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01x20 - Matsya Nyaya 感想

 POI感想の注意書きです。

yuifall.hatenablog.com

 タイトルは昔のインドのことわざだそうです。意味は

 

In simple words, The strong dominates over the weak when there is disorder.

 

つまり、「弱肉強食」ですね。日本語タイトルは「欲望の連鎖」でした。

 

 この回でもE2と同様「信頼」というテーマが繰り返されますが、E2ではリースとフィンチの間の「信頼」だったんですけど今回はもうそれはあることが前提になってて、リースとファスコ、対象者のトミーとそれを取り巻く人間たち、そしてフラッシュバックでのリース、カーラ、スノウの関係が描かれます。

 

 先にフラッシュバックなんですが…。時期は2010年、マシンの稼働後、というかマシンが完全に政府のものになり、ネイサンが殺された後です。この辺の時系列があやふやなのでWikiで確認したところ、

 

9月26日;フェリー爆破テロでネイサンが殺される

9月28日;ダニエル・ケーシーが政府にマシンのハッキングを依頼される

10月15日;リースとカーラはアフガニスタンでポール・ダンカンを殺害

9月26日から12月までのどの時点か;フィンチがアリシア・コーウィンを殺そうとする。その後、ディリンジャーを雇う

12月4日;ダニエル・ケーシーの番号が出る。CIAとデシマ・テクノロジーズがケーシーを狙っている。フィンチはケーシーの持つマシンのコードの一部からウイルスを作りラップトップをダークネットに売ろうとするが、ディリンジャーに奪われる。ディリンジャーがどうも中国に売ったっぽい。その後ディリンジャーはショウに殺される

12月5日;リースとカーラはモロッコの任務へ。リースはジェシカからのメッセージを受け取り、24時間以内に駆けつけると約束する。スノウとアリシア・コーウィンがリースとカーラにオルドスでラップトップを回収するよう指令を出す(実はこの件を指示したのはコントロール

12月6日;リースとカーラは中国入り。2週間後、オルドスで回収任務につくが、72時間経ったところで攻撃される。つまりリースとカーラにミサイル撃ち込まれたのは12月23日頃(カーラの死亡証明書の日付は12月23日らしい)

12月7日;ジェシカの解剖記録の日付がこの日。だから殺されたのは7日か6日頃

 

 政府側からすると、マシンのコードの一部が入ったラップトップが中国に売られたという状況で、「ウイルスを回収するように」と嘘の指令を出してリースとカーラを送り込み、この2人ごとラップトップを破壊しようとしたことが分かります。

 後でS3E16 RAMで分かるのですが、ラップトップがオルドスに持ち込まれたことを政府より先にデシマが把握していました。つまり、オルドスのエンジニアたちを皆殺しにしたのはデシマっぽいですね。

 

ディリンジャーの売ったラップトップは中国政府に渡った

→中国政府は「鳥インフルエンザ」の名目でオルドスを隔離し、ソフトウェアエンジニアを集めてラップトップの解析をさせた

アメリカ政府はラップトップとリース&カーラを消し去るために2人をオルドスへ

→一方、デシマ・テクノロジーズが先に情報を掴み、ソフトウェアエンジニアを皆殺しにしてラップトップの情報をコピー、あるいは中身をいじる。いずれアメリカ政府が来ることを見越して本体はそのまま放置

→リース&カーラがラップトップを回収、合図で爆撃される

→カーラはデシマに拾われる

 

みたいな感じでしょうか。

 

 今回のフラッシュバックではリースがジェシカの電話を受けて、「24時間以内に必ず会いに行く。待っていてほしい」と言います。あー、ここで、空港で言えなかった言葉、Wait for meを言ってたんだ…。ジェシカはI’ll wait.と返しています。とても悲しい。時系列を考えると、リースが本当に24時間以内に戻っていたらギリギリ間に合っていたタイミングだったんですよね。。

 S5E12の「マシンがない世界」のシミュレーションでは、マシンがないためにこのケーシー殺害~モロッコ~オルドスの任務がなくなり、リースは24時間以内にジェシカの元に駆けつけて彼女の命を救ったことが示唆されます。でもリースを恐れたジェシカに拒絶され、リースは死んでしまう…。どっちに転んでもバッドエンドかよ。なんかほんとやりきれないです。。やはりあの空港がターニングポイントだったのか…。CIAになる前だったら、“闇”になる前だったらやり直せていたのかもしれないのですが…。

 

 また、リースとジェシカだけでなくリースとカーラの間でもやり切れないエピソードが描かれます。スノウに「スタントンは裏切った。相棒として責任を取って殺せ」と命令されるリース。実はカーラも同じくリース殺害の任務を受けていた。

 任務中、今までずっと「命令には黙って従うもの」と言っていたカーラの方が「命令を疑ったことがある?」とか、「そんなに簡単じゃない」とたびたび口にします。それに対しリースは「疑問を抱くなと教えたのは君だろう」と返すのですが、実際はリースを撃ったのはカーラで、カーラを撃てなかったのはリースだった。カーラはずっと「リースが裏切るはずがない」と疑問を抱きながらも、結局は工作員としての任務を果たそうとしたことが分かる。一方リースは「迷わず行動を起こすべきだ」と思いながらも彼女を撃てなかった。

 

 この回は「弱肉強食」がメインテーマで、リースは「悪人になるのは難しい。もっと上がいる」と呟きます。カーラを撃てなかったリース、リースを撃ったカーラ。でも2人とも実はスノウに騙されており、更にはミサイルで爆撃され殺されそうになる。そしてラスト、スノウを撃って彼を意のままに操ろうとするのがカーラであることが分かります。

 もっと言えば、S2まで見るとカーラのバックにいたのはグリアであることが分かる。しかもラップトップの裏にいたのもフィンチですからね…。「弱肉強食」の裏にあるのはフィンチvsグリアで、結局S5ラストまでその路線だったわけで、もうS1の時点でフラグ立ってたんですね。

 

 さて、この回からオープニングシークエンスが変わります。「相棒が必要だ」というタイミングでリースからカーターの映像に切り替わり、「当局の目をかわし」のシーンではCIAがリースを撃とうとしている映像が入ります。それから今までいなかったファスコがオープニングに加わります。つまりこの段階くらいでマシンがカーターとファスコを「アセット」と認識しているのではないか?それを示唆するような「信頼」のエピソードです。

 

 最新の「番号」はトミー・クレイ。ごく普通の一般人なのですが、貴重品を輸送するトラックに乗る警備の仕事をしているため、強盗に遭うのだろうとあたりをつけて見張る2人。リースは新人としてチームに潜り込みます。トミーと運転手のマリーのチームは漫画に出てくるアメリカ人みたいな感じです(笑)。ジョークばっかり言ってて、会話もそんな感じ。

 

Hey, did you catch up on your beauty sleep, sunshine?

ヘイ、サンシャイン、昨日はたっぷり眠れたか?

Not so much. I had a nightmare I was working with a bunch of clowns.

それほど。大量のピエロと一緒に働く悪夢を見たよ

Yeah, well, that's Tommy. He's always clowning around.

ああ、トミーのせいだな。奴はああやってふざけまわるのが好きなんだ

Is that Tommy's wife?

あれはトミーの奥さんか?

Talk about a ball buster.

あれは鬼嫁だな

I celebrate the anniversary of my divorce like it's new year's Eve.

俺は離婚記念日を大晦日みたいにお祝いしてるよ

This job is stressful enough. No one needs that nonsense to come home to, no.

仕事が十分ストレスなのに、家でまで誰がそんな無意味なものを必要とするんだ?

Marriage is a racket.

結婚は苦行だね

Back for more, John?

よく戻ったな、ジョン

Oh, I see Murray here skipped his morning pilates again.

マリーはモーニングピラティスをまたサボったな

Yeah, I'm starting a new French toast regimen.

ああ、俺はフレンチトーストダイエットを始めたんだ

Who's your friend, Tommy?

このお友達は誰なの、トミー?

John the newbie, Ashley.

新人のジョンさ、アシュリー

He needs to learn the ropes, and I'm the ropes master.

彼はロープを学ぶ必要があってね、俺はロープマスターだし

What are you having, hon?

何にする、あなた?

Something you can put in the bag.

バッグに入るものにしろ

I always stick with a fried egg sandwich.

俺はいつも目玉焼きサンドイッチだ

Yeah, but that's because you can't read the rest of the menu.

ああ、だって他のメニューが読めないからな

Coffee's fine, thank you.

コーヒーでいい、ありがとう

Whoa, that's a nice bracelet, huh? Who's the lucky stiff, Ashley?

わお、いいブレスレットだな。誰があんたのラッキーな男なんだ?

It's nothing. It's just a present from my grandma.

なんでもないわ。これはおばあちゃんからのプレゼントよ

She's got good taste.

いい趣味だ

I threw in a little extra hot sauce with your sandwich, Tommy.

あなたのサンドイッチにチリソースを足してあげるわね、トミー

Whoa, Tommy, you got a little extra hot sauce, huh?

わお、トミー、もっとホットになってほしいとよ

Hey, married man over here.

なあ、俺は結婚してるんだ

Yeah, more like half a man.

ああ、タマなし野郎だよ

All right, ladies, time to punch in. Let's go.

いいかお嬢ちゃんたち、出勤の時間だ。行くぞ

 

 いかにも男所帯の会話って感じです。多分ファスコは仲間とはこういう感じの会話するんだろうな。リースは軍出身なのにこういう話し方しないよね…。もっと知的で陰気です。フィンチは上流階級の人って感じですが、実際は田舎出身のエンジニアなので不思議…。ネイサンに叩き込まれたのだろうか。

 

 てかこの時の「結婚は墓場だ」って発言にジェシカのフラッシュバックを重ねる演出、今思うとすごい意味深だよね…。この時はまだジェシカに何が起こっているのか正確には分からないのですが、2006年に婚約→2007年に「番号」が出ている→2008年にまだ生きていて結婚している→2010年に「人は結局一人」と泣きながら電話→2011年時点では死んでいる、ことが分かるわけで、勘のいい人なら何が起きているのかすでに想像できていたかもしれません。「殺意」を検知する番号が出ているのに死んでいない、結婚していながら「人は一人」と誰にも頼れない、その後死んでいる、これらの情報を総合すると、夫に殺されかけている、と考えるのが最も自然に思えます。

 

 フィンチが会社をハッキングしてトラックが回るルートと運送する対象物を特定し、狙いはプラチナと分かるのですが、想定したタイミングでは強盗に遭いません。おかしいと思っているとトラックが爆破され横転…。強盗に遭うのですが、なんとトミーはその一味でした。。リースとマリーを撃って逃走します。リースは助かりますが、マリーは死亡します。

 うわー。いきなり悲しい。病院にはカーターが駆けつけてくれて、協力を約束してくれます。フィンチがカーターに電話してリースの無事に安心するシーン、何気に萌えた。E15 Blue Codeでは全く心配してくれなかったですからね…。

 あとこの回から、You there, Finch?(フィンチ、聞いてるか?)Always.(いつもね)の会話が!Always盗聴ライフが裏付けられた瞬間です…。まあ、分かってたけど。

 

 今回は徐々に黒幕が明らかになっていく仕様になっていて、

元強盗犯の前科者→トミー→アシュリー→HR

という感じで仕切っている人間が分かってくるのですが、それぞれの段階で人がばんばん死にます。

 トミーはマリーを殺し、一緒に強盗した2人も殺すのですが、仲間だと思っていた愛人のアシュリーに殺されます。アシュリーはプラチナを独り占めしようとしたのですが、もともとアシュリーを使ってトミーを操ったのはHRだった。HRのリンチはアシュリーを殺してプラチナを奪いますが、その場にいたリースも殺そうとします。撃たれそうになった瞬間、リンチを殺してリースを救ったのはファスコでした。ファスコは「女の銃で撃った。リンチがしくじったことにする」と言い、リースを守ってくれます。

 リースはファスコを「アセット」として一応大切にしてはいたのですが、ファスコに伝わっていたとは思いにくい状況でした。でもファスコはS3で打ち明けるように、リースに出会って変わったと思っている。リースに会ってから酒はやめたと後日打ち明けています。何か、自分を変えてくれた人だという恩を感じていたんだろうなーと。

 

 今回フィンチはアシュリーの携帯をハッキングしてトロイの木馬を仕込んだメールをトミーに送ったり、トミーの使い捨て携帯を特定してプラチナの引き渡し場所を掴んだりして活躍するのですが、一方リースが物理的にピンチになると打つ手なし…。ファスコはHRにかかり切りで、カーターはCIAに張り付かれてしまいます。結果的にファスコに助けてもらってよかったよね。。カーターの方は「FBIに協力するな」とか脅されるのですが、スノウは最終的に嘘情報によってパートナーを殺され、カーラに捕まります。

 カーラ、「Miss me?」って言うかと思ったら言わなかったわ(笑)。Hey, lover, miss me? はリースだけなのね♡

 スノウ、ここから丸々1シーズン分くらい捕まってんのか…。長すぎじゃない?

 

yuifall.hatenablog.com

 

POI:トミー・クレイ(加害者かつ被害者)

本編:2012年4月25、26日

フラッシュバック:2010年、リース(カーラとモロッコ、カーラとオルドス)