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03x11 - Lethe 感想

 POI感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

 さて、E10を超えてこの後の記憶があまりなかったのですが、再度見てみるとE15くらいまではうっすら見ていたようです。見返してみると記憶にあるよりも面白かったのでかつての私にとってはカーターの死があまりにショック過ぎたことが分かりました。

 E11とE12はリースほぼ不在の回で(家出中)、フィンチ回です。フィンチ大好き。フィンチのフラッシュバック可愛すぎん??あの子供時代もかわいいし、青年時代もめちゃくちゃかわいい…。ですがどう見ても今のフィンチより背が高いよ…。

 

 今回と次回のフラッシュバックでは、

 

1969/01/25:お父さんと車を直してる。お父さんに若年性認知症の兆候が出ている

1971/03/11:記憶装置を作っている。もうお父さんの症状は明らか

1979/11/14(もしくは11月4日。マシンの日付が違ってる):お父さんと2人暮らし。お父さんは徘徊してる

1979年(つまり、11月か12月):お父さんを施設に預けてる

*ただしこのシーンは外が春なので、1980年ではないかと指摘されています

1980/10/27:アーパネットをハッキングしてる

1980年(つまり、10月28日以降12月までの間):父に別れを告げている

 

という感じです。ちなみにフィンチの故郷がアイオワ州の人口2000人前後の街であることが分かります。

 

 もし全然飛び級とかしてないと考えるとフィンチは1957~58年生まれと考えるのが最も整合性がありますが、フィンチは飛び級してる説も当然あるので、実際は1957年~62年のどこか生まれだろうなとは思う。

 ただ、私は勝手にリースはファスコ(68年)とカーター(72年)の間くらい生まれかなって思ってるので(これ以上若いとルート79年と年近くなっちゃってよくない)、フィンチが62年だと年の差がなー。。10歳以上年離れてるのがロマンなんだよなー(笑)。ジーニアスだし飛び級してる説も魅力的なんですが、目立ちたくないからしてない説もあるんじゃないかって気もしてて分からん。

 62年生まれだとすると、エンジン分解は7歳、記憶装置は9歳、国家反逆罪は12歳、MITに最初に入学したのは14歳、お父さんの面倒を見ているのが17歳、アーパネットハッキングが18歳、父死亡が19歳、大学卒業は21歳です。一方58年生まれだとするとエンジン分解は11歳、記憶装置は13歳、国家反逆罪は16歳、MITに最初に入学したのは18歳、お父さんの面倒を見ているのが21歳、アーパネットハッキングが22歳、父死亡が23歳、大学卒業は25歳です。

 まあ、謎は解けないんですが、WikiにはReturn0時点で58歳、と書いてました。これに関しては根拠がよく分かりませんが…。年齢はっきり分かるシーンあったっけ?もし2015年11月に58歳だとすると57年生まれってことか?

 

 ところでS1E11 Super でカーターに複数の兄弟がいるような発言してましたが、1979年の時点で「1人で世話をするのが限界なら施設に…」と言われていたことからして、父と2人暮らしなことが分かります。親の離婚で兄弟と別れた??それとも初めから兄弟の話は嘘だったんだろうか。フィンチの話は何もかも嘘の可能性あるから何とも言えないし、他の家族は何らかの理由で全員死んだとかそういう可能性もありますが…。

 とりあえず1979年には母親も兄弟もおらず、若年性認知症の父親と2人暮らしであることが分かります。ちなみにこのシーン、Wikiでは「teenage Harold」と書かれているので、10代と想定されているっぽい。そうなると1960年前後の生まれかなぁ?って思うんですが、父親の「大学に行け」発言からすると高校は卒業しててぶらぶらしてる状態(大学に行かず、家で父親の面倒を見ている状態)にも思える。

「中身を覗かれたくなかったらもっとうまく作らなきゃ」

 フィンチは何度かこの台詞を言います。実際、マシンを誰にも覗かれないシステムとして構築し、自分自身も“中身を覗かれない”秘密主義を貫いてますね。

 

 もともと人工知能を作ろうと思ったきっかけが記憶を失っていく父親のためだったこと、偽名に鳥の名前を使うのも、息子のために鳥について一生懸命勉強してくれた父の思い出のためだったことが分かります。そう思うとフィンチとマシンの関係が父と子のようであるのも象徴的に思われます。

 最後、父親と別れるシーンで「あの鳥の名前は?」とフィンチが尋ねる「鳥」は、アメリカン・ロビン(コマツグミ)で、北米在住なら知らない人がいないほどの鳥だとか(Wikiには、通常北米で育ったら最初に覚える鳥がこれ、と書いてます)。日本で言うとスズメみたいな感じだろうか。それすらもう分からない、という深い悲しみを示すシーンだそうです。

 

 そういえば、公衆電話を笛でハッキングするこの手法はジョン・T・ドレーパーキャプテン・クランチ)が60年代にやったことで有名で、他にも何人か「電話フリーク」と呼ばれる電話ハッキング集団がいたらしいです。1971年にドレーパーはフリーキングについて雑誌に寄稿し翌年逮捕されているらしいのですが、その記事を読んだスティーブ・ウォズニアックが「ブルーボックス」を作ってジョブズと一緒に売ることになるんだとか。80年代には公衆電話ではもうこの手法は使えなくなったらしいです。

 だからフィンチのフラッシュバックからすると、年代的にギリギリですね。実はこの公衆電話のハッキングは、70年代後半にはすでに古い技術になっていたことが分かります。

 でもまあネイサンのモデルがスティーブ・ジョブズだと考えると、POI世界ではこの辺の技術は現実よりも10年くらい遅れてる感じなのかも。

 

 この回からサマリタン起動編に繋がっていきます。カーターの死によって“人助け”の仕事が虚しくなったリースとフィンチ。リースは家出し、フィンチはマシンの通知を無視します。マシンはルートを経由してフィンチに「番号」を送ってきました。

 これ、多分サマリタンの起動に関わる番号だからルートに送ったってことなんだと思いますが、ルート、ファラデーケージの中にいますけど…。自由に出入りしてる?って思ったんですけど、フィンチ、普通に外から鍵かけてたよね?「何かついでに買ってくる」発言もしてたし、自由に出入りしているとは思えないんですが…。一体どうやってマシンと通信してんの??次回分かるように、年を取ると聞こえない周波数で話しかけてる?だからフィンチには聞こえないってこと?

 

 「番号」はアーサー・クレイプール。写真を見たフィンチは唖然とし、また、不自然なほどにどうしても現場に出るまいとします。しかしリースがいない今実行役はショウ一人…。入院中のアーサーに接近するためショウは医者をよそおうのですが、この時の台詞笑える。

 

Your sure you don't want to play MD Harold? I never made a convincing doctor even when I was one.

あなた医学博士をやる気は本当にないわけ?あたしは本物だった頃すらまともな医者だったことないのに

 

 専門は腫瘍と緩和ケア、って言ってましたが、マジで向いてない…。アーサーは多形膠芽腫で余命僅かでした。2人は、そんな余命僅かな人間を誰が狙っているのか探ります。調べるうちにアーサーはシークレットサービスの警護がついていること、かつてNSA職員で機密情報に関わっていたこと、脳腫瘍のため記憶が混濁し、“まずいことまで思い出す”と発言していることが分かります。狙っているのは彼の口を塞ぎたい政府なのか?それとも他の諜報機関

 

 アーサーは病院職員を装った人間に、検査に見せかけて自白剤を打たれ尋問を受けます。相手は「エリザベス・ロス」を名乗る検査技師。フィンチは「またの名をベッツィー・ロス。アメリカ独立戦争の英雄の名だ。ヴィジランスだろう」と。日本で言うと「北条政子です」とか名乗ってる感じでしょうか…。

 調べてみたのですが、エリザベス・ロスはもともとエリザベス・グリスコムという名で、最初にジョン・ロスと結婚しベッツィー・ロスとなり、ロス死亡後にジョセフ・アシュバーンと結婚し、アシュバーン死亡後にジョン・クレイプールと結婚して最後はベッツィー・クレイプールになったらしいです。作中のアーサーの名字はここから取ってんのかな。でも最後までベッツィー・ロスとして知られている人物だとか。

 

 ショウはアーサーの妻ダイアンと協力してアーサーを逃がそうとしますが、アーサーはショウだけでなくダイアンも「知らない顔だ」と言って一緒に逃げることに同意しません。そこに現れたのはフィンチ…。

 アーサーとフィンチは大学時代かなり親しかったようですが、卒業後は没交渉であったことがなんとなく分かります。フィンチは大学入学時代から身分を偽っていたから、卒業後はネイサン以外の友人をほとんど遠ざけていたんだろうと。アーサーがNSAで働いていたことをフィンチは知らなかったし、フィンチが何をしているのかアーサーは知りません。

 それでも、ヴィジランスに狙われたアーサーを病院から逃がそうとしてフィンチが現れた時、「アーサー、行こう」と言ったフィンチに「ハロルド!」と嬉しそうに応えてすぐに一緒に逃げることに同意したシーン、心がじわっとあったかくなったし、本当に仲がよかったんだ、アーサーにとってフィンチと過ごした日々はいい思い出だったんだと思った。

 

So you two know each other?

で、あなたたちは知り合いなの?

Harold and I go all the way back to MIT.

ハロルドと私はMIT時代からの付き合いなんだ

The mighty engineers, huh?

すごいエンジニアたちね?

You should have seen us, two young turks at the dawn of the information age.

我々を見せたかったよ、情報化時代の夜明けの2人の若きガキ大将だ

We were gonna shape the future, remember, Harold?

私たちは未来を作ろうとしていた、覚えているか、ハロルド?

Yes, so do I.

ああ、覚えている

You're limping. Are you hurt?

君は足をひきずっている。怪我をしているのか?

No, it's just an old injury that never healed quite right.

いや、昔の傷だ。もう完全にはよくならない

This way.

こっちよ

You know, Harold was the most brilliant of all of us.

ハロルドは私たちみんなの中で一番頭がよかった

If anybody was going to change the world, we knew it would be him.

もし誰かが世界を変えるなら、それは彼だとみんな知っていたよ

You know, what did you end up doing?

なあ、一体何をしていたんだ?

What's your field of expertise?

専門は?

Insurance.

保険業

 

 アーサーの前ではハロルド・レンとして存在しているわけだから、当然「保険会社のオーナー」ということになります。

 このシーンなんとなく悲しいです。アーサーは多分、フィンチはもっと世界を変える大きい仕事をしているって期待していたんだけど、保険会社なんてやっていることが分かる。この時アーサーは結構がっかりしたような顔をしてます。フィンチはフィンチで、アーサーに本当のことを打ち明けられていない苦しさをずっと抱えている。今だけじゃなくて、大学時代からずっと。その秘密のために何十年も疎遠にならざるを得なかったことも。

 

 E11とE12でアーサーがずっと出てきますが、この人かなり無邪気な人格ですよね。驚くほどに悪意がなく、特にフィンチに対して、自分よりすごいと思っていることを隠さないし、先にマシンを完成させたことに対してもそのために自分のサマリタンが日の目を見なかったことに対しても、一切嫉妬の感情を見せません。それどころか「君でよかった」「君こそが世界を変えると信じてた」と言います。アーサーの無邪気さとPCスキルの高さ、頭のよさは、大学時代のフィンチにとってとても魅力的であると同時にかなりのリスクだったんだと想像できます。友人としては最高だけど、一緒にいれば自分の過去が明らかになるリスクが高まる。だからこそ、切り捨てざるを得なかった存在だったんじゃないかと。

 でもアーサーいい人だから見ていて楽しいな。一緒にMITの歌歌ったり、フィンチの過去を教えてくれたりして。フィンチに対して悪い感情を一切見せないのが不思議だけど、本当にいい人なんだろうと思う。歌うたっているフィンチを見てショウが「ジョンが知ったら悔しがるね」って言ってたのも面白かった。

 そんなアーサーの作ったサマリタンがあんなことになってしまうのが本当に悲しいのですが…。ちょっと無邪気すぎたのかな…。フィンチは世の中の悪意を知ってマシンに善悪を教えたけど、アーサーはそんなこと考えもしないような人格だったのかもしれない。

 

 さてリース君はコロラド州まで家出中ですが、父親の行きつけのバーでうろうろしていたり、見つかりたがっているとしか思えませんな。追いかけて来たファスコに、「フィンチに言われて来たのか」って。フィンチは俺を追うだろうって何で自信満々なわけ??まあ実際フィンチがファスコに頼んだっぽいですけど。ここから3回分のリース君の家出、状況はかなりシリアスなんですけど、なんだかちょっと拗ねた子供みたいでかわいいと思ってしまった…。

 

 E11とE12見てて、リースの友達はファスコだよなって思った。追いかけてきてくれて、帰ろうって真っすぐ言ってくれて、いざとなったら取っ組み合いのけんかまでしてくれてさ。お前がガキっぽい態度を取り続けるなら俺もガキっぽい態度でいくぜ!みたいな感じで面白かったです。

 ファスコが酒を飲まないでいると、「フィンチに運転手でも頼まれたのか」と、何でもかんでもフィンチのせいにしたいリース君。でもファスコは、「あんたに会って自分と向き合えと言われてから酒を一滴も飲んでない」と言います。確かに、ファスコって何度かバーで張り込みとかのシーンありましたが一度も酒は飲んでませんでした。仕事中だからかと思ってたのですが、お酒をやめていたんですね。

 それにしてもリースは拗ねに拗ねていて、カーターが死んだから「何もかも意味がない」とか言ってます。Irrelevantですって。「あれは人助けじゃない、運命を先送りにするだけだ」と。

 

 これさあー、前も書いたけど、そんなこと言ったらみんな死ぬまでの運命を先送りしているだけなんじゃ??人はみな死ぬんですよ??S1でカーターの番号が出ていたけど、じゃあその時に死んでいても仕方なかったのだと??テイラーはあの時高校のフレッシュマンだったから、多分14~15歳くらいだった。しかもあの時点では父親ともそれほど連絡を取り合っていた形跡はなかった。S1の時点でカーターが死んでいたら、テイラーは15歳で天涯孤独になっていたと思う。そのうえリースはカーターを愛することはなく、ファスコはスティルスの件か何かでどの段階でか分からないけど必ず捕まって警察官としての生命は終わっていたはず。運命が延長されたのはたった2年だったけど、その2年で彼女は関わった全員の人生を変えたんだから。

 例えば医療で、数カ月、数年の余命を伸ばすためにどれほどの努力がされているか、知っていたら「運命の先送り」なんて言えないのでは。その数カ月、数年が誰かにとってどれほど大切か知っていたら。

 まあ、でも、リースは本当は分かってるんだよね。拗ねてるだけでさ。

 

 最後、妻を名乗ってアーサーに付き纏い、ずっと嫌われていたダイアン(偽)がショウの元ボスでハーシュのボス、コントロールだったことが分かって終わります。

 

 ラストシーンでマシンが状況を分析する映像が入るのですが、これによるとショウもハーシュも偽名だとか…。ショウは1993年のフラッシュバックで「サミーン」と名乗ってたから「ショウ」が偽名なんですね。あと、マシンが"Retasking Analog Interface"って表示を出しているので、ルートに助けを求めていることが分かります。そっか、これに気付いてた人はルートが助けに来るってこの時点で気づいてたのかも。

 

POI:アーサー・クレイプール(被害者)

本編:2013年12月17日

(PETの日付がそうなっているみたいです。リースは1か月くらい寝込んでたのか)

フラッシュバック:

1969年1月25日、フィンチ(お父さんと車を直してる)

1971年3月11日、フィンチ(記憶装置を作っている)

1979年11月14日(もしくは11月4日。マシンの日付が違ってる)、フィンチ(お父さんと2人暮らし。お父さんは徘徊してる)