんたはマシンと同じで情報を分けてくれない!技術者は技術の責任を取らない!」と拗ねまくり

→フィンチと協力しての人助けに心を動かされる

→フィンチが迎えに来る

→帰る

って、かまってちゃん全開すぎん??かわいいけどさ。

 

 しかしこのシーンのあたりのフィンチの気持ち考えると本当にかわいそうで…。本当に会いたかったリースが戻ってきてくれたと思ったのにすぐに出て行ってしまう。しかも廃図書館でマシンのことで意見が対立して相手が出て行って…、というのは完全にネイサンとの最後の別れを彷彿とさせます。次回、フィンチがリースを追わずに国外へ行かせたのもネイサンのことを思い出したからかなってちょっと思った。追跡しようと思えばできたはず。だってリースは空港まで携帯を持って行ってた。でも追いかけて空港に行ったら、きっとあのフェリーターミナルのトラウマが蘇るだろう…。「行かないでくれ」って縋るフィンチがかわいそうで…。でもリースもそんな簡単には戻れないよね…。

 

 さて、これらの合間にルートの拷問エピソードが挟まれますが、最後ルートがコントロールにマシンの言葉を伝えるシーン、よく分からないんですが…。「マシンは私のもの」と言うコントロールに対し、「私は誰のものでもないが、あなたは私のものです。だから守りましょう。あなたの唯一大切なものも私が守りましょう」と伝えるルート。これってマシンの言葉なの??マシンが、守る人とそうでない人を選別するの??

 マシンは、誰かは守って誰かは守らない、という風にはもともと作られていないはず。でもこの言葉をそのまま受け取れば、コントロールは守るけどカーターは守らなかった、ということになり、リースの言うように「彼の基準が信用できない」ってことになっちゃうじゃん。E17でフィンチは「マシンには人が大切だと教えた。そのために人を守るようになった」と言っていて、基本的には全ての人間を守るようにデザインされているのでは?

 もともとフィンチはただマシンを監視するシステムとして作っていて、人間の意志で人間が何かを起こしそうな時、それを感知するためだけのデザインだったはず。誰かを選んで守ったりはしないように教育していた。というかフィンチは人間社会への介入そのものを禁じていたように思えます。でもS3から明らかにルートのすることに干渉してるし、介入してる。そして今回の「あなたを守ります」発言…。

 

 これずっと分かんなかったんですけど、普通にコントロールが危険に陥ったら番号をマシンチームに伝える、という程度の意味合いなのかな、って後から思いました。この後の回でフィンチが「マシンは全員を守る。番号を介して」って言ってるシーンあったし、何かあったら「番号」をチームに伝えることで「守る」、って意味かなぁと。実際S3ラストでは彼女の番号出ましたし。

 正直S3からはマシンが意志を持って特にルートに直接干渉してるのを見てると、結局誰かは守って誰かは守らないんじゃないの?って思う面もあり、そのあたりはいまいち割り切れてないです。どんな小規模であっても「選別」するんだったらサマリタンと何が違うんだろうって。

 

 マシンは最後、アーサーに若い日の記憶を見せてくれます。

 

I'm glad you built it, Harold.

君がそれを作って嬉しいよ、ハロルド

Somebody would have eventually.

誰かがいつか必ず作ると思っていた

For all our sakes, I'm glad it was you.

私たちのために、それが君だったことが嬉しい

Welcome back, Arthur.

おかえり、アーサー

Harold, I'm disappearing.

ハロルド、私は消えかかっている

Every time I come back, my memories are fewer.

戻ってくるたび、記憶が少なくなっているんだ

I don't remember the color of Diane's eyes.

ダイアンの瞳の色も思い出せない

Forgetting is a piercing wound keen as the first loss.

忘れることは、最初に失った時と同じくらい鋭い痛みのままだ

The memories are there, Arthur. They're just hidden.

記憶はそこにあるよ、アーサー。ただ隠れているだけだ

 

Where are we going when you retire?

あなたが退職したらどこへ行こうかしら?

Who knows? We may be on Mars by then.

そうだな。その頃には火星にも行けるかもしれない

I'd take Hawaii.

ハワイがいいわ

You've always been so practical, tethering me to reality when I spin away.

君はいつも現実的だ、僕が飛んでいきそうな時現実につなぎとめてくれる

You know I love you.

知っていると思うけど、君を愛してるよ

I don't say it often enough, but I do.

十分に何度もは言わなかったけど、本当だ

I know.

知ってるわ

There are a lot of things about you I know.

あなたのことなら何でも知ってるの

I love you too.

私も愛してる

 

 アーサーはサマリタンを破壊させたフィンチに「マシンを完成させたのが君でよかった」と伝えます。この人どうしてこんなに善良なのだろうか…。分からない。そして、もしサマリタンだったらアーサーに最期にこんな映像を見せてくれたのだろうか、って思ってしまった。

 アーサーは脳腫瘍で命が長くなかったから、最後に意識が保たれている間にマシンはダイアン(とフィンチ)の思い出を見せてくれたのですが、これは同時にマシンからフィンチへのメッセージでもあったんだと思いました。若い頃、父親の記憶を残して父を助ける機械を作りたがっていたフィンチに、あなたはそれに成功したのだと。人の内側にしかない思い出は残せなくても、外付けドライブのような形で「記録」は残しておける。そしてそれは思い出になり得る。マシンは関わった人全てを殺してきたし、カーターのことも救えなかった。それでも私は全てを覚えているし、あなたの作ったものはこうやって誰かを救っていると、マシンがフィンチに伝えたかったのだと思いました。

 

 まあその直後に「マシンなんて嫌い!」ってリースが出て行っちゃうんですけどね…。次回も「ボスのボスが嫌いだ」とか言ってるしね。ボスのボスっつーかボスの11歳の子供かな。

 

POI:アーサー・クレイプール(被害者)

本編:2013年12月17日~くらい

フラッシュバック:

1979年(11月か12月)、フィンチ(お父さんを施設に預けてる)

1980年10月27日、フィンチ(アーパネットをハッキング)

1980年(10月28日以降12月までの間)、フィンチ(父に別れを告げている)